Python 3 エンジニア認定試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が運営する民間資格で、CBT方式により全国のオデッセイコミュニケーションズのテストセンターで通年受験できます。同協会は「基礎試験」「実践試験」「データ分析試験」「データ分析実践試験」の4種類を用意しており、名前が似ているうえ、出題範囲も合格率も大きく違います。この記事では、協会の公式サイトに載っている試験概要と、2024年3月に公表された合格率の統計をもとに、4種類の違い、出題範囲の配分、費用の考え方を整理しました。
この記事の要点
- 4種類とも40問の選択式で、合格基準は正答率70%(40問中28問以上)。基礎とデータ分析は受験料10,000円(税別)、実践とデータ分析実践は12,000円(税別)
- 協会が公表した合格率は、基礎試験76.0%、実践試験48.6%、データ分析試験81.5%。集計は2017年6月〜2024年2月末で、実践試験だけが半数を下回る
- 基礎試験の出題は教材「Pythonチュートリアル」の14章に配分され、「制御構造ツール」「データ構造」「気楽な入門編」の3章だけで40問中22問(55%)を占める
- プログラミング未経験の入口は基礎試験。データ分析試験はNumPy・pandas・Matplotlib・scikit-learnに数学基礎まで含むため、基礎の次に考えるほうが無理がない
Python 3 エンジニア認定試験とは
運営元は一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会です。試験の実施と受付は、オデッセイコミュニケーションズのCBT(Computer Based Testing)の仕組みで行われ、全国のテストセンターで通年受験できます。CBTでは筆記用具やメモ帳の持ち込みができないため、コードの動作は頭の中でたどる形になります。
公式サイトによると、基礎試験とデータ分析試験は経済産業省のITSS(ITスキル標準)に掲載され、厚生労働省の一般教育訓練給付制度の指定講座の対象試験としても案内されています。基礎試験は、ITSSのソフトウェアディベロップメント職・応用ソフト専門分野のレベル1にあたると書かれています。ただし、これは国家資格ではなく民間資格です。取得しても業務独占などの法的な資格が生まれるわけではありません。公式の試験一覧ページには、経済産業省の「DX推進スキル標準(DSS-P)」にも、基礎試験とデータ分析試験がレベル1として登録されたとの記載があります(2026年10月3日確認)。
4種類の試験の違い
| 試験名 | 問題数 | 試験時間 | 受験料(税別) | 学割(税別) | 合格率(2024年3月公表) |
|---|---|---|---|---|---|
| 基礎試験 | 40問 | 60分 | 10,000円 | 5,000円 | 76.0% |
| 実践試験 | 40問 | 公式サイトの一覧では確認できず | 12,000円 | 6,000円 | 48.6% |
| データ分析試験 | 40問 | 公式サイトの一覧では確認できず | 10,000円 | 5,000円 | 81.5% |
| データ分析実践試験 | 40問 | 75分 | 12,000円 | 6,000円 | 公表資料に数値なし |
すべて選択問題で、合格基準は正答率70%です。40問なので、28問正解すれば合格、誤答は12問まで許されます。試験時間は基礎試験が60分、データ分析実践試験が75分と公式サイトに記載されています。実践試験とデータ分析試験の試験時間は、この記事で確認した公式ページには載っていなかったため、申し込み画面で確認してください。
名前の付き方に注意が必要です。「実践」が付く試験は基礎と同じ土台ではなく、別の教材で別の切り口から問われます。データ分析実践試験の主教材は「Pythonデータ分析 実践ハンドブック」で、11章のうち10章が出題の対象、配分は表形式データの加工が15%、データの評価が20%です。
実践試験は2026年12月1日に主教材と出題が変わる
協会は2026年9月28日、実践試験の主教材を改訂新版「Python実践レシピ」(技術評論社)に変更すると発表しました。Pandasなどのバージョンアップに合わせた改訂で、2026年12月1日から試験問題も新しい主教材に合わせた出題に変わります。旧主教材で受験する場合は、2026年11月末までに受けるよう案内されています。
