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TOEICとTOEFLの違いを比較。目的別の選び方

英語力を測る試験としてまず名前が挙がるのがTOEICとTOEFLだ。どちらも英語の運用力を数値化する試験だが、測定する技能も、想定されている使い道も別物である。国内での就職・転職に向けて実績を示したいのか、海外の大学に出願するために英語力を証明したいのかによって、取るべき試験は変わる。この記事ではTOEICとTOEFLそれぞれの試験形式や難易度の目安、関連する試験の種類、選び方のポイントまでを整理する。

TOEICとTOEFLの基本

TOEICとTOEFLは、どちらも米国の非営利テスト開発機関ETS(Educational Testing Service)が開発した英語能力測定試験である。日本国内でのTOEICの運営は一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が、TOEFLの案内窓口はETS Japan合同会社(TOEFLテスト日本事務局)が担っている。かつてはCIEE(国際教育交換協議会)日本事務局が窓口だったが、2021年6月15日以降はETS Japanが運営を引き継いでいる。年齢や学歴による受験資格の制限はなく、どちらも申込みをすれば誰でも受験できる。

両者の最も大きな違いは想定されている活用シーンにある。TOEICはビジネスの現場で英語を実務的に使えるかどうかを測ることを目的に開発された試験で、日本と韓国で特に高い知名度を持つ。一方TOEFLは、英語圏の大学の講義についていけるだけの学術的な英語力があるかどうかを測る試験で、世界160以上の国・地域、13,000以上の大学・教育機関が留学生の出願要件としてスコアを採用している(ETS公式情報より)。

TOEICの特徴

試験形式

広く「TOEIC」として知られているのは、リスニングとリーディングの2技能を測るTOEIC Listening & Reading Test(TOEIC L&R)である。試験時間は約2時間で、リスニング100問(約45分)、リーディング100問(約75分)の合計200問がマークシート形式で出題される。

スコアと難易度

スコアは10点から990点までを5点刻みで示す仕組みで、合格・不合格の判定はない。何点以上取れば良いという絶対基準もなく、応募先の企業や制度が求める点数を上回っているかどうかが評価の軸になる。設問はオフィスでのやり取りや出張、会議など、ビジネスシーンを題材にした内容が中心である。

主な用途

国内企業の採用選考や昇進・昇格の要件、社内の英語研修の到達目標としてTOEICのスコアを用いる企業は多く、履歴書に書ける実務的な指標として定着している。留学の出願要件として使われる場面は少ない。

TOEFLの特徴

試験形式

現在主流のTOEFL iBTは、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4技能をすべてコンピューター上で測定する試験である。2023年7月の形式変更で受験時間はおよそ2時間に短縮され、さらに2026年1月21日からはリーディング・リスニングが解答状況に応じて出題が変化するマルチステージ・アダプティブ方式に刷新され、試験時間は約90分まで短縮された。設問は大学の講義や課題図書、キャンパス内の会話などアカデミックな内容が中心で、聞いた内容を要約して話す、複数の資料を読んで意見を書くといった複合的なタスクが含まれる。

スコアと難易度

スコアは各セクション0〜30点、合計0〜120点で示され、こちらも合否判定はない(必要スコアは出願先の大学・機関が個別に設定する)。4技能をアカデミックな水準で問われるため、TOEICより難易度が高いとされることが多いが、出題形式そのものが異なるため単純な比較は難しい。スコアの有効期限は受験日から2年間である。また2026年1月21日の刷新以降は、従来の0〜120点に加えてCEFR(欧州言語共通参照枠)に対応した1〜6段階のバンドスコアも導入されており、2026年から2028年の移行期間中は両方のスコア表記が併記される。

