技術・安全衛生系資格

エックス線作業主任者とは?選任義務・受験資格・試験内容をわかりやすく解説

求人票で「エックス線作業主任者歓迎」「要エックス線作業主任者」という文言を見かけたことはないだろうか。エックス線装置を使う作業で選任が求められる国家資格でありながら、名前の似ている診療放射線技師やガンマ線透過写真撮影作業主任者と混同されやすい資格でもある。この記事では、エックス線作業主任者の法的な位置づけ、選任義務の範囲、試験の中身、合格から免許証を受け取るまでの手続き、類似資格との関係を、安全衛生技術試験協会の案内と法令の条文にもとづいて整理する。

エックス線作業主任者とは

エックス線作業主任者は、労働安全衛生法にもとづく作業主任者のひとつである。対象となるのは、エックス線装置を用いる作業のうち、医療用のものと、波高値による定格管電圧が1000kV以上のエックス線装置を使うものを除いた作業である(労働安全衛生法施行令第6条第5号)。安全衛生技術試験協会の紹介ページは、この主任者を「エックス線による障害を防止する直接責任者」と位置づけている。

ネット上では対象範囲を別の単位や言い回しに置き換えた説明も見かけるが、条文と協会ページの表現は「医療用又は波高値による定格管電圧が1000kV以上の装置を除く」である。ここは言い換えずに、条文の言い方のまま覚えておく方が安全だと考える。

免許は都道府県労働局長の免許である(労働安全衛生法第14条)。試験に合格しただけでは足りず、免許申請をして免許証の交付を受けて、はじめて選任の対象になる。試験を実施するのは「厚生労働大臣指定試験機関」と表示している公益財団法人安全衛生技術試験協会で、全国の安全衛生技術センターで年に複数回行われている。

選任義務と対象事業場

電離放射線障害防止規則(以下、電離則)第46条は、事業者に対し、令第6条第5号に掲げる作業について「エツクス線作業主任者免許を受けた者のうちから、管理区域ごとに」エックス線作業主任者を選任するよう定めている。押さえておきたい点は二つある。

  • 選ぶ相手は「免許を受けた者」であること。試験に合格していても、免許を受けていなければ選任できない。
  • 選任の単位は「管理区域ごと」であること。事業場にひとり置けば済むという書き方にはなっていない。
選任の対象から外れるのは、医療用のエックス線装置と、波高値による定格管電圧が1000kV以上のエックス線装置を使う作業である(令第6条第5号)。病院やクリニックで診断・治療に使う装置は、この選任義務の対象外になる。

どの業種のどの工程が該当するかは、装置と作業の内容で決まる。自分の職場が該当するかどうかを判断するときは、業種名から推測するのではなく、使っている装置が除外の条件に当たるかどうか、作業場所が管理区域に当たるかどうかを確かめるのが筋である。

作業主任者の職務

エックス線作業主任者に行わせる事項は電離則第47条に定められている。ただし、厚生労働省のリーフレット(令和7年10月作成)によると、電離則などの改正は令和7年10月29日から順次施行され、一部の規定は令和8年4月1日、または令和9年10月1日に施行される。エックス線作業主任者の職務にも、これらの日付で順次追加される項目がある。

職務の項目数や文言は施行日によって変わるため、この記事では個々の項目を並べない。実際に職務を確認するときは、e-Gov法令検索で現行の電離則第47条を開き、施行日の注記とあわせて読んでほしい。改正の途中にある規定は、古い解説記事の箇条書きをそのまま信じると取りこぼしが出やすい部分だと感じる。

受験資格と試験内容

受験資格

協会の紹介ページでは、受験資格は「不要。ただし、本人確認証明書の添付が必要です。」とされている。学歴や実務経験による制限は設けられていない。

一方で、免許には年齢の要件がある。電離則第49条により、満18歳に満たない者はエックス線作業主任者免許を受けられない。協会の「合格後の手続き」ページも、満18歳に満たない者には免許証が交付されないので、満18歳になってから免許申請をするよう案内している。受験はできても、免許申請は18歳を待つ必要がある。

試験科目と配点

試験は学科試験のみで、実技試験はない。協会の案内による科目と配点は次のとおりである(電離則第50条の学科試験科目も同じ4科目)。

科目 出題数 配点
エックス線の管理に関する知識 10問 30点
関係法令 10問 20点
エックス線の測定に関する知識 10問 25点
エックス線の生体に与える影響に関する知識 10問 25点

