基本情報技術者試験は、IT分野の国家試験である情報処理技術者試験の中で、実際にシステムやソフトウェアを作る人材の基礎を測る区分です。以前は春期・秋期の年2回でしたが、現在はCBT方式で随時受験できるようになり、社会人が自分の都合に合わせて挑戦しやすくなりました。令和7年度は147,186人が受験して56,370人が合格し、合格率は38.3%でした。この記事では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開している情報をもとに、試験の構成・合格基準・合格率の推移・学習の進め方を整理します。
基本情報技術者試験とはどんな試験か
IPAは対象者像を「ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能」を持つ者としています。上位者の指導のもとでシステムの設計・開発・運用に関わり、情報セキュリティを考慮した実装ができる水準が想定されており、実務に入る手前の土台を確認する試験という位置づけです。
情報処理技術者試験の中での位置は次のとおりです。
| 試験区分 | 想定される水準 | 実施方式 |
|---|---|---|
| ITパスポート試験 | 職種を問わず社会人に必要なITの基礎知識 | CBT方式で随時 |
| 基本情報技術者試験 | ITを使ったシステムやソフトウェアを作る人材の基礎 | CBT方式で随時 |
| 応用情報技術者試験 | 自ら判断して設計・開発・運用を担う応用的な水準 | CBT方式・前期後期の年2回 |
ITパスポートが「使う側」の知識を問うのに対し、基本情報技術者からは「作る側」の内容に踏み込みます。アルゴリズムやプログラミングが出題に含まれるのはこのためです。上位区分の位置づけは応用情報技術者試験の概要、入口の区分はITパスポート試験の概要と勉強法で解説しています。
応用情報技術者試験・高度試験は2026年度(令和8年度)から紙の試験に代えてCBT方式に切り替わったが、基本情報技術者試験のような通年随時方式ではない。前期・後期の年2回の実施期間の中で会場・日時を選ぶ方式で、応用情報技術者試験の令和8年度前期は科目Aが2026年10月28日〜11月10日、科目Bが11月24日〜12月6日に行われる(出典:IPA「令和8年度 応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験の申込受付期間及び試験実施期間について」、2026年9月17日更新、10月4日確認)。
通年化で変わったこと
かつては春期・秋期の年2回、決まった日に一斉に受験する形式でした。現在はCBT方式により随時実施されており、全国の会場から日時を選んで申し込めます。試験区分も、以前の午前・午後という呼び方から、科目A試験・科目B試験という構成に変わりました。
試験の構成
| 科目 | 出題数 | 試験時間 | 出題形式 |
|---|---|---|---|
| 科目A試験 | 60問 | 90分 | 多肢選択式(四肢択一) |
| 科目B試験 | 20問 | 100分 | 多肢選択式 |
科目Aはテクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の3分野から出題されます。中心はテクノロジ系で、基礎理論、コンピュータの構成、データベース、ネットワーク、セキュリティ、システム開発といった技術領域が広く含まれます。マネジメント系はプロジェクトマネジメントやサービスマネジメント、ストラテジ系は経営戦略や法務が範囲です。1問あたりにかけられる時間は1分半程度です。知識を思い出すのに時間がかかる状態では最後まで解ききれないため、反射的に答えられる水準まで反復する必要があります。
科目Bで問われること
科目Bは、アルゴリズムとプログラミング、情報セキュリティを中心に構成されます。プログラムは特定の言語ではなく、試験用に定義された擬似言語で出題されるため、Javaが書けるかPythonが書けるかといった言語の選択は関係ありません。問われるのは、処理の流れを正確に追えるかどうかです。
20問で100分ですから、1問あたり5分が目安になります。トレース(変数の値を1行ずつ追う作業)に時間がかかると、後半の問題に手が回らなくなります。科目Bの対策は、知識を増やすことより、手を動かして追う速度を上げることが中心になります。
採点方式と合格基準
採点にはIRT(項目応答理論)に基づく評価点が用いられ、科目A試験と科目B試験のそれぞれで基準点以上を取ることが合格の条件です。片方だけが高得点でも、もう一方が基準に届かなければ合格になりません。試験要綱(Ver.5.6)では、科目A・科目Bとも1,000点満点で、それぞれ600点以上が基準点とされています。
年度別の合格率
IPAの統計資料(令和7年度 推移表)による、直近5年度の結果は次のとおりです。CBT方式で受けた人の数も含まれています。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 85,428人 | 34,734人 | 40.7% |
