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電気通信主任技術者とは?試験科目・合格基準・受験科目数別の合格率を公式統計から解説

電気通信主任技術者は、電気通信事業者が事業用の通信設備を技術基準に適合した状態で維持するために置く、工事・維持・運用の監督責任者です。国家試験は年2回、日本データ通信協会の電気通信国家試験センターが実施しており、伝送交換主任技術者と線路主任技術者の2種別があります。この記事では、公式の公示と統計PDFをもとに、試験科目・合格基準・受験料・日程を整理したうえで、直近6回分の合格率を受験科目数別に集計し直しました。

この記事の要点

  • 試験種別は伝送交換と線路の2つで、科目は「法規」「電気通信システム」と、種別ごとの「設備及び設備管理」
  • 出題は択一式(マークシート)で、法規・電気通信システムは60点以上(100点満点)、設備管理は90点以上(150点満点)が合格点
  • 令和5年度第2回〜令和8年度第1回の6回の全体合格率は約28%だが、3科目を一度に受けた人に限ると伝送交換で約14%、線路で約7%
  • 科目合格は3年間有効で、1科目ずつ受験する分割戦略の合格率は約42〜44%と高い

電気通信主任技術者とは

電気通信事業者は、事業用電気通信設備を総務省令で定める技術基準に適合するよう自主的に維持するため、電気通信主任技術者を選任し、設備の工事・維持・運用を監督させなければなりません。日本データ通信協会の説明では、選任は原則として設備を直接管理する事業場ごとに行い、多数の事業場が地理的にも組織的にも近接している場合は、1人が一定の範囲内の他の事業場をあわせて監督できるとされています。

この試験は電気通信事業法第48条の規定にもとづく国家試験で、合格すると総務省の総合通信局等に資格者証の交付を申請できます。試験は「電気通信主任技術者として必要な最低限の専門的知識及び能力」を確認するものと位置づけられています。

2つの試験種別と監督できる範囲

資格者証は、ネットワークを構成する設備のどこに着目するかで2種類に分かれています。

種別 監督できる範囲 試験種別の記号
伝送交換主任技術者 伝送交換設備およびこれに附属する設備の工事・維持・運用 A
線路主任技術者 線路設備およびこれに附属する設備の工事・維持・運用 C

伝送交換は交換機・伝送装置・ルータなどネットワークの中身、線路は光ファイバーやメタルケーブル、管路、電柱といった設備が主な対象です。所属先の担当設備に合わせて選ぶのが基本で、公示上は受験時に種別を申請する形になっています。

試験科目と出題方式

科目 伝送交換 線路 内容
電気通信システム ○ ○ 電気通信工学の基礎、電気通信システムの大要
伝送交換設備及び設備管理 ○ ― 伝送交換設備の概要、設備管理、セキュリティ管理、ソフトウェア管理
線路設備及び設備管理 ― ○ 線路設備の概要、設備管理、セキュリティ管理
法規 ○ ○ 電気通信事業法、有線電気通信法、電波法、不正アクセス禁止法、電子署名法(それぞれの命令を含む)、国際電気通信連合憲章・条約の大要

出題方式は全科目が択一式(マークシート)です。法規は6つの法令・条約が対象で、範囲の広さのわりに1つあたりの深さは限られるため、条文の暗記だけでなく過去問の出題パターンをなぞる学習が中心になります。

合格基準と試験時間

科目 満点 合格点 試験時間
伝送交換(線路)設備及び設備管理 150点 90点以上 午前 10:00〜12:30(150分)
法規 100点 60点以上 午後 13:50〜16:30(各80分)
電気通信システム 100点 60点以上

どの科目も合格点は満点の6割です。合格点は試験日の翌水曜日に問題・正答とあわせて公表され、科目ごとに判定されます。午後の試験開始時刻は、受験科目の数にかかわらず同じです。

令和8年度の日程・受験料・申請方法

項目 第1回 第2回
試験日 2026年7月12日(日) 2027年1月31日(日)
申請受付 4月1日〜21日 2026年10月1日〜21日
受験票の発行 試験日の2週間前まで(第2回は2027年1月15日の予定)
合否発表 試験日の3週間後の月曜日(第2回は2027年2月22日の予定)

受験料は非課税で、1〜3科目のどれを受けても29,000円です(全科目免除申請は14,700円)。科目数を減らしても受験料は下がらないため、1科目だけ受ける回も費用は同じです。申請はインターネットが原則で、顔写真ファイルのアップロードが必要です。支払い期限は申請後3日以内で、期限を過ぎると申請が取り消され、支払い後のキャンセルや返金はできません。試験地は札幌・仙台・さいたま・東京・横浜・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・那覇の12都市に、第1回は長野、第2回は新潟が加わります。

第2回の申請受付は2026年10月1日〜21日の3週間だけです。受験を考えているなら、受付期間の前にアカウント登録(マイページ作成)まで済ませておくと慌てずに済みます。

合格率の推移(直近6回)