合格基準は、協会が学科試験全般について示している「科目ごとの得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上であること」である。合計点だけでなく科目ごとの足切りがあるため、苦手科目を丸ごと捨てる作戦は取りにくい。

試験時間

試験時間は12時30分から16時30分までの4時間で、午前・午後の区分はなく、休憩なしで通して行われる。科目免除を受ける場合は終了時刻が早まる。

  • 免除なし: 12時30分〜16時30分(4時間)
  • 1科目免除: 12時30分〜15時30分(3時間)
  • 2科目免除: 12時30分〜14時30分(2時間)

科目免除

電離則第51条と協会の紹介ページでは、次の二つの免除が示されている。

  • 第二種放射線取扱主任者免状の交付を受けた者: 「エックス線の測定に関する知識」と「エックス線の生体に与える影響に関する知識」の2科目(電離則第51条第一号)。協会ページは旧第二種放射線取扱主任者免状(一般)も含むと注記している。
  • ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許試験に合格した者: 「エックス線の生体に与える影響に関する知識」の1科目(同条第二号)。申請時には免許証の写し又は合格通知書の写しを添付する。

なお、条文は都道府県労働局長が「免除することができる」という書き方で、協会ページは「免除を受けることができる」と案内している。どちらも、該当者が申請時に免除を申し出て受ける仕組みとして読むのが自然である。学歴や実務経験による免除は、確認した条文と協会ページには見当たらなかった。

第二種放射線取扱主任者の免状を持っている人は、管理と関係法令の2科目に絞って2時間で受けられる。すでに放射線の測定や生体影響を学んだ人にとっては負担がかなり軽く、取っておく価値は高いと思う。

受験手数料

協会の「試験手数料」ページでは、学科試験の手数料は各免許試験とも8,800円と表示されている。この表示は「令和5年6月1日現在」のもので、申し込む時点の金額は同ページで確認してほしい。

試験日程と申込み

試験日程

協会の日程ページ(令和8年4月〜令和9年3月)では、エックス線作業主任者免許試験は5月19日、7月8日、9月15日、11月20日、1月19日、3月3日のうち、会場ごとに異なる日程で実施される。たとえば近畿センター本所の掲載は3月3日のみである。会場は北海道、東北、関東(市原と東京試験場)、中部、近畿(本所と大阪試験場)、中国四国、九州の各安全衛生技術センターで、別に地区ごとの出張特別試験の案内もある。

受けたい月が決まっている人は、まず希望する会場にその日程があるかを確認したい。会場によって回数が違うので、近くのセンターに合わせるか、日程に合わせて会場を選ぶかで、計画の立て方が変わる。

申込み期間と方法

  • オンライン申請: 試験日の2か月前(深夜0時)から受付開始、試験日の14日前(23時59分59秒)まで。
  • 郵送: 第1受験希望日の2か月前から14日前の消印までに、申請先のセンターまたは試験場へ簡易書留で送る。
  • 窓口持参: 第1受験希望日の2か月前から、センターの休業日を除く2日前まで。
協会は、定員に達した場合は受付を終了すると案内している。締切日まで受け付けてもらえるとは限らないので、受験日が決まったら早めに出すのが無難である。受験票は原則として申請先のセンター・試験場から郵送される。

試験結果の通知

合格した場合は「免許試験合格通知書」で、それ以外の場合は「免許試験結果通知書」で知らされる。試験結果はセンターのホームページにも掲載されるが、電話などによる結果の照会には一切応じないとされている。

合格から免許証を受け取るまでの流れ

受験から選任されるまでの流れをまとめると、次のようになる。

  1. 受験申請(本人確認証明書を添付。免除を受ける場合はその書類も添付)
  2. 試験を受ける
  3. 「免許試験合格通知書」を受け取る
  4. 免許申請書に記入し、合格通知書と必要書類を添えて免許申請をする
  5. 免許証の交付を受ける(この段階で、事業者が選任できる立場になる)

協会の「合格後の手続き」ページによると、免許申請書は都道府県労働局、各労働基準監督署、各センターで配布されている。必要事項を記入(貼付)し、免許試験合格通知書と必要書類を添付して、東京労働局免許証発行センターに免許申請をする。免許申請時には本人確認証明書が必要である。この案内は免許試験全般についての記述なので、申請書の様式や添付書類は申請時点の案内で確認してほしい。

個人的には、この流れのなかで一番混同しやすいのは3と5の区別だと感じる。合格通知書が届くと一区切りついた気持ちになるが、免許申請をしなければ選任の対象にはならない。転職や配置換えで資格を使う予定がある人ほど、合格後すぐに申請まで済ませておくとよい。

