ビジネス・会計・法務系資格

M&Aアドバイザー資格の概要 種類と取得の位置づけを整理する

企業の合併・買収を仲介・助言するM&Aアドバイザーには、弁護士や税理士のような法律上必須の資格は現時点で存在しない。業務知識を証明する手段としては民間資格がいくつも生まれており、実施団体や講座の内容によって性格が大きく異なる。たとえば金融財政事情研究会(きんざい)の系統だけでも、受験手数料5,500円の3級検定から、受講料132,000円の3日間講座を経て受ける「M&Aシニアエキスパート」まで3つの段階がある。一方で国の動きもあり、中小企業庁が運営主体となる「中小M&A資格試験」が令和8年度に初回を迎える予定だ。この記事では、M&Aアドバイザーという仕事の定義から、代表的な民間資格の種類、新しく始まる国の資格試験、関連する国家資格・公的制度との違い、資格を選ぶ際の考え方までを整理する。

M&Aアドバイザーとは

M&Aアドバイザーとは、企業の合併・買収(M&A)における相手先の選定、企業価値評価、条件交渉、契約手続きなどを、売り手または買い手の立場から助言・仲介する専門職を指す総称である。証券会社や銀行のM&A部門、独立系のM&A仲介会社、コンサルティングファーム、会計事務所・法律事務所の関連部門など、活動の場は幅広い。

業務の性質上、財務・法務・税務にまたがる知識が求められるが、これらを包括的に扱う独占的な国家資格は存在しない。そのため、公認会計士や税理士、弁護士といった隣接する国家資格の保有者がM&A業務に携わる一方、こうした資格を持たずに実務経験を積んでアドバイザーになる人も多く、業界への入口が一本化されていない点が特徴だ。

資格の特徴を要素ごとに分解する

法律上の必須資格が存在しない背景

M&A仲介業そのものは、宅地建物取引業のような免許制・登録制の業種ではなく、原則として誰でも事業として営むことができる。参入障壁が低い反面、知識やスキルにばらつきが生じやすいという課題を抱えており、業界団体や研究機関が独自の民間資格・認定講座を整備してきた経緯がある。必須資格がない状態は今も変わらないが、中小企業庁が運営主体となる資格試験と合格者の登録制度が令和8年度から始まる予定だ(後の節で扱う)。

民間資格の二つの系統

M&A関連の民間資格は、大きく分けて財務・法務の基礎知識を幅広く問うものと、デューデリジェンスや契約交渉といった実務プロセスに焦点を当てたものに分かれる。前者は業界未経験者が体系的に基礎を固める目的に適しており、後者はすでに実務経験がある人がスキルを言語化し、対外的に証明する目的で取得する傾向が見られる。企業価値評価(バリュエーション)の考え方を専門に扱う資格もあり、財務分析力を重視する求人ではこうした知識が評価されやすい。

国の関与 M&A支援機関登録制度

資格制度とは別に、中小企業庁は中小企業のM&Aを支援する仲介業者・FA(フィナンシャルアドバイザー)を対象とした登録制度を運営し、中小M&Aガイドラインの遵守などを促す取り組みを進めている。個人の資格ではなく事業者単位の登録制度である点には注意が必要だが、業界の健全化を図る国の姿勢を示すものとして押さえておきたい。

登録支援機関のデータベースは、2026年10月17日に閲覧した時点で「全 3,362 件」と表示されていた(ページに集計時点の記載はない)。登録は一度で終わりではなく、毎年度「登録継続申請」が必要で、前年度の共通報告・実績報告を出していることが条件になる。報告に虚偽があった場合は、特段の事情がない限り登録が取り消される。

業界での評価軸

M&A業界では、資格の有無よりも成約実績やディールの規模が評価の中心になりやすい。未経験からの転職では、資格取得を通じて専門用語や取引の流れを理解していることを示し、面接での説得力を補う使い方が現実的とされている。

M&A関連資格は「知識を体系化するための手段」であり、資格そのものが業務許可証になるわけではない。この前提を理解したうえで学習範囲を選ぶことが重要になる。

中小企業庁の中小M&A資格試験(令和8年度に初回予定)

