資格比較・ランキング

美容師・理容師資格の違いと取得方法

美容師と理容師はどちらも国が定める免許を持たなければ働けない国家資格だが、根拠となる法律も業務範囲も別のものである。国家試験の合格率は回によって大きく違い、2026年9月30日に発表された第54回の美容師は64.9%、前の第53回は87.0%だった。この記事では両者の法律上の違い、資格を取るまでの流れ、試験の合格率と合格基準、免許登録の手続き、似た美容系の仕事との違いを整理し、進路を考える際に押さえておきたいポイントをまとめる。

美容師・理容師資格の基本

美容師は美容師法、理容師は理容師法という別々の法律に基づく国家資格で、どちらも都道府県知事が指定した養成施設で所定の課程を修了し、国家試験に合格したうえで免許を受ける必要がある。国家試験は、厚生労働大臣が指定した公益財団法人 理容師美容師試験研修センターが実施している。美容師法では美容を「パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」(第2条第1項)、理容師法では理容を「頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること」(第1条の2)と定義しており、この条文の違いがそのまま両資格の業務範囲の違いにつながっている。

免許を持たずに美容や理容を業として行うと、30万円以下の罰金の対象になる。ヘアサロンや理容室を営むには、従業者が常時2人以上の店舗に管理美容師・管理理容師を置くなど別の要件もあるが、まずは施術者本人が免許を持っていることが前提になる。

業務範囲の違いを要素ごとに見る

顔そり・シェービングの扱い

両資格の違いとして話題になりやすいのが顔そりである。法文で確認できるのは、顔そりが理容の定義に含まれていることと、理容師法第6条で「理容師の免許を受けた者でなければ、理容を業としてはならない」と定められていることである。つまり、顔そりを含む理容を仕事として行うには理容師免許が必要になる。一方、美容師がどこまで顔そりを行えるかという線引きは、公式ページでは確認できませんでした。メニューに顔そりを入れることを考えている場合は、開業前に保健所などへ問い合わせておくと安心である。

メイク・まつげエクステ・パーマ・染毛の扱い

化粧(メイク)は美容師法の定義に明記されているため、美容師の業務にあたる。まつげエクステンションについては、厚生労働省が平成20年3月7日の通知(健衛発第0307001号)で美容師法の「美容」に該当すると整理しており、施術には美容師免許が必要とされている。

パーマや染毛については、厚生労働省が両法の概要ページで考え方を示している。美容師については「美容師がカッティングを行うことは差し支えない」、染毛やまつ毛エクステンションも美容行為に含まれるとしている。理容師については、染毛も理容行為に含まれ、「理容師がパーマネントウェーブを行うことは差し支えない」としている。

資格取得までの流れ

どちらの資格も「養成施設への入所」「所定の課程の修了」「国家試験(筆記試験・実技試験)の合格」「免許の登録」という同じ流れで取得する。養成施設には高等学校卒業者(当分の間は中学校卒業者も可)が入所でき、課程は昼間課程・夜間課程・通信課程の3つがある。修業年限は昼間課程・夜間課程が2年以上、通信課程が3年以上である。通信課程は、昼間課程または夜間課程を設けている養成施設に限って設けることができる。

すでに一方の資格を持つ人がもう一方を目指す場合は「修得者課程」を利用でき、修業期間は昼間課程・夜間課程で1年、通信課程で1年6か月と短くなる。美容師養成施設で学ぶ量の目安としては、美容師養成施設指定規則で通常の課程が合計67単位以上(うち必修47単位以上)、修得者課程が34単位以上(うち必修27単位以上)とされ、1単位の時間数は30時間から45時間の範囲で施設が定める。

通信課程は働きながら免許取得を目指す人が選ぶことが多い課程である。授業の方法は美容師法そのものに時間の定めがあるわけではなく、美容師養成施設指定規則で「通信授業及び面接授業とし、その方法等は、厚生労働大臣が別に定める基準によること」とされ、その基準の運用は厚生労働省の通知(平成29年7月10日「美容師養成施設の通信課程における授業方法等の基準の運用について」)で示されている。面接授業(スクーリング)の日数や通学の頻度は学校ごとに異なるため、入学前に最新の募集要項で確認しておく方が確実である。