実践試験を検討している人は、受験日が2026年11月末までか12月以降かで、使う教材が変わります。学習を始める前に、公式の実践試験ページで現在の主教材を確認してください。基礎試験・データ分析試験・データ分析実践試験については、同じ発表に変更の記載はありません。
基礎試験の出題範囲を章ごとに読む
基礎試験の主教材は、オライリー・ジャパンの「Pythonチュートリアル」です。公式サイトには章ごとの出題数が公開されており、合計は40問になります。
| 章 | 出題数 | 出題率 |
|---|---|---|
| 1章 食欲をそそってみようか | 1 | 2.5% |
| 2章 Pythonインタープリタの使い方 | 1 | 2.5% |
| 3章 気楽な入門編 | 6 | 15.0% |
| 4章 制御構造ツール | 9 | 22.5% |
| 5章 データ構造 | 7 | 17.5% |
| 6章 モジュール | 2 | 5.0% |
| 7章 入出力 | 1 | 2.5% |
| 8章 エラーと例外 | 4 | 10.0% |
| 9章 クラス | 2 | 5.0% |
| 10章 標準ライブラリめぐり | 4 | 10.0% |
| 11章 標準ライブラリめぐり PartII | 1 | 2.5% |
| 12章 仮想環境とパッケージ | 1 | 2.5% |
| 13章 次はなに? | 0 | 0.0% |
| 14章 対話環境での入力行編集とヒストリ置換 | 1 | 2.5% |
この配分から、当サイトで次の2点を計算しました。
- 3章・4章・5章の合計は22問(55%)です。「気楽な入門編」で数値・文字列・リストの基本操作、「制御構造ツール」でif・for・関数定義、「データ構造」でリスト・辞書・集合などを扱う章で、ここを固めれば合格ラインの28問のうち22問を取れる計算になります
- ここに8章(エラーと例外)と10章(標準ライブラリめぐり)の各4問を加えた5章で、40問中30問(75%)です。残り9章のうち、出題が1〜2問の章が8つあります
「Pythonチュートリアル」は全14章と分量がありますが、13章は出題0問です。得点に直結しない章に時間をかけすぎない、という配分の目安として使えます。ただし、実際の出題は教材の記述だけでなく、コードを読んだときの実行結果を問う形式も含まれます。教材を読むだけで終わらず、手を動かして動作を確かめる学習と併用するのが安全です。
データ分析試験の出題範囲を問題数に直す
データ分析試験の主教材は、翔泳社「Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書 第2版」(2022年10月24日発売、税込2,554円)です。公式サイトの出題割合を40問に換算すると次のとおりです。
| 分野 | 割合 | 40問換算 |
|---|---|---|
| scikit-learn | 20% | 8問 |
| pandas | 17.5% | 7問 |
| NumPy | 15% | 6問 |
| Matplotlib | 15% | 6問 |
| 数学基礎 | 15% | 6問 |
| Pythonと環境 | 12.5% | 5問 |
| データエンジニアの役割 | 5% | 2問 |
換算値は割合に40を掛けた当サイトの計算です。最大の分野でも8問(20%)にとどまり、特定の分野だけを捨てて合格ラインの28問を狙うのは難しい構成です。たとえばscikit-learnを完全に落とすと、残りの32問のうち28問を取る必要があり、正答率は87.5%になります。基礎試験のように「重い章に集中する」という戦い方は取りにくく、7分野を満遍なく押さえる試験だと読めます。
合格率の数字をどう読むか
協会は2024年3月14日に、試験の受験者数が累計で50,990人(2024年2月末時点)になったと公表し、試験ごとの合格率もあわせて示しました。集計期間は2017年6月から2024年2月末までの6年8か月です。
| 試験 | 合格率 |
|---|---|
| 基礎試験 | 76.0% |
| 実践試験 | 48.6% |
| データ分析試験 | 81.5% |
読むときの注意が3つあります。
- 実践試験は基礎の約64%(48.6÷76.0)の水準にとどまります。基礎に合格した人の多くが実践を受けるため、同じ層で合格率が下がっているなら、問われる深さがそれだけ違うということです
