プロジェクトマネージャ試験は、情報処理技術者試験の高度区分に位置づけられる国家試験です。システム開発プロジェクトの計画・チーム編成・リスク対応を担う人材を対象としており、2026年度からは試験方式そのものが大きく変わります。この記事では、試験の位置づけと4科目構成に加え、2026年度から導入されるCBT化と実施時期の変更点、科目A-1免除制度の使い方までを整理します。
プロジェクトマネージャ試験の位置づけ
情報処理技術者試験はレベル1から4に分かれており、プロジェクトマネージャ試験はレベル4の高度区分にあたります。
| レベル | 主な試験区分 |
|---|---|
| 1 | ITパスポート |
| 2 | 基本情報技術者 |
| 3 | 応用情報技術者 |
| 4 | プロジェクトマネージャ、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、ITストラテジスト、情報処理安全確保支援士など |
IPA(情報処理推進機構)は本試験を「ITプロジェクトの成功請負人」と位置づけ、対象者像を「高度IT人材として確立した専門分野をもち、組織の戦略の実現に寄与することを目的とするシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトの目的の実現に向けて責任をもってプロジェクトマネジメント業務を単独で又はチームの一員として担う者」としています。プロジェクト計画の作成、チーム編成とメンバー育成、リスク対応、ステークホルダとのコミュニケーション、計画と実績の分析・評価までが問われる範囲です。受験資格に制限はなく、実務経験がなくても申し込めます。
2026年度からCBT化 実施時期も再編される
プロジェクトマネージャ試験を含む高度試験・情報処理安全確保支援士試験は、2026年度(令和8年度)からCBT(Computer Based Testing)方式に移行する予定です。あわせて、これまで年1回・紙で実施していた試験区分の実施時期が前期・後期の2つに再編されます。
| 区分 | 実施時期 | 対象試験区分 |
|---|---|---|
| 前期 | 申込2026年10月6日〜24日、科目A 10月17日〜27日、科目B 11月11日〜23日 | ITストラテジスト・システムアーキテクト・ネットワークスペシャリスト・ITサービスマネージャ など |
| 後期 | 申込2027年1月27日〜2月27日、科目A 2月20日〜3月2日、科目B 3月16日〜28日 | プロジェクトマネージャ・データベーススペシャリスト など |
プロジェクトマネージャ試験は後期に区分され、申込は2027年1月27日から2月27日まで、科目A-1・A-2は2月20日〜3月2日、科目B-1・B-2は3月16日〜28日に実施されます。合格発表は2027年6月頃の予定です。前期・後期とも申込みは1回のみで、両方に申し込むことはできません。CBT方式での受験が難しい事情がある場合は、筆記による特別措置試験の実施も予定されています。会場では科目A群・科目B群を分けた予約枠から時間を選ぶ形になる点も、従来の一斉試験とは異なります。
試験は4科目 呼び方も変わった
従来の「午前I・午前II・午後I・午後II」という呼び方は、CBT化にあわせて「科目A-1・科目A-2・科目B-1・科目B-2」に変わりました。中身の位置づけはおおむね引き継がれています。
| 科目 | 形式 | 出題・解答数 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 科目A-1 | 多肢選択式 | 30問 | 高度試験に共通する基礎知識(旧・午前I相当) |
| 科目A-2 | 多肢選択式 | 25問 | プロジェクトマネジメントの専門知識(旧・午前II相当) |
| 科目B-1 | 記述式 | 3問中2問を選択して解答 | 事例をもとにした記述問題(旧・午後I相当) |
| 科目B-2 | 論述式 | 2問中1問を選択して解答 | 自身が関わったプロジェクトを題材にした論文(旧・午後II相当) |
他の高度区分と大きく違うのは科目B-2が論述式であることです。ネットワークスペシャリストやデータベーススペシャリストの午後IIは事例を読み解く記述式ですが、プロジェクトマネージャ試験では自分の実務経験をもとに小論文を書く必要があります。知識だけでなく、経験を文章として組み立てる力が問われる区分だと考えておくとよいでしょう。
科目A-1免除制度 使えると学習負担が変わる
科目A-1は高度試験に共通する基礎知識の科目で、プロジェクトマネジメントの学習とは別に対策が必要になります。次の3つのいずれかに該当すると、その後2年間、科目A-1試験の免除を申請できます。
- 応用情報技術者試験(AP)に合格している
- いずれかの高度試験、または情報処理安全確保支援士試験に合格している
- いずれかの高度試験、または支援士試験の科目A-1(令和7年度までは午前I)で基準点以上の成績を収めている
3つ目は見落とされがちです。高度区分に不合格でも、科目A-1の成績が基準点を超えていれば免除の権利は残ります。免除を受けるには、受験申込み時に「一部免除申請番号」(①②の場合は合格証書番号、③の場合は午前I通過者番号)を入力する必要があり、条件を満たしていても番号を入力しなければ免除にはなりません。申請できる期間は条件を満たしてから2年後の同時期試験までです。この免除の仕組みは他の試験区分の科目免除とも共通する考え方です。
PMPとの違いは?