よくあるつまずき

  • 合格と免許を同じものと考えてしまう。選任できるのは免許を受けた者で、合格通知書だけでは足りない。
  • 18歳になる前に免許申請をしてしまう。満18歳に満たない者には免許証は交付されないため、18歳になってから申請する。
  • 本人確認証明書の添付を忘れる。受験申請時にも免許申請時にも必要とされている。
  • 申込み期間を読み違える。締切は試験日の14日前で、定員に達すればそれより前に終了する。
  • 科目免除の書類を付け忘れる。ガンマ線の合格者なら免許証の写し又は合格通知書の写しが必要になる。

類似資格との違い

ガンマ線透過写真撮影作業主任者との違い

名称も扱う分野も近いが、選任の根拠になる作業が違う。ガンマ線透過写真撮影作業主任者は、令第6条第5号の2の「ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の作業」について、電離則第52条の2により「ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許を受けた者のうちから、管理区域ごとに」選任される。エックス線作業主任者の免許では、こちらの作業の主任者にはなれない。

試験の面では、両者のあいだに科目免除の関係がある。ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許試験に合格した者は、エックス線の試験で「生体に与える影響に関する知識」が免除される(電離則第51条第二号)。反対に、エックス線作業主任者免許試験に合格した者は、ガンマ線の試験で生体に関する科目が免除される(電離則第52条の4の4)。どちらを先に受けても、2つ目の試験では生体の科目が免除の対象になる。両方の装置を扱う職場の人には、この相互の免除はありがたい仕組みだと思う。

項目 エックス線作業主任者 ガンマ線透過写真撮影作業主任者
選任の対象作業 令第6条第5号(医療用、定格管電圧1000kV以上の装置を除く) 令第6条第5号の2(ガンマ線照射装置を用いた透過写真の撮影)
選任の根拠 電離則第46条 電離則第52条の2
選任の単位 免許を受けた者のうちから、管理区域ごと 免許を受けた者のうちから、管理区域ごと
受験資格 不要(本人確認証明書の添付が必要) 公式資料で確認できなかった
相手側の試験との免除 ガンマ線の合格者は生体の科目が免除 エックス線の合格者は生体の科目が免除
免許 都道府県労働局長の免許(18歳未満は不可) 都道府県労働局長が与える(電離則第52条の4)

診療放射線技師との違い

診療放射線技師は医療分野の国家資格である。エックス線作業主任者との関係で条文から言えるのは、医療用のエックス線装置を使う作業がエックス線作業主任者の選任義務の対象から除かれている(令第6条第5号)という点である。また電離則第52条の4は、診療放射線技師法第3条第1項の免許を受けた者を、ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許を与える対象のひとつに挙げている。

診療放射線技師の受験資格や免許の交付元などは、今回確認した公式資料の範囲では確かめられなかったため、この記事では触れない。医療系の資格どうしの違いは、関連記事「臨床検査技師・診療放射線技師・臨床工学技士の比較」で整理している。

工業系の現場で放射線の安全管理に関わりたい人にはエックス線作業主任者が、医療の現場で撮影や検査を担いたい人には診療放射線技師が入口になる。名前に同じ「放射線」「エックス線」が入っていても、目指す仕事の方向で選ぶ資格はまったく変わってくる。

よくある質問(FAQ)

Q1. 実務経験がなくても受験できますか。

受験できる。協会の案内では受験資格は「不要」で、本人確認証明書の添付だけが求められている。ただし免許は満18歳に満たない者には交付されない(電離則第49条)。

Q2. 試験はどこで実施されていますか。

全国の安全衛生技術センター(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州)と、関東の東京試験場、近畿の大阪試験場で実施される。令和8年4月〜令和9年3月の日程は会場ごとに異なるため、協会の日程ページで希望会場の日程を確認してほしい。

Q3. 合格するとすぐにエックス線作業主任者として働けますか。

合格だけでは選任できない。合格通知書を受け取ったあと、免許申請書に合格通知書と必要書類を添えて東京労働局免許証発行センターに免許申請をし、免許証の交付を受けてはじめて、事業者が選任できる「免許を受けた者」になる。

Q4. 医療機関のエックス線装置にもこの資格が必要ですか。

必要ない。令第6条第5号は、医療用のエックス線装置と、波高値による定格管電圧が1000kV以上のエックス線装置を使う作業を除いている。医療機関の診断・治療用装置は、エックス線作業主任者の選任義務の対象外である。