| 令和4年度 | 101,620人 | 38,033人 | 37.4% |
| 令和5年度 | 121,611人 | 57,278人 | 47.1% |
| 令和6年度 | 133,732人 | 54,501人 | 40.8% |
| 令和7年度 | 147,186人 | 56,370人 | 38.3% |
受験者は4年で約1.7倍に増え(当サイト計算)、合格率は4割前後で推移しています。令和5年度は47.1%と高めでしたが、その後は40%前後に戻っています。同じCBT区分の情報セキュリティマネジメント試験は令和7年度の合格率が70.0%で、基本情報のほうがはっきり難しい結果になっています。
科目A試験免除制度
基本情報技術者試験には、科目A試験の受験を免除できる制度があります。IPAの認定を受けた講座を受講し、その講座の修了試験(科目A試験に相当する内容)に合格すると、修了認定者として一定期間、科目A試験が免除されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 免除の条件 | IPAが認定した講座を受講し、修了試験に合格して修了認定者になること |
| 免除される科目 | 科目A試験のみ(科目B試験は受験が必要) |
| 免除の有効期間 | 免除有効期間の開始日から1年間 |
| 認定講座の探し方 | IPAが認定講座の一覧を公開している |
この制度を使うと、本番では科目B試験だけに集中できます。科目Aの知識分野が広く、暗記の負担が重いと感じる人にとっては、学習を講座のペースに乗せながら1段階ずつ確定させていける仕組みです。専門学校や社会人向けスクールの基本情報対策講座がこの認定を受けている場合があります。
受験手数料と申し込みの流れ
受験手数料は7,500円(税込)とされています。申し込みは、IPAの案内に従って受験者用のページから行い、自分で試験日時と会場を選ぶ形式です。支払いには、電子的な前売りチケットであるバウチャーを使うこともできます。
会場や時間帯によっては早く埋まることがあるため、希望日がある場合は余裕をもって予約するほうが安全です。働きながら最短で取れる資格はどれ?受験機会と結果発表の早さで12資格を比較でも触れているとおり、通年受験できる試験は日程の自由度が高い反面、自分で締め切りを作る必要があります。
学習時間の目安と進め方
学習時間の目安は、IT系の実務経験や学習歴によって大きく変わります。まったくの未経験から始める場合は200時間前後、ITパスポートを取得済みであったり業務でITに触れていたりする場合はその半分程度が一つの目安として語られます。科目Bのアルゴリズムに慣れているかどうかで、必要な時間は最も大きく変動します。
- 科目Aの知識分野を一通り学習し、テクノロジ系の用語と計算問題に慣れる
- 擬似言語の記法を確認し、簡単なプログラムのトレースを繰り返す
- 科目Bのサンプル問題・公開問題を、時間を計って解く
- 科目Aは過去問形式の演習を反復し、正答率と解答スピードを同時に上げる
- 科目A・科目Bの両方が基準に届く状態を確認してから受験日を予約する
IPAはサンプル問題や公開問題を無償で提供しています。市販教材を買う前に、まず科目Bの公開問題を1問解いてみると、自分にとっての本当の難所がどこかが分かります。
どんな人が受けるべきか
- IT企業への就職・転職を目指していて、学習の到達点を客観的に示したい人
- 新人研修で取得を求められている人。企業によっては取得が昇給や手当の条件になっている
- 非IT職から社内のIT部門への異動を考えている人
- 応用情報技術者試験を目標にしていて、その前段として基礎を固めたい人
一方、ITを「使う側」の知識だけで足りる職種であれば、ITパスポートで目的を果たせる場合もあります。アルゴリズムの学習に時間を割く必要があるかどうかを、目的から逆算して判断してください。未経験からITエンジニアを目指す道筋全体は未経験からITエンジニアに転職するには?資格・スクール・独学のルートを比較するで整理しています。
情報セキュリティマネジメント試験との違い
基本情報技術者試験と同じくCBT方式で随時実施されている区分に、情報セキュリティマネジメント試験があります。こちらはセキュリティを確保する立場の利用者側に焦点を当てた区分で、アルゴリズムやプログラミングは中心ではありません。作る側の基礎を身につけたいなら基本情報技術者試験、部署の情報管理を担う立場でセキュリティを体系的に押さえたいなら情報セキュリティマネジメント試験、という選び方になります。セキュリティ分野の上位資格については情報処理安全確保支援士とはもご覧ください。
履歴書にはどう書くか
