企業のSDGsへの取り組みが評価基準の一つになる中、その知識を体系的に学べる民間検定への関心が高まっている。以前から存在する環境社会検定(エコ検定)と、SDGsに特化した各種検定は、名称や目的が近く混同されやすい。この記事では、エコ検定とSDGs関連検定それぞれの実施団体・受験資格・試験形式・難易度の目安を公開情報にもとづいて整理し、どちらを選ぶべきか、あるいは両方学ぶ意味があるのかを判断できるようにまとめる。エコ検定は東京商工会議所が回ごとの受験者数と合格率を公表しており、2026年7月の第40回は実受験者13,547人に対して合格率56.7%だった。
この記事で取り上げる検定の選び方
この記事では、環境社会検定(エコ検定)と、SDGsに特化した検定を並べた。理由は、名称や目的が近く混同されやすいためである。対象は、実施団体が公開されていて継続的に実施されている検定に限った。企業研修として社内で実施されるものや、受講とセットの認定は、外部から内容を確認しづらいため対象から外している。
エコ検定とSDGs検定、それぞれの基本
エコ検定の正式名称は「環境社会検定試験」で、東京商工会議所が実施する検定である。環境問題全般に関する知識を体系的に問う内容で、企業のCSR部門や環境経営の推進担当者を中心に長く活用されてきた。一方でSDGs検定は、17の目標それぞれの背景や企業の取り組み事例など、社会課題全体を俯瞰する内容に重心を置く点が異なる。SDGs検定という名称を掲げる検定は複数の団体が実施しており、代表的なものに一般社団法人SDGs推進士業協会が運営する「SDGs検定」がある。貧困や教育、ジェンダー平等といった社会課題まで扱う点が、環境分野に軸足を置くエコ検定との大きな違いといえる。
エコ検定の特徴を分解する
実施団体と沿革
エコ検定は東京商工会議所が実施する検定で、公式テキストは改訂を重ねており、現行の改訂10版ではSDGsに関する記述が拡充され、17の目標のうち16をカバーする内容になっている。SDGs対応の索引も新設されており、環境分野からSDGs全体の理解へとつなげる構成になっている点が特徴だ。
受験資格と試験形式
受験資格に学歴・年齢・性別・国籍による制限はない。試験は多肢選択式で試験時間90分、100点満点中70点以上で合格となる。出題は公式テキストの知識に加えて、それを理解した上での応用力や時事問題も問われる。受験方式はIBT(自宅等でのオンライン受験)とCBT(全国のテストセンターで受験)の2方式があり、受験料はIBTが5,500円(税込)、CBTは5,500円に利用料2,200円が加算される。試験は年2回実施されており、2026年は7月と11〜12月に開催される。
合格後の位置づけ
受験者数と合格率
東京商工会議所の公式データページに掲載されている直近の結果は次のとおりで、合格率は実受験者数を分母にしている。
| 回(実施年) | 受験者数 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 第38回(2025年度 第1シーズン) | 17,570人 | 16,184人 | 9,044人 | 55.9% |
| 第39回(2025年度 第2シーズン) | 18,249人 | 16,509人 | 8,854人 | 53.6% |
| 2025年度 合計 | 35,819人 | 32,693人 | 17,898人 | 54.7% |
| 第40回(2026年7月) | 15,022人 | 13,547人 | 7,676人 | 56.7% |
2006年の試験開始以来の受験者は69万人、合格者(エコピープル)は41万人を超える(2026年3月現在)。合格者アンケートでは、学習期間「2ヶ月以内」という回答が71.4%を占めている。次の第41回は申込期間が2026年10月9日〜10月20日、試験期間が11月12日〜12月3日だ。
合格者は「エコピープル」として登録でき、環境関連の情報発信や支援事業への参加が可能になる仕組みが用意されている。企業の環境経営推進者や、就職・進学を控えた学生など、幅広い層への活用が想定されている検定だ。
SDGs検定の特徴を分解する
運営団体と検定の位置づけ
この節のSDGs検定に関する記述は、報道や二次情報にもとづくもので、本記事では運営団体の公式サイトの一次資料を確認できていない。一般社団法人SDGs推進士業協会が運営する「SDGs検定」は、SDGsの基本から応用まで幅広い知識と、それを踏まえた応用力を測定する試験と紹介されてきた。受験資格に制限はないとされ、報道によれば中学生から70歳以上まで、会社員・経営者・学生・公務員・教員など幅広い層が受験している。