プロジェクトマネジメントの資格には、国内の国家試験であるプロジェクトマネージャ試験のほかに、米国PMIが認定する国際資格PMPがあります。受験資格・試験形式・更新の有無など細かな違いは多く、プロジェクトマネジメント関連資格の概要、PMPとの違いを整理の記事で比較しているので、両方を検討している場合はそちらを参照してください。ここでは1点だけ触れておくと、プロジェクトマネージャ試験は実務経験を問わず誰でも挑戦できる一方、PMPは一定期間の実務経験と研修受講が受験の前提になります。キャリアの段階によって選ぶ順番が変わる資格です。
論述式(科目B-2)対策のポイント
科目B-2は多くの受験者にとって最大の関門です。設問で示されるプロジェクトの状況設定に対し、自分が実際に関わったプロジェクトを題材に、指定された観点(ステークホルダ調整、リスク対応、スケジュール管理など)から論文を組み立てます。
- 題材となる自分のプロジェクト経験を、事前にいくつかストックしておく(1つの経験だけに頼ると設問との相性が悪いことがある)
- 結論から書き、根拠となる具体的な行動と、その行動を選んだ理由をセットで書く
- 制限時間内に規定の文字数を書き切る練習を、過去問で繰り返す
- 科目B-1の記述式も含め、事例文を丁寧に読んで条件を拾う練習を並行して行う
知識をインプットする科目A-1・A-2よりも、この論述対策に学習時間の多くを割くことになる受験者が多い区分です。
どんな人が目指すとよいか
- システム開発のプロジェクトリーダー・プロジェクトマネージャの立場に進みたい人
- SIerやITベンダーで、上流工程の管理業務を担当している、または担当したい人
- 応用情報技術者試験に合格し、マネジメント寄りの次の目標を探している人
- 社内でプロジェクトマネジメントの実務経験があり、それを客観的な資格として示したい人
逆に、実装中心のエンジニア職を続けたい場合は、ネットワークスペシャリストやデータベーススペシャリストなど技術系の区分のほうが実務に直結しやすいこともあります。
学習の進め方
科目A-1免除の有無で計画が変わる
応用情報技術者試験や他の高度区分にすでに合格している場合は、科目A-1を申請免除して科目A-2以降に学習時間を集中できます。まだ何も合格していない場合は、科目A-1の基礎知識も並行して固める必要があります。
実施時期の変更を踏まえた逆算
2026年度のプロジェクトマネージャ試験は後期(科目Aは2027年2月20日〜3月2日)に実施されます。前期・後期のどちらか一方にしか申し込めない仕組みのため、受験機会は年1回である前提を変わらず維持しつつ、実施時期そのものが従来の時期から後期(2027年2〜3月)へずれることになります。学習計画を立てる際は、直近の公式発表で実施時期を確認したうえで、そこから逆算して科目A対策と科目B対策の期間配分を決めてください。
取得後にどう活きるか
- 社内でプロジェクトマネージャ・プロジェクトリーダーへの登用や配置転換の材料になる
- IT企業では資格手当や一時金の対象になっていることがある
- 官公庁や大企業の案件では、体制表に高度区分の有資格者を求められる場合がある
- 合格には有効期限がなく、一度取得すれば更新の手続きは不要
よくある質問
受験資格はありますか。
ありません。年齢・学歴・実務経験を問わず受験できます。実務経験がなくても申し込めますが、科目B-2は自身のプロジェクト経験を題材にするため、実務経験があるほうが取り組みやすい試験です。
合格率はどれくらいですか。