正式名称は「基本情報技術者試験」で、合格した年月とあわせて記載します。国家試験である情報処理技術者試験の一区分であることが伝わるよう、略称ではなく正式名称で書くのが基本です。合格発表を待っている段階であれば、受験済みである旨と結果待ちであることを正確に書き分けてください。
不合格だった場合の再受験
通年実施の試験には、再受験に関する規定(リテイクポリシー)が公開されています。受験後すぐに何度でも申し込めるわけではないため、不合格になった場合は、次にいつ申し込めるのかをIPAの案内で確認してください。
再受験までの期間は、弱点を補強する時間と考えると無駄になりません。特に科目Bで基準に届かなかった場合は、知識の追加ではなく、トレースの練習量を増やすことが直接的な対策になります。
2026年末からの試験休止に注意
この試験を含むCBT方式の区分(ITパスポート試験・情報セキュリティマネジメント試験・基本情報技術者試験)は、システム更新のため2026年12月28日以降、実施が一時休止されるとIPAが公表しています。もともと2026年4月27日以降に予定されていた休止が延期されたもので、会場によっては12月27日より前に受験できなくなる場合があります。2027年1月以降の実施については、2026年秋ごろにIPAのウェブページで案内される予定とされています。
通年で受けられることを前提に「準備ができてから申し込もう」と考えていると、休止期間に重なって数か月動けなくなります。受験を考えているなら、学習計画を立てる前に受験できる時期を確認してください。最新の日程はIPAの公式サイトで告知されます。
よくある質問
プログラミング未経験でも合格できますか。
科目Bは特定のプログラミング言語ではなく擬似言語で出題されるため、業務でコードを書いた経験がなくても対策は可能です。ただし、処理の流れを追う練習に相応の時間が必要になります。
ITパスポートを飛ばして受けてもいいですか。
受験の順序に決まりはありません。IT分野の学習経験がある人は直接基本情報技術者試験を目指すこともできます。用語にまったく馴染みがない場合は、ITパスポートで全体像をつかんでから進むほうが、遠回りに見えて早いこともあります。
試験はいつ受けられますか。
CBT方式により随時実施されており、全国の会場から自分で日時を選んで申し込みます。年に何回という制限のもとで日程が決まっていた以前の方式とは異なります。
合格発表はいつですか。
合格発表は正午の予定で行われ、合格者の受験番号一覧のほか、受験者マイページからも確認できます。
科目Aと科目Bは同じ日に受けますか。
科目A試験と科目B試験は、それぞれ試験時間が設定されています。申し込みの際に案内される実施方法を確認してください。
受験に年齢や学歴の制限はありますか。
情報処理技術者試験に受験資格の制限はありません。学生でも社会人でも受験できます。
科目A免除制度を使うと受験料は安くなりますか。
免除制度は科目A試験の受験を免除するもので、受験手数料そのものが不要になる仕組みではありません。あわせて、認定講座の受講費用が別に必要になります。金銭面ではなく、学習の負担を分割できる点にメリットがある制度です。
この資格は就職で評価されますか。
国家試験であること、対象者像が明確であることから、IT企業の採用や社内の資格手当の対象になっているケースがあります。ただし評価のされ方は企業によって異なるため、資格そのものより、学習で身につけた基礎をどう説明できるかが問われます。
まとめ
基本情報技術者試験は、CBT方式で随時受験できるようになり、学習の完了時点に合わせて受験日を決められる試験になりました。構成は科目A試験(60問・90分)と科目B試験(20問・100分)で、いずれも基準点以上が必要です。難所は科目Bのアルゴリズムで、知識の量より、擬似言語で書かれた処理を正確に追う練習量が結果を左右します。
通年で受けられるということは、自分で締め切りを設定しない限りいつまでも先延ばしにできるということでもあります。学習を始める前に受験日を予約し、そこから逆算して科目Aと科目Bの学習配分を決めるところから始めてみてください。
この記事の試験構成・実施方式・受験手数料に関する内容は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開している試験情報をもとに2026年9月に確認したものです。合格率は令和7年度の統計資料(推移表、令和8年4月21日現在)、基準点は試験要綱Ver.5.6で2026年10月4日に確認しました。なお、IPAは2027年度から新しい試験制度に移る予定で、基本情報技術者試験は試験名を残したまま2027年度春ごろから新制度で実施される見込みです。試験要綱やシラバスは改訂されることがあるため、申し込み前に必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。
この記事の集計方針や出典の扱いについては、運営者情報ページにまとめています。
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