WordやExcelなどオフィスソフトのスキルを客観的に証明できる資格として広く知られているのがMOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)だ。事務職を目指す人にとって身近な資格である一方、Word・Excel・PowerPointなど複数の科目があるため、どれから取得すべきか迷う人も多い。累計受験者は540万人を超えるが、毎月の全国一斉試験は2026年12月で終わり、受け方も変わる。この記事ではMOSの基本情報から科目構成、Word・Excelどちらを優先すべきかの考え方、全国一斉試験終了後の受け方まで、受験前に押さえておきたい実践的なポイントを整理する。
MOSとは何か
MOSは、Word・Excel・PowerPoint・Access・Outlookといったマイクロソフト製オフィスアプリケーションの操作スキルを証明する実技形式の検定試験だ。知識を問う筆記形式ではなく、実際にパソコンでファイルを操作しながら課題をこなす形式で実施される点が大きな特徴になっている。
MOSはマイクロソフト社が主催する試験で、日本国内での実施運営はオデッセイ コミュニケーションズが担っている。1997年の試験開始以来、累計受験者数は540万人を超え(2026年3月31日時点で5,401,484名)、国内のパソコンスキル系検定のなかでも規模の大きい試験のひとつに数えられる。
科目とレベルの構成
MOSはソフトごとに試験が分かれており、それぞれに難易度の異なる区分が設けられている。科目ごとに独立した試験なので、必要なものだけを選んで受けられる。
科目の種類
対象となる科目はWord、Excel、PowerPoint、Access、Outlookの5つ。実務での使用頻度が高いWordとExcelは、一般レベル・上級レベル(エキスパート)の両方が用意されているのに対し、PowerPointとOutlookは一般レベルのみ、Accessは上級レベルのみといったように、科目によって用意されている区分に違いがある。
科目とバージョンの対応
現在受けられるバージョンはMOS 365とMOS 2019で、科目によって選べるバージョンが異なる。
| 科目 | MOS 365 | MOS 2019 |
|---|---|---|
| Word | 一般・上級 | 一般・上級 |
| Excel | 一般・上級 | 一般・上級 |
| PowerPoint | 一般 | 一般 |
| Access | なし | 上級 |
| Outlook | 開始時期未定 | 一般 |
Outlook 365は公式サイトで開始時期未定とされており、予定は変更される場合がある。Outlookを受けたい場合、現時点ではMOS 2019を選ぶことになる。
一般レベルと上級レベル(エキスパート)の違い
公式サイトでは、一般レベルの対象者を次のように説明している。Wordは「文字サイズやフォントの変更、表の作成・編集、作成した文書の印刷など、Wordでの基本的な編集機能を理解している方」、Excelは「数式や基本的な関数の作成、セルの書式設定、グラフ作成など、Excelでの基本的な操作を理解している方」だ。
上級レベル(エキスパート)については、Wordが「スタイル機能や目次・索引作成などの長文機能、他のアプリケーションソフトからのデータ取り込みなど、Wordでの高度な機能を理解している方」、Excelが「ピボットテーブルなどのデータ分析、条件付き書式や入力規則の設定、マクロの作成・編集など、Excelでの高度な機能を理解している方」とされている。日常の文書作成や表計算を一通りこなせるかを見るのが一般、長文機能やデータ分析といった一歩踏み込んだ機能まで使えるかを見るのが上級、と整理すると分かりやすい。
Word・Excelどちらから取得すべきか
事務職の求人では、データ入力や集計業務に関わるスキルが求められる場面が多く、Excelを先に取得しておくと実務との親和性が高いとされることが多い。表計算や関数を使った集計は業種を問わず必要とされやすいスキルであり、Excelの証明は幅広い職場で評価されやすい。
一方でWordは文書作成の基本操作を証明しやすく、未経験からオフィスワークに挑戦する際の入り口として選ばれることも多い。議事録や提案書、社内文書の作成が業務の中心になる職種を志望する場合は、Wordを優先する選択も理にかなっている。
志望する職種で実際にどちらのソフトの使用頻度が高いかを、求人票や職務内容から事前に確認しておくと選びやすい。