受験資格の考え方

平成10年4月1日以降に養成施設へ入学した人は、養成施設の課程を修了すれば国家試験を受験できる。平成10年3月31日以前に入学した人は1年以上の実地習練(インターン)が必要とされていた世代で、平成14年3月31日までにインターンを終えていない人には受験資格がない。古い年度に養成施設へ通っていた人は、自分がどちらにあたるかを先に確認しておきたい。

美容師・理容師の比較表

項目 美容師 理容師
根拠法 美容師法 理容師法
業務の定義 パーマ・結髪・化粧などで容姿を美しくすること 頭髪の刈込・顔そりなどで容姿を整えること
顔そり どこまで行えるかの線引きは公式ページでは確認できませんでした 理容の定義に含まれる(理容を業とするには理容師免許が必要)
パーマ・染毛・カット 染毛は美容行為に含まれる。カッティングを行うことは差し支えない(厚生労働省) 染毛は理容行為に含まれる。パーマネントウェーブを行うことは差し支えない(厚生労働省)
まつげエクステ 美容行為に該当し、美容師免許が必要(厚生労働省) 美容師免許が必要とされている
養成施設の指定 都道府県知事
試験実施機関 公益財団法人 理容師美容師試験研修センター(厚生労働大臣が指定)
試験の構成 筆記試験と実技試験
試験の実施時期 実技・筆記とも年2回(令和8年度は第54回が実技8月1日から・筆記9月6日、第55回は実技2027年2月1日から・筆記3月7日の予定で、詳細は2026年10月30日に発表予定)
受験手数料(第54回) 34,700円(実技のみ18,800円、筆記のみ15,900円)
免許登録の費用 登録免許税9,000円(収入印紙)+登録事務手数料5,200円

回ごとの合格率は年2回で大きく違う

理容師美容師試験研修センターは回ごとの実施結果を公表している。直近6回の結果は次のとおりである。

回 美容師 受験者 美容師 合格率 理容師 受験者 理容師 合格率
第49回(令和5年度) 19,523人 86.5% 1,303人 81.9%
第50回(令和6年度) 4,763人 55.0% 837人 70.8%
第51回(令和6年度) 19,776人 88.1% 1,399人 82.3%
第52回(令和7年度) 4,569人 65.4% 846人 66.4%
第53回(令和7年度) 19,850人 87.0% 1,431人 81.8%
第54回(令和8年度) 4,660人 64.9% 801人 67.7%

表を見ると、年度の後半に行われる奇数回は美容師の受験者が約2万人で合格率が8割台後半、年度の前半(夏)に行われる偶数回は約5千人で合格率が5〜6割台という形がはっきりしている(公表値から当サイトが読み取った傾向で、センターの説明ではない)。受験者の規模がこれだけ違うので、1つの回の合格率だけを見て難易度を判断しないほうがよい。

直近の第54回を人数で見ると、美容師は申込4,871人・受験4,660人・合格3,024人、理容師は申込816人・受験801人・合格542人だった。日程は願書配布が5月7日、受付締切が5月28日(木)、合格発表が9月30日午前9時である。センターの令和8年度事業計画では、志願者の見込みを第54回が理容870人・美容4,685人、第55回が理容1,472人・美容20,862人としており、第55回は願書配布が11月6日(金)、願書受付の締切が11月30日(月)の予定になっている。

筆記試験は、55問中60%以上の正答率で、かつ関係法規・制度及び運営管理、公衆衛生・環境衛生、感染症、衛生管理技術、人体の構造及び機能、皮膚科学、香粧品化学、文化論及び技術理論のどの課目も無得点でないことが合格の条件である。実技試験は減点方式で、美容師は衛生上の取扱が減点20点以下、カッティングとワインディングがそれぞれ減点30点以下、理容師は衛生上の取扱が減点20点以下、基礎的技術試験が減点40点以下で合格となる。第54回の受験手数料は34,700円(実技のみ18,800円、筆記のみ15,900円)だった。実技と筆記の片方だけに合格した人は、申請すれば次回に限りその試験が免除される。また、理容師または美容師の免許をすでに受けている人は、申請により技術理論を除く筆記試験が免除され、もう一方の技術理論だけを受験する。この場合は12問中7問以上の正答で合格となる。

合格後の免許登録と費用

国家試験に合格しただけでは免許証は交付されない。免許の申請をして理容師名簿・美容師名簿に登録されることで、はじめて免許証が交付される仕組みである。

  • 費用…登録免許税として収入印紙9,000円と、登録事務手数料5,200円がかかる
  • 必要書類…精神の機能の障害の有無に関する医師の診断書(3か月以内のもの)などをそろえて申請する
  • 期間…受付からおおむね2〜4週間で登録される
  • 登録後の変更…氏名や本籍地都道府県など名簿の登録事項が変わったときは30日以内に訂正の申請をする。免許証の書換え交付は3,750円、再交付は4,150円