試験形式と難易度
二次情報では、試験はWEB上のオンライン方式で、選択式・試験時間90分、正答率70%が合格基準、受験料5,500円(税込)と紹介されている。また、SDGsが日本国内に一定程度浸透し啓発の段階を終えたことを理由に、運営団体が検定を終了したと伝えられている。終了の時期は情報源により2023年9月・2024年3月など記載が分かれ、公式の一次資料は確認できていない。受験を考える場合は、まず実施されているかどうかを運営団体に確認してほしい。難易度については、報道された2021年6月実施回のデータとして合格率26%程度、平均点は100点満点中59点だったと伝えられている。この数値は特定の回の実績であり、毎回の合格率が公式に公表されているわけではないため、最新の傾向を知りたい場合は受験前に公式サイトで確認したい。
比較表で見るSDGs関連検定の種類
SDGs関連の知識を問う検定は、エコ検定とSDGs検定以外にも複数存在する。運営団体や出題形式、対象者が異なるため、目的に合わせて選ぶことが重要だ。
| 検定名 | 運営団体 | 受験資格 | 試験形式 | 受験料(税込) | 主な対象 |
|---|---|---|---|---|---|
| エコ検定(環境社会検定試験) | 東京商工会議所 | 制限なし | 多肢選択式・90分・70点以上合格 | 5,500円(IBT) | 環境経営推進者、就職・進学希望者 |
| SDGs検定(終了と伝えられている。公式資料は未確認) | 一般社団法人SDGs推進士業協会 | 制限なしとされる | 選択式・90分・正答率70%合格とされる | 5,500円とされる | 会社員、経営者、学生など幅広い層 |
| サステナビリティ検定 SDGs・ESGベーシック | 一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい) | 制限なし | 三答択一式40問・60分・70点以上合格 | 4,400円 | 金融機関職員、企業のSDGs担当者 |
| サステナ経営検定4級(SDGsの基礎) | オルタナ | 制限なし | オンライン選択式20問・30分 | 2,300円(一般) | ビジネスパーソン、学生 |
エコ検定とSDGs検定、他の類似検定との違い
扱う範囲の広さ
エコ検定は環境問題を軸に据えた出題が中心で、SDGsに関する記述はテキストの一部という位置づけだ。これに対しSDGs検定やきんざいのサステナビリティ検定は、17の目標全体を横断的に扱う点で範囲がより広い。
運営団体の性質による違い
東京商工会議所という商工団体が実施するエコ検定は、企業活動との結びつきを意識した出題が特徴だ。SDGs推進士業協会によるSDGs検定は幅広い一般層を対象にしており、きんざいのサステナビリティ検定は金融機関向けの実務色が強い。オルタナのサステナ経営検定はメディア企業が運営しており、CSR・サステナビリティ経営の情報発信と連動している点が他とは異なる。
学習コストの違い
試験時間や出題数を比べると、サステナ経営検定4級(20問・30分)は短時間で受けられる入門編、エコ検定とSDGs検定(いずれも90分)はより体系的な学習を要する検定という違いが見えてくる。
サステナ経営検定を詳しく見る
比較表で取り上げたサステナ経営検定は、株式会社オルタナと一般社団法人サステナ経営協会が実施する検定である。もとは「CSR検定」として長年実施されてきたが、2023年4月に現在の名称へ改称された。企業に求められる取り組みの重心が、CSR(企業の社会的責任)から事業戦略そのものにサステナビリティを組み込む「サステナ経営」へ移ってきたことが背景にある。ISO26000(社会的責任に関する国際規格)やSDGs、ESG(環境・社会・ガバナンス)を軸に、企業だけでなく自治体・学校・病院・非営利団体などがどう持続可能性に向き合うかを扱い、企業単位の団体受験プログラムも用意されている。
4級から1級までの級構成
| 級 | 主な出題テーマ | 想定される受験者 |
|---|---|---|
| 4級 | SDGsの基礎 | SDGsを初めて学ぶ社会人・学生 |
| 3級 | サステナビリティとSDGs | 一般のビジネスパーソン |
| 2級 | ESGとサステナブル経営 | 企業のサステナビリティ・CSR担当者 |