- データ分析試験の81.5%は、基礎より高い数字です。ただし、受験者の構成(すでにPythonやデータ分析に慣れた人が受けやすい、企業研修で受験する、など)がわかる資料は公表されていないため、「試験が易しい」とまでは言えません
- 協会の記事は、データ分析実践試験の合格率の数値を載せていません。この記事でも、その数値は書きません。ネット上の解説記事には数値を挙げるものがありますが、出典が公式でなければ、この記事では使わない方針としました
合格率は累計であり、年度ごとの推移は公表資料から読み取れません。直近の状況は、協会のサイトで最新の統計を確認してください。
どの試験から受けるか
選び方は、目的で分けると迷いにくくなります。
| 目的 | 最初の候補 | 理由(公表情報から) |
|---|---|---|
| Pythonの文法を体系的に学んだ証明が欲しい | 基礎試験 | 10,000円、教材が1冊に絞られ、出題範囲が章ごとに公開されている |
| 基礎の知識を業務のコード理解へつなげたい | 基礎の後に実践試験 | 合格率48.6%で、基礎より一段深い水準だと読める。費用は12,000円 |
| データ分析職を目指す | データ分析試験 | NumPy・pandas・Matplotlib・scikit-learnと数学基礎を1試験で問う。10,000円 |
| 実務のデータ加工まで問われたい | データ分析実践試験 | 表形式データの加工とデータの評価が配分の中心。12,000円 |
データ分析試験は、データ分析を仕事にしたい人向けです。ただし、Pythonの文法にまったく触れていない状態でいきなり受けるのは向きません。出題範囲に「Pythonと環境」が12.5%含まれ、NumPyやpandasのコードを読む前提があるためです。基礎試験の教材で文法を一通り押さえてから進むと、学習の順序に無理がありません。
受験料と、不合格時のコスト
再受験の制限や再受験料の割引などの規定は、この記事で確認した公式ページには見当たらなかったため、申し込み前に公式の受験案内で確認してください。以下は、一律料金として単純に計算した目安です。
| 受験の想定 | 基礎試験 | データ分析試験 | 実践・データ分析実践 |
|---|---|---|---|
| 1回で合格 | 10,000円 | 10,000円 | 12,000円 |
| 2回受験 | 20,000円 | 20,000円 | 24,000円 |
| 3回受験 | 30,000円 | 30,000円 | 36,000円 |
いずれも税別で、消費税は別に加わります。公表の合格率を「1回の受験で合格する確率」の目安と見なすと、基礎試験は約4人に3人が合格、実践試験は約2人に1人となります。不合格が想定されるほど、追加費用の見積もりが大きくなるのは実践試験です。学割の対象なら受験料は半額ですが、対象の条件は公式の案内で確認してください。
よくある誤解と失敗
- 「実践試験は基礎の上位版で、基礎と同じ教材で足りる」と考える ── 実践試験とデータ分析実践試験は、別の主教材があります。基礎の教材を読み込むだけでは対応できない範囲です
- 「データ分析試験の合格率が高いから易しい」と判断する ── 受験者の構成が公表されていないため、合格率の高さだけで難易度は判断できません。出題範囲は7分野にわたります
- 教材を通読しただけで受験する ── CBTでは筆記用具が使えず、コードを頭の中で追う問題が出ます。手元で実行して結果を確かめる練習が欠かせません
- ITSSへの掲載を「国家資格に準じるもの」と受け取る ── 掲載はスキルの目安を示すもので、資格の法的な位置づけが変わるわけではありません
- 合格率の数値を最新の状況と考える ── この記事の数字は2024年2月末までの累計で、その後の変動は反映されていません
向いている人・向いていない人
- 向いている人 ── プログラミングを独学で始め、学習の到達点を客観的な形で残したい人。教材が明示されているため、範囲を決めて学べます
- 向いている人 ── 企業研修や転職の場面で、Pythonの基礎知識を示す材料を用意したい人
- 向いていない人 ── Pythonを使わない職種で、資格が業務に直接関係しない人。民間資格のため、法的な必要性は生まれません
- 向いていない人 ── 資格の名前だけで採用や昇進が決まると期待する人。評価のされ方は企業ごとに異なり、資格手当の有無も会社次第です
よくある質問
Q1. 受験資格はありますか?