データ入力・集計・分析が中心の業務ならExcelを優先する。
文書作成・資料作成が中心の業務ならWordを優先する。
将来的には両方の一般レベルを取得しておくと、対応できる業務の幅が広がり汎用性が高まる。
Excel 365の出題範囲
Excelから始める場合の目安として、Excel 365の出題範囲を紹介しておく。一般レベルは次の5分野で構成されている。
- ワークシートやブックの管理
- セルやセル範囲のデータの管理
- テーブルとテーブルのデータの管理
- 数式や関数を使用した演算の実行
- グラフの管理
Excel 365 エキスパートでは、ブックの管理やデータの入力規則、条件付き書式の設定に加え、検索関数や条件にあうデータのみを対象に計算を行える高度な関数の利用、ピボットテーブル・グラフを活用したデータ分析や評価までが範囲に入る。集計表を作るだけでなく、データを分析して評価する業務を想定した内容といえる。
類似資格・類似試験との違い
オフィスソフトのスキルを証明する資格はMOS以外にも存在する。代表的なものとの違いを整理すると、選び方の判断材料になる。
| 資格名 | 特徴 | 試験形式 |
|---|---|---|
| MOS | マイクロソフト公認、Word・Excel等ソフトごとに科目が独立 | 実技形式(実際にファイルを操作) |
| 日商PC検定 | 日本商工会議所が主催、文書作成・データ活用など業務課題に近い出題 | 実技+知識を問う設問を含む |
| ICTプロフィシエンシー検定(P検) | ICT総合活用力を幅広く問う検定、情報活用や知識分野も含む | 実技と筆記の組み合わせ |
| ビジネス能力検定(B検) | ビジネス実務全般の基礎知識を問う検定、ソフト操作に限定されない | 主に筆記形式 |
これらのなかでMOSは、特定のソフトの操作スキルをピンポイントで証明したい場合に選ばれやすい。反対に、ソフト操作以外のビジネス知識も含めて評価してほしい場合は、日商PC検定やビジネス能力検定など、範囲の異なる資格と比較検討する価値がある。
受験前に知っておきたい実践的なポイント
受験資格・受験方式
MOSには年齢や国籍による受験制限がなく、誰でも受験できる(未成年は保護者の同意が必要)。これまで試験は、毎月決まった日に行う「全国一斉試験」と、全国の試験会場でほぼ毎日行う「随時試験」の2方式だった。ところがオデッセイ コミュニケーションズは2026年8月18日、全国一斉試験を2026年12月で終了すると発表した。
第361回(10月11日)はすでに実施済みで、2026年10月16日時点で残っているのは第362回(11月8日)と、最終の第363回(12月13日、受付は11月16日まで)の2回だ。終了の告知では「引き続き、全国に試験会場があり、ほぼ毎日試験を実施する『随時試験』をご利用ください」と案内されており、2027年以降に受けるなら随時試験を利用することになると読み取れる。
全国一斉試験の受験票は試験日の10日前までにメールで届き、会場や時刻を指定・変更することはできない。随時試験は申し込み後の日程・科目の変更やキャンセル(返金)ができないため、日程を決めてから申し込みたい。
試験はすべてパソコンで操作する実技試験(CBT)で、試験時間は50分、筆記試験はない。結果は試験終了直後に判定され、得点・合否・分野別の正解率を載せた試験結果レポートが当日渡される。デジタル認定証は当日から閲覧でき、紙の認定証は2023年3月31日までの受験分で発行を終えている。
随時試験の申し込み手順
全国一斉試験が終わったあとの主な受け方となる随時試験は、次の流れで申し込む。
1. 公式サイトの「試験会場を探す」で、受けたい科目と日程に対応している会場を検索する(日程は各会場が設定している)。
2. サーティポートIDを登録する(無料)。
3. 試験会場へ直接申し込み、受験料は試験会場に支払う。
申込方法が異なるだけで、受験料・試験内容・合格認定証は全国一斉試験と同じだ。
試験環境
MOSはWindows版Officeの試験のみで、Mac版Officeの試験は実施されていない。試験用パソコンにタッチパネルはなく、マウスとキーボードで操作する。Excel 365の試験環境はWindows 11 ProとMicrosoft 365とされている。普段Macを使っている人は、Windows版での操作に慣れておくと本番で戸惑いにくい。なお、英語版の試験はオデッセイ テスティング センター有楽町店で平日のみ実施されている。
再受験のルール