中小企業庁財務課が2026年3月17日の「中小M&A市場の改革に向けた検討会」(第4回)に出した資料には、2025年に作成した「スキルマップ」をもとに、中小M&A資格試験を中小企業庁が運営主体として実施する予定と書かれている。同月27日に公表された試験実施事業の公募要領には「令和8年度試験が初回試験」とあり、受験者数は約10,000人をベースに見積もられている。5月1日に公表された採択結果では、3件の応募の中から株式会社銀行研修社が委託先に決まった。

試験のイメージ

資料に示された内容をまとめると次のとおり。どれも想定の段階で、確定した要項ではない。

項目 内容 出典
運営主体 中小企業庁 検討会資料(2026年3月17日)
初回 令和8年度試験 公募要領(2026年3月27日)
設問数・形式 60問程度、CBT方式で120分を想定 検討会資料
合格基準 総得点の70〜80%程度の得点率を想定し、科目ごとの最低点も設ける 検討会資料
科目 M&A実務、財務・税務、法務、倫理・行動規範の4科目 検討会資料
受験対象 仲介・FA業務に携わる人と、これから携わろうとする人(金融機関・士業・プラットフォーマーの所属者を含む) 検討会資料
試験日 年3回程度から1回を選んで受ける形を想定。一斉開催なら1月〜2月の平日2日間と休日1日間の計3日間を想定(詳細は協議中) 公募要領
受験料 有償。金額は事業期間中に中小企業庁と協議して決めるとされ、未公表 公募要領
委託先 株式会社銀行研修社(事業期間は契約締結日から令和9年3月31日まで) 採択結果(2026年5月1日)

合格者の登録制度

試験とあわせて、合格者を登録する制度も運用される予定だ。資料では、倫理規程の遵守や定期的な講習の受講などを登録の要件とし、登録者はデータベースで氏名が公表されるとしている。違反があった場合は登録の取消し等が想定されている。登録を続けるための条件が付く点は、取得した時点で区切りがつく資格とは異なる。

合格しても独占業務ができるようになるわけではない

資料は、合格によって既存の業法にもとづく独占業務ができるようになるものではないと明記している。弁護士法第72条や税理士法第52条などの独占業務に触れないことが前提とされている。なお報道ではこの試験を「国家資格」と表現したものがあるが、一次資料にはその言葉は見当たらない。この記事では資料の表現に合わせ、「中小企業庁が運営主体の資格試験」と呼んでいる。

2026年10月17日時点で確認できなかったこと:受験料の金額、確定した試験日、申込ページ、正式な試験名称。受験を考えている人は、中小企業庁と委託先からの公表を待って確認したい。

業界団体の動き

業界側の動きとしては、2021年10月1日に設立された一般社団法人M&A支援機関協会(MAAA、旧M&A仲介協会、2025年1月1日に現名称へ改称)は、「倫理規程」「広告・営業規程」「コンプライアンス規程」「契約重要事項説明規程」の4つの自主規制ルールを2024年1月1日から順次施行した。人材育成の面では、きんざいのM&Aエキスパート認定制度を推奨しており、会員はM&Aシニアエキスパートの講座を会員特別価格で受けられる。協会独自の資格試験の名称・時期・受験料は、公式サイトでは確認できなかった。

代表的な民間資格の分類

M&A関連の民間資格・認定講座には複数の選択肢がある。代表的なものを比較すると以下のようになる。

資格・認定名 主な運営団体 重点領域 想定される受講者 受け方と費用(税込)
JMAA認定M&Aアドバイザー(CMA) 一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA) 中堅・中小規模M&Aの実務フロー全般 M&Aアドバイザーを目指す人、売り手・買い手企業の担当者 M&A実務スキル養成講座198,000円(修了試験料込)。約7時間の事前動画視聴と半日の教室研修。正会員になると入会金33,000円(講座修了2週間以内の入会は無料)、月額会費11,000円
金融業務3級・2級 事業承継・M&Aコース、M&Aシニアエキスパート 一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい) 金融実務としての事業承継・M&A知識(検定2段階と認定講座の3層構成) 金融機関職員、事業承継支援に関わる担当者 3級5,500円、2級7,700円。シニアエキスパートは講座132,000円と認定試験11,000円(詳しくは次の表)
事業承継士 一般社団法人事業承継協会(講座運営は事業承継センター株式会社) 後継者不在企業の事業承継支援 士業(税理士・中小企業診断士等)、コンサルタント 資格取得講座5日間330,000円(教材費等込)、認定試験9,900円
中小企業診断士(国家資格) 経済産業省・中小企業診断協会 経営全般のコンサルティング知識 経営支援を幅広く手がけたい人 国家試験(この記事では費用を扱わない)