電気通信主任技術者試験 令和5年度第2回から令和8年度第1回までの伝送交換と線路の合格率の棒グラフ。全体の合格率は20.8%から33.4%
図 電気通信主任技術者試験 直近6回の種別ごとの合格率(出典: 日本データ通信協会「試験の実施結果 試験種別毎推移表」をもとに当サイト作成)

日本データ通信協会が公開している統計から、令和5年度第2回〜令和8年度第1回の6回分を抜き出しました。合格者数には全科目免除者が含まれます。

回 伝送交換 受験者 伝送交換 合格率 線路 受験者 線路 合格率 全体 合格率
令和5年度第2回 2,257人 25.6% 1,048人 41.9% 30.8%
令和6年度第1回 2,040人 21.0% 932人 31.9% 24.4%
令和6年度第2回 2,002人 34.6% 924人 28.8% 32.7%
令和7年度第1回 1,637人 34.2% 791人 31.9% 33.4%
令和7年度第2回 1,745人 24.6% 902人 26.7% 25.3%
令和8年度第1回 1,642人 20.8% 735人 20.7% 20.8%

6回の受験者数と合格者数を足し合わせて計算すると、全体の合格率は約28.1%(4,677人/16,655人)、伝送交換は約26.8%、線路は約30.9%でした。ただし1回ごとの変動は大きく、最新の令和8年度第1回(20.8%)は6回のなかで最も低い数字です。公式の受験案内には合格率の目標値のようなものは示されておらず、合格点を満たした人がそのまま合格する仕組みなので、回ごとの上下は受験者層と問題の難しさの差によるものと読めます。

受験科目数別に集計し直すと見えること

全体の合格率だけを見ると「3割弱」ですが、統計には受験科目数ごとの合格率も載っています。ここでは6回分の受験者数で加重平均を取り、独自に集計しました。

受験科目数 伝送交換 受験者(6回計) 伝送交換 合格率 線路 受験者(6回計) 線路 合格率
3科目 2,466人 約14.0% 555人 約6.9%
2科目 4,465人 約16.3% 1,651人 約11.8%
1科目 4,215人 約42.2% 3,055人 約44.0%

ここでの「合格」は、受験した科目にすべて合格することを指します。1科目だけ受ける人は、残りの科目が科目合格や資格・経歴による免除になっているため、その1科目に受かれば資格取得に届く人たちです。3科目を一度に受ける人の合格率は、伝送交換で約14%、線路で約7%と、1科目の受験者の3分の1から6分の1にとどまります。

受験者の内訳も特徴的で、線路は3科目受験者が555人しかおらず、1科目受験者が3,055人と圧倒的に多くなっています。線路の全体合格率(約30.9%)が伝送交換より高く見えるのは、科目合格を積み上げてきた人の受験が多いためで、線路そのものが易しいわけではありません。

この集計から言えるのは、3科目の一括合格を狙うより、科目合格の有効期間(後述の3年間)を使って1〜2科目ずつ片づける進め方のほうが、統計上は通りやすいということです。ただし受験料は科目数にかかわらず1回29,000円なので、分割すると受験回数が増えて総額は上がります。たとえば3科目を3回に分けて受ければ、受験料だけで87,000円です。時間と費用のどちらを優先するかで選ぶことになります。

科目合格と科目免除の仕組み

科目ごとに合格点を取れば、その科目は「科目合格」となり、次回以降の受験で免除を申請できます。科目合格による免除の有効期間は、合格した試験の行われた月の翌月初めから3年間です。実質的な期限は、その3年間に実施される最後の試験の申請受付期間の最終日までとされています。

このほか、一定の資格や実務経歴、認定学校で所定の単位を修得した場合にも、申請によって免除される科目があります。具体的な条件は公式の「免除科目一覧表」で確認する形で、免除の可否は経歴によって変わるため、この記事では一覧の代わりに公式ページへの参照だけを示します。すべての科目が免除される場合は「全科目免除申請」で資格者証の交付につなげることもでき、この申請は試験の申請受付期間以外でも行えます。

向いている人・向いていない人

向いているのは、通信事業者、電気通信工事会社、放送、電力、鉄道などで通信設備の保守・運用に関わっており、設備の仕組みと関連法令をまとめて体系的に押さえたい人です。統計を見ると、申請者の業種は電気通信業と電気通信工事業だけで全体の約6割を占めます(令和8年度第1回は申請者2,898人のうち計1,685人、約58%)。

向いていないのは、ITエンジニアとして転職に使える資格を短期間で1つ取りたい、という目的だけの人です。試験範囲は通信工学から法規まで広く、法規の6法令はIT系の試験ではあまり出会わない内容です。ネットワーク技術を学ぶことが目的なら、ネットワークスペシャリスト試験やCCNAとLPICの比較のほうが目的に合う場合もあります。