Q5. ガンマ線透過写真撮影作業主任者を持っていれば免除される科目はありますか。

ある。ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許試験に合格した者は、「エックス線の生体に与える影響に関する知識」が免除される(電離則第51条第二号、協会の紹介ページ)。この場合の試験時間は12時30分〜15時30分の3時間である。また、第二種放射線取扱主任者免状の交付を受けた者は、測定と生体の2科目が免除され(同条第一号)、試験時間は12時30分〜14時30分の2時間になる。条文は「免除することができる」、協会は「免除を受けることができる」という書き方で、申請時に免除の書類を添えて申し出る形になる。

Q6. 18歳未満でも受験できますか。

受験資格は不要とされているので、受験すること自体はできる。ただし満18歳に満たない者には免許証が交付されないため、協会は満18歳になってから免許申請をするよう案内している。

Q7. 試験結果を電話で問い合わせることはできますか。

できない。協会は、電話などによる試験結果の照会には一切応じないとしている。合格者には「免許試験合格通知書」が届き、結果はセンターのホームページにも掲載される。

Q8. 管理区域が複数ある場合、主任者はひとりでよいですか。

電離則第46条は「管理区域ごとに」選任すると定めている。管理区域ごとに選任が必要という条文の書き方なので、具体的な配置は所轄の労働基準監督署などに確認するのが確実である。

Q9. 独学でも合格できますか。

学習方法について公式資料に特別な定めはない。協会が示す4科目(管理、関係法令、測定、生体への影響)と配点を軸に計画を立てることになる。科目ごとに40%の足切りがあるので、配点の大きい管理に偏りすぎず、20点の関係法令も含めて全科目に手を付けておくことが大切だと考える。

Q10. 衛生管理者や作業環境測定士など、他の安全衛生系資格との関係はありますか。

エックス線作業主任者の免許は、電離則第46条の作業について選任される主任者のための免許であり、他の資格の代わりになるものではない。事業場の作業内容によっては、別の資格を持つ人の配置も必要になる。各資格の要件は関連記事で個別に整理しているので、あわせて確認してほしい。

まとめ

この記事のポイント

  • 選任義務の対象は、医療用と波高値による定格管電圧が1000kV以上の装置を除くエックス線装置を使う作業(令第6条第5号)。
  • 事業者は、免許を受けた者のうちから、管理区域ごとに選任する(電離則第46条)。
  • 受験資格は不要だが、免許証は満18歳に満たない者には交付されない(電離則第49条)。
  • 合格後は合格通知書と必要書類を添えて東京労働局免許証発行センターに免許申請をする。申請しなければ選任の対象にならない。
  • ガンマ線の合格者は生体の1科目、第二種放射線取扱主任者は測定・生体の2科目が免除される。
  • 手数料8,800円は令和5年6月1日現在の表示、日程は令和8年4月〜令和9年3月の区分で会場ごとに異なる。

エックス線作業主任者は、受験の入口が広い一方で、合格と免許の区別、18歳の要件、管理区域ごとの選任といった、手続きと条文の細部でつまずきやすい資格である。職務の規定は令和8年4月1日と令和9年10月1日に順次改正が施行されるので、実務で使う人は現行の条文を確認しておきたい。なお、この記事は資格制度の一般的な解説であり、個別の事業場への法的助言ではない。自社の選任や手続きについては、所轄の労働局・労働基準監督署などに確認してほしい。

関連する安全衛生系の国家資格については、以下の記事もあわせて参照してほしい。

出典

  • 公益財団法人安全衛生技術試験協会「エックス線作業主任者の紹介」https://www.exam.or.jp/introduction/h_shokai701/(2026年10月23日確認)
  • 公益財団法人安全衛生技術試験協会「試験手数料」https://www.exam.or.jp/h_tesuryo(2026年10月23日確認)
  • 公益財団法人安全衛生技術試験協会「合格後の手続き」https://www.exam.or.jp/h_tetsuduki(2026年10月23日確認)
  • 公益財団法人安全衛生技術試験協会「エックス線作業主任者の日程」https://www.exam.or.jp/schedule/h_nittei701(2026年10月23日確認)
  • e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第14条、第72条(2026年10月23日確認)
  • e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第6条第5号、第5号の2(2026年10月23日確認)
  • e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第66条の3(2026年10月23日確認)
  • e-Gov法令検索「電離放射線障害防止規則」第46条、第47条、第49条、第50条、第51条、第52条の2、第52条の4、第52条の4の4(2026年10月23日確認)
  • 厚生労働省 リーフレット「作業主任者の職務が追加されます」(令和7年10月作成、2026年10月23日確認)

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