基礎知識型の講座は比較的短期間で修了できるものが多く、実務プロセス重視型は長期の演習を伴う場合がある。どちらも法的な独占業務を伴わない点は共通しているが、想定する受講者層や学習内容には明確な違いがある。

JMAAのCMAは、講座の受講と修了試験の合格(または実務経験者の特別認定)を経て、理事会の審査で正会員になったときに付与される。事業承継士は、資格取得講座(全5日間、9時30分〜16時30分)を75%以上の出席率で修了し、事業承継協会の認定試験で60点以上を取ったうえで協会に入会する流れだ。

きんざいの3段階を費用と合格基準で比べる

きんざいの事業承継・M&A系の認定は、公式ページ(2026年10月4日確認、シニアエキスパートのWeb版は10月17日確認)で次のように案内されている。シニアエキスパートには、会場での3日間講座のほかに、Web講義とCBT方式の認定試験を組み合わせた受け方もある。

項目 3級 事業承継・M&Aコース 2級 事業承継・M&Aコース M&Aシニアエキスパート(会場講座) M&Aシニアエキスパート(Web講義+CBT)
認定名称 事業承継・M&Aベーシック 事業承継・M&Aエキスパート 金融財政事情研究会認定 M&Aシニアエキスパート 同左
受け方 CBT方式、通年実施、受験資格なし CBT方式、通年実施、受験資格なし 3日間の養成スクール(認定講座)を修了し、翌日の認定試験を受ける Web講義(利用期間13週間・91日間)をすべて視聴して修了し、CBT方式の認定試験を受ける
試験 100分、四答択一式50問 120分、四答択一式30問と総合問題10題 120分、四答択一式50題 120分、四答択一式50問
合格基準 100点満点で60点以上 100点満点で70点以上 公式ページに記載なし(問題・正解・得点は非開示) 100点満点で60点以上(Web版の案内による)
費用(税込) 受験手数料5,500円 受験手数料7,700円 講座132,000円(テキスト代込み)と認定試験11,000円 Web講義132,000円(MAAA会員等は92,400円または105,600円)とCBT試験11,000円

シニアエキスパートの講座を受けられるのは、2級合格者(事業承継・M&Aエキスパート)などの認定者のほか、弁護士・税理士・公認会計士・司法書士、法人営業経験5年以上で在籍中の銀行・信用金庫・証券会社などの職員、実務経験5年以上で在籍中の会計事務所等の職員、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などに限られる。3級の合格は受講資格にならない。一般価格で講座と試験を合わせると143,000円になる(当サイトの計算。団体会員などの特別価格は92,400円または105,600円)。直近では第103回(東京)が講座11月11日〜13日・試験11月14日、第104回(大阪)が講座11月18日〜20日・試験11月21日で、申込は第103回が10月23日、第104回が10月30日まで、定員は各50名だ。講座は日本M&Aセンターの成功事例を題材とし、講師は主に同社の所属者が務める。
3級と2級は試験終了後その場でスコアレポートが出て、合格者は翌日以降にマイページから認定証のPDFを出力できる。シニアエキスパートは、会場講座の場合は試験日から1か月半程度で結果と認定証が届き、Web版のCBT試験では終了後その場でスコアレポートが出る。いずれも、合格率と受験者数の公表は確認できなかった。
なおM&A支援機関登録制度の令和8年度の登録申請の最終締切は令和9年2月12日(金)18時で、登録支援機関には中小M&Aガイドライン第3版の遵守宣言が求められている。