| 1級 | サステナブル経営の真髄(一次は小論文、二次は面接) | 経営企画・経営層クラス |
4級・3級は選択式、2級は選択式25問に記述式2問が加わり、1級は一次試験が小論文、二次試験が面接になるなど、上位級ほど知識を自分の言葉で説明する力が問われる。合格基準はいずれの級も正答率80%程度が目安とされる。4級・3級は受験資格の制限がなく、2級は3級合格が必須ではないものの推奨、1級は2級(または旧サステナビリティCSR検定)の合格が条件とされている。環境・人権・労働環境・ガバナンス・サプライチェーンマネジメントまで扱い、情報開示の枠組みやサプライチェーン全体での人権・環境配慮も出題に含まれる点が、環境分野に軸足を置くエコ検定との大きな違いである。
情報開示制度との違いと部署ごとの活かし方
混同されやすいものに、上場企業に求められている有価証券報告書でのサステナビリティ情報開示がある。こちらは法制度・開示ルールの枠組みで、検定に合格しても開示義務を満たす手段になるわけではない。検定は、開示や経営判断の前提となる知識を個人が体系的に身につけるための任意の手段と捉えるのが実態に近い。
- 経営企画部門:中期経営計画にサステナビリティの要素を組み込む際の共通言語になる
- IR部門:投資家との対話で、開示内容の背景にある考え方を自分の言葉で説明しやすくなる
- 調達・購買部門:取引先の選定基準や取引条件の見直しで、サプライチェーン全体のリスクを評価する視点を養える
- 人事部門:人的資本に関する情報開示の考え方を理解する土台になる
非上場企業でも、取引先の大手企業から調達方針への対応を求められる場面が増えている。実務担当者が体系的な知識を持っておくと、問い合わせへの対応や社内説明が進めやすい。受験料や試験形式は級によって異なり改定されることもあるため、申込前に公式サイトで最新の要項を確認したい。
選び方と実践的なコツ
1. 環境分野を軸にキャリアを考えているなら、教材が充実し歴史のあるエコ検定から始めるのが妥当。
2. 社会課題全体を横断的に語れるようになりたいなら、SDGs検定など17目標を幅広く扱う検定が向いている。
3. 金融機関に勤めている、または金融業界への就職・転職を考えているなら、きんざいのサステナビリティ検定が実務との親和性が高い。
4. まずは低コストで知識を確認したいなら、サステナ経営検定4級のような入門レベルから試すのも一案だ。
取得を検討する際は、志望する企業や部署がどの目標・分野に力を入れているかを事前に調べ、検定の学習内容と照らし合わせる使い方も有効だ。就職活動では、SDGsへの理解を示す共通言語として面接で活用する学生や求職者が増えており、志望動機の説得力を高める材料にもなっている。ただし現時点では、資格の有無そのものよりも実際の取り組みを企画・実行した経験が重視される傾向が強く、検定はあくまで基礎知識の証明として位置づけるのが妥当だ。
受験のタイミングにも注意したい。エコ検定は年2回実施されており、次の第41回の申込は2026年10月9日〜20日だ。SDGs検定(一般社団法人SDGs推進士業協会)は終了したと伝えられているが、本記事では公式の一次資料を確認できていない。受験を検討する場合は、運営団体の公式サイトで最新の実施状況を確認してから申込みたい。
よくある質問
Q. エコ検定とSDGs検定はどちらから受けるべきですか
環境分野への関心が強い、あるいは企業の環境経営に携わる予定があるならエコ検定、社会課題全体を幅広く学びたいならSDGs検定が適している。両方の範囲を学びたい場合は、先にエコ検定で環境分野の基礎を固め、その後SDGs検定で社会課題全体に視野を広げる順番も検討できる。
Q. 両方の検定を取得する意味はありますか
環境と社会の両面から企業活動を捉える視点が身につくため、CSRやサステナビリティ関連の部署を目指す場合には両方を学ぶ価値がある。ただし業務内容によっては一方の知識で十分な場合もあるため、志望する役割に照らして判断したい。
Q. エコ検定に受験資格の制限はありますか
学歴・年齢・性別・国籍による制限はなく、誰でも受験できる。
Q. SDGs検定の合格率はどれくらいですか
本記事では公式の公表値を確認できていない。報道された一時点のデータとして、2021年6月実施回で合格率26%程度、平均点は100点満点中59点だったと伝えられているが、一次資料は未確認だ。
Q. エコ検定の合格率は公表されていますか