失敗しやすいパターン

  • 初回から3科目をまとめて受ける ── 上の集計のとおり、一括受験の合格率は伝送交換で約14%です。時間が取れないなら、法規と電気通信システムの2科目、または設備管理の1科目からに絞るほうが現実的です
  • 受験料の支払い期限を逃す ── 申請後3日以内に支払わないと申請が取り消されます。第2回の受付は3週間しかないため、期限の管理が重要です
  • 科目合格の期限を数え間違える ── 期限は「3年後の月」ではなく、翌月初めから起算した3年以内に実施される最後の試験の申請受付期間の最終日です。受験を先延ばしにしていると、気づかないうちに免除が切れることがあります
  • 種別を取り違える ── 「試験種別」と「試験科目」の変更ができるのは、申請受付期間中だけです

学習の進め方(公開情報から組み立てた例)

公式は過去の試験問題と正答を、試験センターのサイトで公開しています。ダウンロード・印刷は受験目的なら許諾も使用料も不要で、出典を明記する条件だけが付いています。学習の中心は過去問になるため、次のような順序が考えられます。

  1. 公式サイトの「試験科目と出題範囲」で、自分の種別の科目と範囲を確認する
  2. 直近数回分の過去問を眺め、出題パターンをつかむ(配点は設問文の末尾に書かれています)
  3. 法規と電気通信システムの2科目を先に受け、科目合格を確保する
  4. 設備管理科目に進み、3年の有効期間内に残りを片づける

この順序は統計から導いた一例で、個人の実務経験や免除の有無で変わります。学習時間の目安は出典の違いで大きくぶれるため、この記事では示しません。

合格後の手続き

合否は試験日の3週間後にマイページで確認できます。合格しただけでは資格者証は手元に来ず、受験地を管轄する総合通信局(沖縄は沖縄総合通信事務所)に資格者証の交付を申請する必要があります。申請先や期限は試験結果の通知に添えられる案内に従います。

よくある質問

Q1. 受験資格はありますか?

令和8年度の公示には、年齢や学歴、実務経験などの受験資格は書かれていません。申請の手続きに必要なのは、マイページの登録と顔写真、受験料の支払いです。免除を使う場合だけ、証明書類の提出が加わります。

Q2. 伝送交換と線路はどちらを選べばよいですか?

担当している設備で選ぶのが基本です。ルータや交換機、伝送装置など機器側なら伝送交換、光ファイバーやケーブルなど線路側なら線路です。

Q3. 受験料は科目数で変わりますか?

変わりません。1科目・2科目・3科目のいずれも29,000円(非課税)です。全科目免除申請だけが14,700円です。

Q4. 科目合格は何年有効ですか?

合格した試験の月の翌月初めから3年間です。実質的には、その期間内の最後の試験の申請受付期間の最終日までが期限です。

Q5. 試験はいつありますか?

年2回、7月と1月に行われます。令和8年度は2026年7月12日と2027年1月31日で、第2回の申請は2026年10月1日〜21日です。

Q6. 試験はCBT(コンピュータ試験)ですか?

主任技術者試験は、公示の出題方式が択一式のマークシート方式で、会場で受験する形です。同じ日本データ通信協会の工事担任者試験ではCBT方式が案内されているため、混同しないよう注意してください。

Q7. 過去問はどこで手に入りますか?

電気通信国家試験センターのサイトに、近年の問題と正答が無料で公開されています。試験日の翌水曜日の午前10時以降に、新しい回の問題・正答が掲載されます。

Q8. 合格率が下がっているのは難しくなったからですか?

6回の推移では、令和8年度第1回の20.8%が最も低く、令和6年度第2回・令和7年度第1回の30%台前半が最も高い、という幅で動いています。公開情報だけでは、難化か受験者層の変化かを切り分けることはできません。合格点は満点の6割で固定されているため、問題の難しさがそのまま合格率に出やすい試験だとは言えます。

まとめ

この試験を検討するときの要点

  • 電気通信事業者が置く工事・維持・運用の監督責任者の資格で、試験は伝送交換と線路の2種別
  • 択一式で、各科目60%の得点が合格点。受験料は科目数にかかわらず29,000円
  • 一括受験(3科目)の合格率は約7〜14%と低く、科目合格を3年間積み上げる進め方のほうが通りやすい
  • 令和8年度第2回は2027年1月31日実施、申請は2026年10月1日〜21日

試験の日程・受験料・免除条件は年度ごとに公示されるため、申請の前に必ず最新の公示を確認してください。この記事は一般的な情報整理であり、資格取得や選任義務についての個別の助言ではありません。

この記事の集計方針や出典の扱いについては、運営者情報ページにまとめています。

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出典

  • 一般財団法人日本データ通信協会 電気通信国家試験センター「電気通信主任技術者とは」(https://www.dekyo.or.jp/shiken/chief/about、2026年9月24日確認)
  • 同「令和8年度電気通信主任技術者試験の公示」(2026年2月2日公示)
  • 同「受験の手引き 合格基準及び試験問題・正答の公表」「Q&A」(2026年9月24日確認)
  • 同「統計情報」の全体推移表・試験種別毎推移表・試験種別/試験科目数毎推移表・地域別/業種別申請者数推移表(令和5年度第2回〜令和8年度第1回、2026年9月24日確認)。受験科目数別の加重平均、6回合計の合格率は上記の数字から当サイトで計算

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