不合格だった場合の再受験には間隔の制限がある。2回目の受験は前回から24時間以上、3回目以降の受験は前回から48時間以上空ける必要がある。連日でやみくもに受け直すことはできないため、対策学習の計画を立ててから臨みたい。
受験料の目安
受験料は科目・レベルにかかわらず一般価格12,980円(税込)、学生向けの学割価格9,680円(税込)が設定されている(2026年時点の公式情報に基づく。最新の金額は公式サイトで確認したい)。学割は全科目で一般価格から3,300円引きになる。
学割の対象は、1年以上の連続した就学期間の授業が定められたコースに在籍し(学割証が発行される学生)、JRなどの公共交通機関を学割で利用できる人だ。試験当日には、有効期限内の学生証か、発行から3か月以内の在学証明書を提示する必要がある。複数科目の取得を目指す場合は、費用面もあらかじめ見込んでおくと計画が立てやすい。
資格の有効期間
取得したMOSには米国サーティポートが5年間の有効期間を設定しているが、期間を過ぎても資格そのものが無効になるわけではない。資格のバージョンアップや更新の制度はなく、新しいバージョンの資格がほしいときは、あらためてそのバージョンの試験を受けることになる。
学習の進め方
公式のテキストや模擬試験ソフトを使い、実際の試験と同じ操作環境で練習を重ねる方法が一般的だ。範囲を丸暗記するのではなく、日常的にWordやExcelを操作しながら機能を覚えていくと、実務にも直結しやすい。
よくある質問
Q1. MOSは独学でも取得できるか
市販のテキストや模擬試験ソフトを使えば独学での取得は可能とされている。ただし操作に不慣れな場合はスクールや講座を利用して、実技形式に早く慣れておく方法も選択肢になる。
Q2. 一般レベルとエキスパートはどちらを先に取るべきか
一般レベルに合格していなくても上級レベル(エキスパート)は受験できる。ただし公式は基礎からの学習を勧めており、一般レベルから取得して、実務での活用度に応じてエキスパートへ進む流れが無理がない。基礎操作の証明を先に済ませておくことで、上級レベルの学習にも取り組みやすくなる。
Q3. MOSの合格率はどのくらいか
公式のよくある質問で「合格率は公開しておりません」と明記されている。合格点も科目ごとには公開されていないが、1,000点満点で550点から850点の範囲が目安とされ(科目によってはこの範囲に当てはまらないものもある)、試験問題の更新などで変わることがある。自分の合格点は試験終了後の画面と試験結果レポートで確認できる。
公表されている数字としては、累計受験者数が5,401,484名(2026年3月31日時点)、MOS 365・2019で一般レベル4科目のうち3科目を取ると認定される「MOS Associate」が41,388名、Associateに加えて上級レベルの科目のうち2科目を取ると認定される「MOS Expert」が7,547名(いずれも2025年12月31日時点)である。Expertまで進む人はAssociateの2割に届かない(当サイト計算)。
Expertの上級科目は、MOS 2019を含めればExcel・Word・Accessの3科目から2科目を選ぶ形になる。MOS 365だけで揃える場合、上級科目はExcel 365 ExpertとWord 365 Expertの2科目だ。MOS 365の認定基準にはMOS 2019の科目も含めることができる。参考までに、2016以前のバージョンの「オフィス マスター」の累計認定者数は97,924名と公表されている。
Q4. どのバージョンのMOSを受ければよいか
公式は、使い慣れたOfficeや職場で使っているOfficeのバージョンに合わせて選ぶことを勧めている。最新のバージョンを選ぶという考え方もあり、クラウド型のMicrosoft 365 Appsを使う環境ならMOS 365が候補になる。応募先企業の環境が旧バージョンであれば、それに応じた試験を選ぶ判断も必要だ。なお、AccessとOutlookは現時点でMOS 2019のみの試験となっている。
Q5. MOSを取得すると就職・転職で有利になるか
操作スキルを客観的に示せる材料にはなるが、資格の有無だけで採用が決まるわけではない。実務経験や他のスキルとあわせて、応募先が求める要件と照らし合わせて評価されるのが一般的だ。
Q6. Access・Outlookの試験も受ける必要はあるか
必須ではない。データベース管理業務が多い職種を目指すならAccess、メール・スケジュール管理業務が中心ならOutlookというように、志望する業務内容に応じて追加を検討すればよい。どちらもMOS 2019の試験で、Accessは上級レベル、Outlookは一般レベルのみとなっている。