主な用途

海外の大学・大学院への出願、交換留学の選考、国内大学の単位認定や海外派遣選考の基準として利用される。ビジネスの現場で英語力の指標として使われる場面は限られる。

関連する試験の種類

TOEIC・TOEFLにはそれぞれ派生する試験があり、目的によって使い分けられている。

試験名 測定技能 主な用途 受験時間の目安
TOEIC L&R リスニング・リーディング 国内就職・転職、社内基準 約2時間
TOEIC S&W スピーキング・ライティング 4技能を重視する企業・大学での活用 約80分
TOEFL iBT 4技能(読む・聞く・話す・書く) 海外大学・大学院への出願 約2時間
TOEFL ITP リスニング・文法・リーディング 大学等の団体内での英語力測定・クラス分け 約2時間

類似の英語資格との違い

英語力を測る試験にはTOEIC・TOEFL以外にもいくつかの選択肢がある。目的が近いものと比較すると立ち位置が分かりやすい。

  • IELTS:TOEFLと同じくアカデミックな英語力を測る試験で、イギリスやオーストラリア圏の大学出願で選ばれやすい。4技能を測る点はTOEFLと共通するが、面接形式のスピーキングテストがある点が異なる。
  • 実用英語技能検定(英検):級ごとに合格・不合格が決まる日本独自の試験で、中高生の学習到達度を測る目的で使われることが多い。TOEICやTOEFLのようなスコア制ではなく、級による段階評価である。
  • TOEIC Bridge:TOEICより易しい設問構成で、英語学習の初中級者向けに作られた試験。ビジネス英語より生活場面に近い題材が中心となる。

英検とTOEICのどちらを選ぶべきかについては、こちらの記事で詳しく比較しています。

どの試験も「アカデミックな英語力」と「実務での運用力」のどちらに重心があるかで性格が分かれる。留学が目的ならTOEFLかIELTS、国内でのキャリアが目的ならTOEICを軸に据えるのが基本的な考え方だ。

選び方の実践的なコツ

目的から逆算して試験を決めるのが遠回りに見えて最も効率が良い。

  • 国内での転職・昇進を見据えているなら、まずTOEIC L&Rの対策から始める
  • 海外進学・留学を検討しているなら、早い段階でTOEFL iBTのスピーキング・ライティングに触れておく
  • 応募先や出願先が求めるスコアの基準を先に確認し、必要な点数から逆算して学習計画を立てる
  • 両方が同時に必要になる場面は多くないため、まずは一方に絞って対策する方が結果が出やすい

TOEICスコアはどのくらいで評価されるか

TOEIC L&Rはリスニング・リーディングがそれぞれ495点満点で、合計990点満点のスコアになる。合否がない試験のため、何点あれば評価されるかは業界・職種・企業によって大きく異なる。海外拠点とのやり取りが日常的な職場と国内業務が中心の職場とでは、同じスコアでも重視のされ方が変わるためだ。

目安として語られやすいスコア水準

  • 600点台:基礎的な業務対応が可能な水準
  • 700点台後半〜800点台:実務で英語を使う職種でも評価されやすい水準
  • 900点超:高い英語力として評価されやすい水準

これらは一般に広く語られている目安で、公式に統一された基準があるわけではない。企業がスコアを採用基準や昇進要件に取り入れるのは、面接だけでは判断しにくい語学力を全国共通の数値で比較できるためで、書類選考でのふるい分けや配属先の検討材料に使われることがある。一方で、実際の業務で英語を使う場面を踏まえて評価する企業も多く、応募先の求人情報で期待されるスコアを個別に確認しておくことが欠かせない。英語での会議や交渉を担当するポジションでは、TOEIC S&Wのスコアや面接での英語対応力もあわせて見られる傾向がある。

スコアの伸ばし方と立場別の考え方

必要な学習時間は現在のスコアと目標の差によって変わるが、一般に100点上げるのに100〜200時間程度が必要とされることが多い。まず模擬試験や公式問題集で実力と弱点分野を把握し、得点全体の土台になる単語学習を毎日続けながら出題形式に慣れていく進め方が効率的とされる。公式問題集や市販の参考書を使った独学なら書籍代の数千円程度から始められ、伸び悩んでいる場合や短期間で目標に届かせたい場合は通信講座やスクールを検討する価値がある。

