資格比較・ランキング

看護師・准看護師・保健師・助産師の違いは?4資格の積み上げ構造と取得ルート

看護の資格には、看護師・准看護師・保健師・助産師の4つがあります。名前は近いのですが、免許を出す主体も、できる業務も、取得のルートも違います。とくに保健師と助産師は看護師の資格を前提とする積み上げ式になっており、准看護師から看護師へ進む道も別に用意されています。この記事では、4つの関係と、それぞれの取得ルートを整理します。

4つの資格の関係

資格 免許を出す主体 位置づけ
看護師 国(厚生労働大臣) 療養上の世話と診療の補助を行う
准看護師 都道府県知事 医師・歯科医師・看護師の指示を受けて業務を行う
保健師 国(厚生労働大臣) 保健指導に従事する。看護師の資格が前提
助産師 国(厚生労働大臣) 助産と、妊産婦・新生児の保健指導。看護師の資格が前提

最初に押さえるべきなのは、准看護師だけが都道府県知事の免許であるという点です。他の3つは国家資格で、国家試験に合格する必要があります。

そして保健師と助産師は、看護師の資格を持っていることが前提になります。看護師国家試験に合格しないまま保健師の試験だけ通っても、保健師の免許は取得できません。土台に看護師があり、その上に積み上がる構造です。

看護師と准看護師の違い

項目 看護師 准看護師
免許 国家資格 都道府県知事の免許
業務の進め方 自らの判断で療養上の世話を行える 医師・歯科医師・看護師の指示を受けて行う
養成期間 3年以上(大学は4年) 2年
入学の要件 高等学校卒業程度 中学校卒業程度
管理職・専門資格 認定看護師・専門看護師などへ進める 対象外のものが多い

実務での最大の違いは、指示を受けて動く立場かどうかです。准看護師は自らの判断で療養上の世話を行うことができず、指示のもとで業務にあたります。

また、キャリアの広がりにも差が出ます。認定看護師や専門看護師といった上位の資格、あるいは看護管理者の立場は、看護師免許を前提としているものが多くなっています。

准看護師から看護師になるルート

准看護師として働きながら看護師を目指す道が制度として用意されています。看護師養成所の2年課程(進学コース)を経て、看護師国家試験を受験する形です。

課程 期間 特徴
全日制 2年 通学が中心。仕事との両立は難しい
定時制 3年 働きながら通える。期間は長くなる
通信制 2年 一定年数以上の実務経験が入学の要件になる

通信制は、准看護師としての実務経験が入学の条件になっています。必要な年数は制度改正で短縮された経緯があり、現在の要件は必ず最新の募集要項で確認してください。以前の情報のまま「まだ足りない」と諦めている人がいる可能性があります。

通信制であっても、面接授業(スクーリング)や実習の日程は組まれます。勤務先の理解を得られるかが、続けられるかどうかを左右します。

看護師になるルート

看護師国家試験の受験資格を得るには、次のいずれかの課程を修める必要があります。

  • 大学(4年)で看護に関する学科を修めて卒業する
  • 短期大学(3年)の看護学科を卒業する
  • 看護師養成所(3年)を卒業する
  • 准看護師として、2年課程(進学コース)を修了する

実務経験だけで受験資格を得ることはできません。これは養成課程の修了が条件になる型で、歯科衛生士や柔道整復師と同じ構造です。介護分野のように現場の経験を積み上げて受験資格に到達する仕組みとは異なります。医師の指示の下で視能検査や訓練を担う視能訓練士も、養成課程を修めることが受験の前提になっている点は同じです。

大学と養成所のどちらを選ぶかは、期間と学費、そして進路の広がりで判断することになります。大学では保健師や助産師の課程を並行して履修できる場合があり、その分だけ選択肢が増えます。

保健師・助産師へ進むには

どちらも、看護師の資格を土台にした上乗せの資格です。

保健師 助産師
主な職場 自治体の保健センター、企業の健康管理部門、学校 病院・診療所の産科、助産所
仕事の中心 地域や職場での保健指導、健康づくり 分娩の介助、妊産婦と新生児のケア
養成課程 看護師の資格を前提に1年以上 看護師の資格を前提に1年以上
性別の要件 なし 女性に限られる