受験手数料と合わせると、試験と登録だけでも一定の費用がかかる。合格発表のあと就職先での勤務開始に間に合うよう、登録までの期間も見込んで準備しておきたい。

他の美容系資格との違い

美容師・理容師は法律で免許制が定められた国家資格である。美容業界にはほかにもさまざまな仕事があるが、免許の扱いは職種ごとに確認が必要になる。

  • ネイリスト…今回確認した公的資料には記載がなく、資格の位置づけは各団体の案内で確認が必要
  • エステティシャン…ネイリストと同じく今回確認した公的資料には記載がなく、各団体の案内で確認が必要
  • アイリスト…まつげエクステは美容師法の「美容」に該当するため、美容師免許が必要(厚生労働省)

まつげエクステのように、名前に「美容師」が入っていない仕事でも美容師免許が求められるケースがある。美容系の仕事を目指すときは、施術内容が美容師法・理容師法の対象になるかどうかを先に確かめておくと、進路選びで遠回りしにくい。

資格取得後のキャリアパス

国家試験に合格して免許を得たあとは、サロンや理容室に勤務しながら実務経験を積み、スタイリストや店長を目指すのが一般的な流れである。免許を取得しただけで店を自由に運営できるわけではなく、店舗の従業者(美容師・理容師)が常時2人以上になる場合は、衛生管理を担う管理美容師・管理理容師を置くことが法律で義務づけられている(美容師法第12条の3、理容師法第11条の4)。

管理美容師・管理理容師になるには、免許取得後に3年以上理容または美容の業務に従事したうえで、都道府県知事が指定する講習を修了する必要がある。講習は公衆衛生4時間と衛生管理14時間の計18時間で、1日6時間(6単位)を3日間かけて受講し、6単位すべてを受けることが修了の条件になる。応募は先着順ではない。独立開業や店舗運営を視野に入れる場合は、この業務従事の年数と講習の存在をあらかじめ把握しておくとキャリア設計がしやすい。

ダブルライセンスを取得したうえで、顔そりからカット、パーマ、メイクまで幅広いメニューを一人で担当できる総合サロンを開業する例もある。どのキャリアを歩むにしても、免許取得後の実務経験がその後の選択肢を左右する分野だといえる。

資格選びと養成校選びの実践的なコツ

進路を決める際は、次の点を比較してから養成施設を選ぶと後悔しにくい。

  • 将来どちらの業務を中心にしたいか(カットやパーマ、まつげエクステ中心か、顔そりも含めた理容メニューか)を先に考える
  • 昼間課程で集中して学ぶか、夜間課程や通信課程で働きながら目指すかを生活スタイルから逆算する
  • 通信課程を選ぶ場合は、面接授業(スクーリング)の日数や通学の頻度を募集要項で確認する
  • すでに一方の免許を持っている場合は、修得者課程と筆記試験の一部免除でもう一方を短期間で取得できないか確認する
  • 就職を考えるサロン・理容室が実際にどちらの資格保持者を求めているか、求人票で確認する

ダブルライセンスを持つ人は顔そりからパーマ、メイクまで一人で幅広く対応できるため、独立開業時の強みになりやすい。ただし取得には時間と費用がかかるため、まずは軸になる資格を一つ決めてから検討する進め方が現実的である。

よくある質問

美容師と理容師、どちらの需要が高いですか。

業界団体や求人動向によって傾向は変わり、公式に優劣が示されているわけではない。理容室・美容室のどちらも地域や客層によって需要は異なるため、志望するエリアの求人状況を個別に確認するほうが実態に近い。

美容師免許と理容師免許は両方取ることができますか。

取得できる。すでに一方の免許を持っている人向けの「修得者課程」があり、昼間課程・夜間課程なら1年、通信課程なら1年6か月でもう一方の受験資格を得られる。国家試験でも、免許を受けている人は申請により技術理論を除く筆記試験が免除され、もう一方の技術理論だけを受験する(12問中7問以上の正答で合格)。