Q7. 学生でも受験できるか
受験できる。年齢や国籍による制限はなく、学生向けの学割価格(9,680円、税込)も用意されている。学割の対象は学割証が発行され、JRなどの公共交通機関を学割で利用できる学生で、試験当日に有効期限内の学生証か発行から3か月以内の在学証明書を提示する必要がある。
Q8. Macしか持っていなくても受験できるか
試験は会場のパソコンで受けるが、実施されているのはWindows版Officeの試験のみで、Mac版Officeの試験はない。操作はマウスとキーボードで行う。練習もWindows版のOfficeで済ませておくと、本番と同じ環境で準備できる。
Q9. MOSに有効期限や更新はあるか
米国サーティポートが取得資格に5年間の有効期間を設定しているが、資格自体が無効になるわけではない。更新やバージョンアップの制度はなく、新しいバージョンの資格を取りたい場合はあらためて受験する。
まとめ
MOSはWord・Excel・PowerPoint・Access・Outlookという実務でよく使われるオフィスソフトの操作スキルを、実技形式で客観的に証明できる資格だ。一般レベルと上級レベル(エキスパート)で求められる機能の範囲が異なり、志望する職種で使用頻度の高いソフトから優先して取得する進め方が現実的とされている。データ入力や集計業務が中心ならExcel、文書作成が中心ならWordを軸に考え、余裕があれば両方の一般レベルを取得しておくと対応できる業務の幅が広がる。全国一斉試験は残り2回(11月8日・12月13日)で終わるため、それ以降に受ける人は随時試験の会場探しから始めたい。日商PC検定など類似の検定との違いも踏まえたうえで、自分の目指す職種に合った資格選びを進めたい。
この記事の内容は、株式会社オデッセイ コミュニケーションズが運営するMOS公式サイト(https://mos.odyssey-com.co.jp/)の以下のページを2026年10月16日に確認して整理しました。受験前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
- ニュース「MOS 全国一斉試験終了のお知らせ」(2026年8月18日) https://mos.odyssey-com.co.jp/news/2026/0818.html
- 試験に関するデータ https://mos.odyssey-com.co.jp/about/data.html
- MOSとは https://mos.odyssey-com.co.jp/about/
- MOSの称号 https://mos.odyssey-com.co.jp/about/master.html
- 合格認定について https://mos.odyssey-com.co.jp/about/certificate.html
- 学割のご案内 https://mos.odyssey-com.co.jp/about/stu-discount.html
- 受験料 https://mos.odyssey-com.co.jp/exam/examfee.html
- 受験するには https://mos.odyssey-com.co.jp/exam/
- 全国一斉試験の流れ https://mos.odyssey-com.co.jp/issei/
- 随時試験の流れ https://mos.odyssey-com.co.jp/exam/zuiji.html
- 試験会場を探す https://mos.odyssey-com.co.jp/exam/location.html
- 試験全般に関するよくあるご質問 https://mos.odyssey-com.co.jp/faq/detail1.html
- 試験概要(科目一覧) https://mos.odyssey-com.co.jp/outline/
- MOS 365 試験概要 https://mos.odyssey-com.co.jp/outline/mos365.html
- Excel 365(一般) https://mos.odyssey-com.co.jp/outline/excel365.html
- Excel 365 エキスパート https://mos.odyssey-com.co.jp/outline/excel365_ex.html
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