助産師は、法律上、女性のみが取得できる資格です。現在の日本の資格制度で性別の要件があるものは非常に珍しく、この資格はその数少ない例にあたります。

大学によっては、看護師の課程と保健師または助産師の課程を統合したカリキュラムを設けていて、在学中に両方の国家試験の受験資格を得られる場合があります。ただし定員が限られていることが多く、学内での選抜があるのが一般的です。

進学して取得する場合は、看護師として働いた後に1年以上の課程に通うことになります。収入が途切れる期間をどうするかが、現実的な検討事項になります。

看護師免許を取った先の広がり

看護師の免許は、取得した後の選択肢が広い資格です。働く場所も、専門を深める道も複数あります。

働く場所

  • 病院・診療所 最も一般的。診療科によって求められる知識と働き方が変わります
  • 訪問看護 利用者の自宅で療養を支えます。判断を求められる場面が多く、経験を積んでから移る人が多い分野です
  • 介護施設 特別養護老人ホームや老人保健施設で健康管理を担当します
  • 企業 健康管理室での対応。保健師の資格があるとさらに広がります
  • 学校・保育所 子どもの健康管理と保護者への対応
  • 治験・製薬 臨床開発モニターなど、医療知識を活かす職種

専門を深める資格

看護師として経験を積んだ後、特定の分野を深める認定制度があります。日本看護協会が認定する専門看護師と認定看護師が代表的で、いずれも看護師免許と一定年数の実務経験を前提としています。がん看護、感染管理、救急看護、皮膚・排泄ケアなど、分野ごとに区分が設けられています。

さらに、特定の医行為を手順書に基づいて行える特定行為研修の制度もあります。看護師免許は入口であって、その先に段階が用意されているという点が、この資格の特徴です。

准看護師の段階ではこれらの多くが対象外になります。長く医療の現場で働くつもりなら、看護師までの道筋を早い段階で描いておくほうが選択肢が残ります。

看護師国家試験の合格率と合格基準

ここでは、厚生労働省が公表している直近3回の結果と合格基準、次回の日程をまとめます。人数の単位は人です。

看護師国家試験の結果(第113回〜第115回)

回(実施) 区分 受験者 合格者 合格率
第115回(令和8年2月) 全体 59,614 52,666 88.3%
第115回(令和8年2月) うち新卒者 54,036 50,862 94.1%
第114回(令和7年2月) 全体 63,131 56,906 90.1%
第114回(令和7年2月) うち新卒者 56,035 53,718 95.9%
第113回(令和6年2月) 全体 63,301 55,557 87.8%
第113回(令和6年2月) うち新卒者 57,860 53,903 93.2%

3回とも、新卒者の合格率は全体の合格率を上回っています。第115回は全体が88.3%、新卒者が94.1%でした。

保健師・助産師国家試験の合格率

看護師国家試験と同じ時期に実施された回の結果です。

実施 保健師 助産師
令和8年2月 第112回 87.1%(受験者7,467・合格者6,502) 第109回 99.7%(受験者2,046・合格者2,040)
令和7年2月 第111回 94.0%(受験者7,658・合格者7,196) 第108回 98.9%(受験者2,050・合格者2,027)
令和6年2月 第110回 95.7%(受験者7,795・合格者7,456) 第107回 98.8%(受験者2,151・合格者2,125)

新卒者の合格率は、第112回保健師が89.9%、第109回助産師が99.8%です。

第115回の合格基準

看護師国家試験は、必修問題と一般問題を1問1点、状況設定問題を1問2点として採点します。次の2つを両方満たすことが合格の条件です。

回 必修問題 一般問題・状況設定問題
第115回 40点以上/50点 166点以上/249点
第114回 40点以上/50点 148点以上/250点
第113回 40点以上/49点 158点以上/250点