通信課程でも国家試験に合格できますか。

通信課程の修了者も昼間課程・夜間課程と同じ国家試験を受験する。通信課程の授業は通信授業と面接授業で行われ、修業年限の3年以上をかけて所定の課程を修了すれば受験資格を得られる。

理容師はパーマやカラーもできますか。

厚生労働省は理容師法の概要で、染毛も理容行為に含まれるとし、「理容師がパーマネントウェーブを行うことは差し支えない」としている。美容師については「美容師がカッティングを行うことは差し支えない」としている。

美容師免許がないとまつげエクステの施術はできませんか。

美容師免許が必要である。厚生労働省は平成20年3月7日の通知でまつげエクステの施術を美容師法の「美容」に該当すると整理しており、施術には美容師免許が求められる。

国家試験に落ちた場合、再挑戦はできますか。

再受験できる。実技試験と筆記試験はそれぞれ年2回実施されている。片方だけ合格した場合は、申請すれば次回に限り合格した試験が免除される。

国家試験に合格すればすぐに働けますか。

合格しただけでは免許証は交付されない。免許を申請して名簿に登録されると免許証が交付される。費用は登録免許税9,000円と登録事務手数料5,200円で、受付からおおむね2〜4週間かかる。

ネイリストやエステティシャンにも国家資格はありますか。

今回確認した公的資料には、ネイリストやエステティシャンの資格についての記載がなかった。資格の位置づけは各団体の案内で確認してほしい。なお、まつげエクステは美容師法の「美容」に該当し、美容師免許が必要とされている(厚生労働省)。

まとめ

美容師と理容師は同じ美容業界の国家資格でありながら、根拠法も業務の定義も異なる別の資格である。顔そりは理容の定義に含まれ、メイクやまつげエクステは美容師の業務として整理されている一方、資格取得までの流れは都道府県知事が指定する養成施設への入所から国家試験合格、免許登録まで共通している。どちらを選ぶか、あるいは両方を目指すかは、将来やりたい業務内容と生活スタイルに合わせて判断するとよい。

この記事の情報は、厚生労働省、公益財団法人 理容師美容師試験研修センター、e-Gov法令検索の公開情報を2026年10月16日に確認して整理しました。管理理容師・管理美容師の講習の受講資格は、免許を受けた後に国内で3年以上理容または美容の業務に従事していることです(同センター「受講資格・応募方法」)。受験前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

出典(いずれも2026年10月16日確認)

  • 公益財団法人 理容師美容師試験研修センター「過去の試験実施状況」 https://www.rbc.or.jp/exam/past_result/
  • 同「第54回 合格基準」 https://www.rbc.or.jp/exam/criteria/
  • 同「受験手続」 https://www.rbc.or.jp/exam/process/
  • 同「受験資格」 https://www.rbc.or.jp/exam/qualify/
  • 同「第54回 実施結果」 https://www.rbc.or.jp/exam/about_result/
  • 同「理容師美容師になるためには」 https://www.rbc.or.jp/howto/
  • 同「免許について」 https://www.rbc.or.jp/license/description/
  • 同「免許に関する申請手続き」 https://www.rbc.or.jp/license/process/
  • 同「講習会 受講資格・応募方法」 https://www.rbc.or.jp/workshop/qualify/
  • 同「講習会 管理理容師・管理美容師の概要」 https://www.rbc.or.jp/workshop/overview/
  • 同「よくあるご質問」 https://www.rbc.or.jp/faq/
  • 同「第54回の実施に関する公告」(官報公告) https://www.rbc.or.jp/topics/3731/
  • 同「令和8年度事業計画書」 https://www.rbc.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/R8keikaku.pdf
  • 厚生労働省「理容師・美容師免許の取得まで」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/riyoushi/index.html
  • 厚生労働省「美容師法の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124874.html
  • 厚生労働省「まつ毛エクステンションの危害」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124086.html
  • 厚生労働省「理容師法の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124762.html
  • 厚生労働省通知「美容師養成施設の通信課程における授業方法等の基準の運用について」(平成29年7月10日) https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001403712.pdf
  • 美容師養成施設指定規則(平成10年厚生省令第8号) https://laws.e-gov.go.jp/law/410M50000100008/
  • 美容師法(昭和32年法律第163号) https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC1000000163/
  • 理容師法(昭和22年法律第234号) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000234/
  • 美容師法施行規則(平成10年厚生省令第7号) https://laws.e-gov.go.jp/law/410M50000100007/

あわせて読みたい

-資格比較・ランキング