この記事で確認した公式の試験概要ページには、受験資格の制限は記載されていませんでした。学生向けの学割がある点から、幅広い層が受けられる試験と読めます。申し込み時の条件は、オデッセイコミュニケーションズの受験案内で確認してください。
Q2. 基礎試験の合格ラインは何問ですか?
正答率70%以上で、40問中28問以上の正解です。誤答は12問まで許されます。
Q3. 基礎試験で一番出題が多い章はどこですか?
4章「制御構造ツール」の9問(22.5%)です。次が5章「データ構造」の7問(17.5%)、3章「気楽な入門編」の6問(15.0%)です。
Q4. 実践試験の合格率はなぜ基礎より低いのですか?
協会は理由を明示していません。公表されている数字は、基礎試験76.0%、実践試験48.6%です。基礎の後に受ける人が多いと想定でき、問われる深さが違うためと考えられますが、これは推測です。
Q5. データ分析試験の主教材は何ですか?
翔泳社「Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書 第2版」です。2022年10月24日発売で、税込2,554円と公式サイトに記載されています。
Q6. 受験料に学割はありますか?
あります。基礎試験とデータ分析試験は5,000円(税別)、実践試験とデータ分析実践試験は6,000円(税別)です。対象範囲の詳細は、申し込み前に公式で確認してください。
Q7. 試験はどこで受けますか?
全国のオデッセイコミュニケーションズCBTテストセンターで、通年受験できます。会場と日時は受験者が選ぶ方式です。
Q8. 基本情報技術者試験との違いは何ですか?
基本情報技術者試験は経済産業省所管の国家試験で、IT全般の知識を問います。Python 3 エンジニア認定試験は、Pythonという言語とそのデータ分析ライブラリに絞った民間資格です。範囲と位置づけが異なります。
まとめ
この試験を検討するときの要点
- 4種類とも40問・正答率70%。受験料は基礎とデータ分析が10,000円、実践とデータ分析実践が12,000円(いずれも税別)
- 協会公表の合格率は基礎76.0%、実践48.6%、データ分析81.5%(2017年6月〜2024年2月末)
- 基礎試験は3〜5章の3章で40問中22問を占める。データ分析試験は7分野に散らばり、特定分野の切り捨てが難しい
- 入口は基礎試験。データ分析を目指す場合は文法を固めてからデータ分析試験へ進む順序が無理がない
試験内容・料金・出題範囲は改訂されることがあります。申し込みの前に、Pythonエンジニア育成推進協会とオデッセイコミュニケーションズの最新の案内を必ず確認してください。この記事は公開情報の整理であり、資格取得や就職・転職の結果を保証するものではありません。
この記事の集計方針や出典の扱いについては、運営者情報ページにまとめています。
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出典
- 一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会「Python基礎試験」「データ分析試験」「データ分析実践試験」および試験一覧ページ(https://www.pythonic-exam.com/exam/basic ほか、2026年9月26日確認、一覧ページは2026年10月3日に再確認)
- 同協会代表理事コラム「Python実践試験が12月1日にマイナーチェンジ」(2026年9月28日公開、https://pythonic-exam.com/archives/11394)
- 同協会「Python試験・データ分析試験の受験者数が累計で5万人になりました(合格率も公開)」(2024年3月14日公開、https://www.pythonic-exam.com/archives/7533)
- オデッセイコミュニケーションズ CBT「Python 3 エンジニア認定試験」の各試験ページ
- 章別・分野別の問題数換算、受験回数別の費用試算は、上記の公表値から当サイトで計算