必修問題は3回とも40点以上が基準で、一般問題・状況設定問題の基準点は回ごとに変わっています。第115回では、採点から除外するなどの取扱いをした問題がありました。

同じ時期の保健師(第112回)は総得点87点以上/145点、助産師(第109回)は総得点87点以上/144点が合格基準です。

第116回看護師国家試験の日程

第116回は令和8年8月3日に告示されています。

項目 内容
試験日 令和9年2月14日(日)
出願(書類提出)期間 令和8年11月6日(金)〜11月27日(金)
受験手数料 5,400円(収入印紙を願書に貼付)
受験票 令和9年1月中旬に発送予定
合格発表 令和9年3月24日(水)午後2時
試験地 北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県

合格発表では、厚生労働省ホームページの資格・試験情報ページに受験地と受験番号が掲載されます。

合格後は登録が必要

国家試験に合格しただけでは、業務を行えません。免許の申請をして、籍(名簿)に登録される必要があります。合格と免許が別の手続きである点は、他の医療系資格と同じです。

4月の就業開始に間に合わせるには、合格発表からの手続きを速やかに進めることになります。勤務先から案内があるのが通常ですが、必要書類の準備は自分で行います。

資格を持たない人が担える範囲

看護補助者(看護助手)として病棟で働くことは、資格がなくても可能です。ただし、診療の補助や療養上の世話にあたる行為はできません。ベッドメイキング、環境整備、物品の管理、患者の移送といった業務が中心になります。

また、看護師・准看護師・保健師・助産師のいずれも名称独占です。資格がない人がこれらを名乗ることはできません。求人票や自己紹介での表記にも関わります。

看護補助者として働いた経験は、看護師の受験資格にはなりません。現場を知っている強みは学習に活きますが、養成課程を経る必要がある点は変わりません。

よくある質問

働きながら看護師になれますか。

准看護師として働きながら、定時制や通信制の2年課程で看護師を目指す道があります。まったくの未経験から働きながら看護師を目指す場合は、養成所の定時制課程を探すことになります。

准看護師と看護師で給与に差はありますか。

勤務先によりますが、差が設けられているのが一般的です。加えて、就ける役割や進める専門分野に違いが出ます。

実務経験で看護師の受験資格を得られますか。

得られません。指定された養成課程を修めることが必要です。看護補助者としての経験は受験資格になりません。

保健師の資格だけを取ることはできますか。

できません。看護師の資格が前提です。保健師の国家試験に合格しても、看護師国家試験に合格していなければ保健師の免許は取得できません。

男性でも助産師になれますか。

なれません。助産師は法律上、女性に限られています。産科の分野に関わりたい男性は、看護師として働く道を検討することになります。

社会人からでも目指せますか。

目指せます。年齢の上限はありません。ただし養成課程に通う期間の生活設計が課題になるため、通える学校の形態(全日制・定時制)と、教育訓練給付などの支援制度を先に確認してください。

准看護師の制度はなくなりますか。

制度の将来については議論がありますが、現時点で准看護師の資格は存続しています。進路を決める際は、看護師までの道筋を含めて考えておくと安心です。

まとめ

看護の資格は、准看護師と看護師という2つの入口があり、その上に保健師と助産師が積み上がる構造になっています。准看護師だけが都道府県知事の免許で、他は国家資格です。

いずれも養成課程を修めることが受験の条件で、実務経験だけで受験資格を得ることはできません。看護補助者として現場を知っていることは学習に活きますが、学校に通う必要がある点は変わりません。

准看護師から看護師へ進むルートは制度として整備されており、通信制の入学要件は改正で緩和された経緯があります。以前調べて諦めた人は、現在の要件を確認し直す価値があります。

この記事の制度に関する内容は、保健師助産師看護師法の規定と、厚生労働省が公開している資格・試験の案内をもとに2026年9月に整理したものです。養成課程の要件や試験の実施内容は変更される場合があるため、進学や受験の前に必ず公式の最新情報を確認してください。

この記事の集計方針や出典の扱いについては、運営者情報ページにまとめています。

出典

あわせて読みたい

-資格比較・ランキング