IPAの統計資料では、令和3年度から令和7年度まで13.5〜14.4%の範囲で推移しています。令和7年度秋期は受験者8,511人中1,219人の合格で14.3%でした。
| 実施回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和3年度秋期 | 6,680人 | 959人 | 14.4% |
| 令和4年度秋期 | 7,382人 | 1,042人 | 14.1% |
| 令和5年度秋期 | 7,888人 | 1,066人 | 13.5% |
| 令和6年度秋期 | 8,627人 | 1,195人 | 13.9% |
| 令和7年度秋期 | 8,511人 | 1,219人 | 14.3% |
受験者は令和3年度の6,680人から令和6年度には8,627人まで増えましたが、合格率は14%前後でほとんど動いていません。受験した人の7人に1人ほどが合格する試験です。
2026年度はいつ受験できますか。
プロジェクトマネージャ試験は後期区分に位置づけられ、科目A-1・A-2が2027年2月20日〜3月2日、科目B-1・B-2が3月16日〜28日に実施されます。前期・後期のどちらか一方にしか申し込めないため、実施時期は必ず公式の最新案内で確認してください。
科目A-1免除はどう申請しますか。
受験申込み時に「一部免除申請番号」を入力します。応用情報技術者試験や高度試験の合格者は合格証書番号を、科目A-1(旧・午前I)で基準点以上を取った人は午前I通過者番号を入力します。番号を入力しなければ、条件を満たしていても免除になりません。
PMPと両方取る意味はありますか。
あります。プロジェクトマネージャ試験は国内での知識証明、PMPは国際的な通用性を示す資格という位置づけの違いがあるためです。両方を持つ人も珍しくありません。詳しい違いはこちらの比較記事で解説しています。
論述式(科目B-2)が不安です。対策はありますか。
過去問の論述テーマに沿って、自分の実務経験を題材に答案を書く練習を繰り返すのが基本です。題材となるプロジェクト経験を複数ストックしておくと、設問との相性による当たり外れを減らせます。
資格に更新は必要ですか。
不要です。情報処理技術者試験の合格に有効期限はなく、一度合格すれば資格として永続します。
まとめ
プロジェクトマネージャ試験は、情報処理技術者試験のレベル4にあたる国家試験で、2026年度からCBT化され、科目の呼び方も「科目A-1・A-2・B-1・B-2」に変わります。あわせて実施時期が前期・後期に再編され、プロジェクトマネージャ試験は後期(2027年2〜3月)に区分されました。
学習計画で最初に確認すべきなのは、科目A-1免除が使えるかどうかと、直近の実施時期です。最大の関門は科目B-2の論述式で、知識よりも自身の経験を文章として組み立てる力が問われます。
この記事の試験制度に関する内容は、情報処理推進機構(IPA)公式サイトの試験案内・科目A-1試験免除制度の説明・令和8年度実施予定の発表をもとに2026年9月に整理したものです。合格率はIPAの統計資料(令和7年度 推移表、令和8年4月21日現在)、令和8年度の申込期間・実施期間は「令和8年度 応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験の申込受付期間及び試験実施期間について」(2026年9月17日更新)で、2026年10月4日に確認しました。試験区分・実施時期・免除の要件は変更される場合があるため、出願前に必ず公式の最新情報を確認してください。
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