公表されている。東京商工会議所のデータページによると、2025年度は実受験者32,693人のうち17,898人が合格して合格率54.7%、2026年7月の第40回は56.7%だった。合格者アンケートでは学習期間「2ヶ月以内」が71.4%を占める。
Q. どちらの検定も履歴書に書けますか
いずれも民間検定として履歴書に記載できる。ただし採用側が重視するのは資格の有無だけでなく、実際にSDGsや環境に関する取り組みを企画・実行した経験であることが多い。検定は基礎知識の証明として位置づけ、実務経験や具体的なエピソードと組み合わせて伝えるのが効果的だ。
Q. サステナビリティ検定は金融機関以外の人でも受けられますか
受験資格に制限はなく、金融機関の職員でなくても受験できる。ただし出題内容は金融機関の実務を意識した構成になっているため、一般企業のSDGs担当者が学ぶ場合はESGやサステナブルファイナンスの基礎知識を得る目的で活用するとよい。
Q. 学生でも受験できる検定はどれですか
エコ検定・SDGs検定・サステナビリティ検定・サステナ経営検定4級のいずれも受験資格に年齢制限がなく、学生でも受験できる。サステナ経営検定4級には学生向けの割引料金も用意されている。
Q. 試験はすべてオンラインで受けられますか
エコ検定はIBT(自宅等)とCBT(テストセンター)の2方式、サステナ経営検定4級はWEB上のオンライン方式、サステナビリティ検定はCBT方式と、いずれも自宅や外出先から受験できる形式が用意されている。会場に足を運ぶ必要が原則ないため、社会人でも学習の合間に受験しやすい。
Q. どの検定が最も安く受けられますか
比較した4つの検定の中では、オルタナのサステナ経営検定4級が一般2,300円(学生1,400円)と最も低価格である。まずは低コストで知識を試したい場合の入り口として活用しやすい。
Q. 検定名に「SDGs」とついていれば内容は同じですか
いいえ、同じではない。今回比較しただけでも運営団体は東京商工会議所、SDGs推進士業協会、金融財政事情研究会、オルタナと異なり、出題形式・試験時間・受験料・対象読者もそれぞれ違う。名称だけで判断せず、実施団体名と試験概要を公式サイトで確認してから申し込むことが遠回りのようで確実だ。
Q. 検定の学習だけでSDGs関連の仕事に就けますか
検定の学習だけで採用が決まるわけではない。多くの企業では、SDGsやサステナビリティに関する部署への配属や採用の判断材料として、資格の有無よりも実際の企画・実行経験やボランティア・インターンなどの実績を重視する傾向がある。検定は基礎知識を体系的に身につけ、面接などで自分の理解度を裏付ける材料として活用するのが現実的だ。
まとめ
エコ検定は東京商工会議所が実施する、環境分野を軸にした歴史ある検定であり、近年はSDGsに関する記述も拡充されている。一方でSDGs検定をはじめとする各種SDGs関連検定は、17の目標全体を横断的に扱う点でエコ検定と守備範囲が異なる。金融機関向けのサステナビリティ検定や、低価格で受けられるサステナ経営検定4級など、運営団体や対象者が異なる検定も存在するため、自分が目指す部門や役割、学習にかけられるコストに照らして選ぶことが重要だ。取得を検討する際は、それぞれの実施団体・受験資格・試験形式の違いを確認したうえで、環境と社会の課題を横断的に語れる強みとして活用したい。
企業が社会的な課題への対応を求められる流れの中で生まれた検定は、環境分野に限らない。職場の健康管理を扱う健康経営アドバイザー、ハラスメントの防止を扱うハラスメント防止研修・資格も同じ流れにある。いずれも法令や社会の要請が先にあり、それに対応する知識を体系化した検定という点で共通している。
この記事の検定情報は、東京商工会議所のエコ検定公式サイト(受験案内)、一般社団法人SDGs推進士業協会の公式発表、きんざいのサステナビリティ検定・オルタナのサステナ経営検定の各公式サイトを2026年9月28日に確認して整理しました。エコ検定の受験者数・合格率・累計・学習期間のアンケート結果と第41回の日程は、2026年10月4日に東京商工会議所のeco検定データページと受験案内で確認しました。SDGs検定(一般社団法人SDGs推進士業協会)は終了したと伝えられていますが、運営団体の公式サイトの一次資料は確認できておらず、試験形式・受験料・合格率・終了時期の記述は二次情報にもとづきます。サステナ経営検定の級ごとの試験形式は同日に公式の級別概要ページで確認しました。制度や検定の実施状況は変更される場合があるため、受験の前に必ず各実施団体の最新情報をご確認ください。