  • 就職活動中の学生:選考が本格化する前にスコアを確保しておくと、就職活動中は他の対策に時間を使いやすい
  • 転職を考えている社会人:求人情報に記載された目安スコアを基準に、通勤時間などの隙間時間で学習計画を立てる
  • すでに英語を使う職種の人:スコアに加えて、実務での英語使用経験を具体的なエピソードとして整理しておく
  • 海外赴任や海外拠点との仕事を目指す人:スピーキング力も重要になるため、TOEIC S&Wや英会話練習を並行する

再受験してスコアを更新するのは一般的な方法で、多くの企業では提出時点で最新かつ有効なスコアを確認する形になる。

受験の申込みと当日の流れ

TOEIC L&Rは年に複数回、全国の会場でマークシート方式により実施される。申込みはIIBCの公式サイトから行い、試験日の1〜2ヶ月前には受付が締め切られるため、応募先の締切から逆算して早めに申込みを済ませておきたい。TOEFL iBTはテストセンターでコンピューターを使って受験する方式で、年間50日以上、土日を中心に実施されている。会場によっては予約が早く埋まることもあるため、出願書類の提出時期から逆算してスケジュールを組む必要がある。

よくある質問

TOEICとTOEFLはどちらが難しいですか

単純比較はできないが、TOEFLは4技能をアカデミックな水準で問われるため、一般的にはTOEICより難易度が高いとされることが多い。ただし出題形式が異なるため、得意分野によって感じ方は変わる。

就職活動にはどちらが有利ですか

国内企業への就職・転職ではTOEICのスコアが評価対象になる場面が多い。外資系企業や英語を日常的に使う職種では、TOEFLやIELTSのスコアが参考にされることもある。

TOEICのスコアに有効期限はありますか

公式認定証そのものに失効の定めはないが、企業や学校が独自に「2年以内のスコア」などの条件を設けている場合がある。応募先の規定を個別に確認する必要がある。

独学でTOEFL iBTのスコアを伸ばせますか

リーディング・リスニングは独学でも対策しやすいが、スピーキング・ライティングは第三者からのフィードバックがないと弱点に気づきにくい。オンライン添削サービスや講座を併用する受験者も多い。

TOEIC S&WとTOEFLは何が違いますか

TOEIC S&Wはビジネス場面を題材にしたスピーキング・ライティング試験で、TOEICのリスニング・リーディングと組み合わせて4技能を測る位置づけになる。TOEFLはアカデミックな内容が中心で、そもそもの想定用途が留学であるという点が異なる。

受験料はどのくらいかかりますか

TOEIC L&Rは数千円台、TOEFL iBTは米ドル建てで数万円程度と、TOEFLの方が高額になる傾向がある。金額は改定されることがあるため、受験前に公式サイトで最新の受験料を確認したい。

まとめ

TOEICとTOEFLはどちらもETSが開発した英語能力測定試験だが、TOEICは国内のビジネスシーンでの実務力を、TOEFLは英語圏の大学で通用する学術的な英語力を測る試験という点で性格が異なる。国内でのキャリアを重視するならTOEIC、海外進学やアカデミックな場面での英語力を証明したいならTOEFLというように、まず目的をはっきりさせてから学習を始めることが遠回りを避ける近道になる。IELTSや英検といった周辺の試験も含めて、自分の状況に合った一本を選びたい。

この記事の試験情報は、ETS(Educational Testing Service)公式サイト及びニュースリリース(TOEFL Transformation Announcement)、IIBC公式サイト(TOEIC日本運営)、ETS Japan合同会社が運営するTOEFLテスト日本事務局公式サイト(toefl-ibt.jp、TOEFL案内窓口。2021年6月にCIEE日本事務局から運営を引き継いでいます)を2026年9月28日に確認して整理しました。TOEFL iBTは2026年1月21日からアダプティブ方式・新スコア表記(1〜6段階バンドスコア)に刷新されています。受験料の具体的な金額は年度・受験地により変わるため、公式で確認できませんでした。受験前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

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