他の資格・専門職との違い

M&A業務は複数の専門職と関わりが深い。それぞれの立場の違いを整理すると理解しやすい。

専門職・資格 資格の種別 M&Aにおける役割 M&A専門資格との関係
公認会計士 国家資格(業務独占) 財務デューデリジェンス、企業価値評価 M&A民間資格がなくても実務で高く評価される
税理士 国家資格(業務独占) 税務デューデリジェンス、組織再編スキームの税務検討 同上
弁護士 国家資格(業務独占) 契約書作成、法務デューデリジェンス 同上
中小企業診断士 国家資格(名称独占) 経営診断、事業承継の初期相談 M&A分野の実務知識を補う形で民間資格を追加取得する例あり
M&Aアドバイザー(民間資格保有者) 民間資格 相手先探索、条件交渉の仲介、プロジェクト全体の進行管理 他の士業資格を持たない場合、実績と資格の両方で専門性を補強する必要がある

公認会計士・税理士・弁護士は、それぞれの分野で法律上の独占業務を持つ点がM&A関連の民間資格と根本的に異なる。M&Aアドバイザーの民間資格は、こうした士業の専門領域を横断的につなぎ、案件全体を進行させる調整役としての知識を証明するものと理解するとわかりやすい。

資格の選び方・実践的なコツ

未経験からM&A業界を目指す場合は、まず基礎知識型の講座で財務・法務・M&Aプロセス全体の用語と流れを押さえ、その後に実務プロセス重視型の資格や社内OJTでスキルを深める順序が現実的である。すでに公認会計士・税理士・中小企業診断士などの資格を持つ人は、自分の専門領域と隣接するM&A知識を補強する目的で民間資格を追加取得すると、業務の幅を広げやすい。

中小企業のM&A仲介市場が拡大する中、地域金融機関出身者が資格取得を経てアドバイザーへ転身する例も見られる。地方の後継者不在問題と結びついた需要が背景にあるため、地域金融や事業承継支援に関心がある場合は、事業承継関連の資格・検定を優先的に検討する価値がある。

中小企業庁の資格試験を視野に入れる人も、想定科目は民間資格や検定の学習範囲と重なるため、要項を待つあいだに基礎を固めておけば無駄にならない。

仲介会社によって扱う案件規模や業種が異なるため、資格取得と並行して、自分が携わりたい取引の規模感(中小企業か中堅・大企業か)や業種を絞り込んでおくと、転職活動やキャリア選択がスムーズになる。

よくある質問

Q1. M&Aアドバイザーと一般的なコンサルタントは何が違いますか。

一般的な経営コンサルタントが業績改善や事業戦略の立案など幅広い課題を扱うのに対し、M&Aアドバイザーは合併・買収という取引の成立自体を目的として、相手先探索から契約締結までの一連のプロセスを主導する点が異なる。取引の成立に応じた成功報酬型の収益モデルを採る事業者が多いことも特徴の一つである。

Q2. M&Aアドバイザーになるために必須の資格はありますか。

現時点で法律上必須となる資格はない。中小企業庁が運営主体となる資格試験が令和8年度に初回を迎える予定だが、これも合格が独占業務につながるものではないとされている。実務では財務・法務の知識が欠かせないため、公認会計士・税理士などの国家資格や、M&A関連の民間資格を保有していると信頼を得やすい。

Q3. 未経験からでもM&Aアドバイザーになれますか。

未経験からの転職事例は少なくない。金融機関出身者やコンサルタント出身者が、M&A関連の民間資格取得を通じて専門用語や取引プロセスへの理解を示し、選考でのアピール材料にするケースが一般的である。

Q4. JMAA認定M&Aアドバイザー(CMA)はどんな資格ですか。

2010年に設立された一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)が認定する民間資格で、「M&A実務スキル養成講座」を受講して修了試験に合格し(実務経験者は特別認定の道もある)、規定の入会資格を満たして理事会の審査を経て正会員として入会が認められると、資格が付与される。講座は198,000円(税込、修了試験料込)で、正会員には入会金と月額会費11,000円(税込)がかかる。売り手・買い手企業の担当者が学ぶ目的で受講する場合もある。

Q5. 資格取得にはどのくらいの費用がかかりますか。

講座や検定によって費用は大きく異なる。きんざいの検定は3級5,500円、2級7,700円(税込)で受けられる一方、M&Aシニアエキスパートは講座と認定試験の一般価格の合計が143,000円になる。JMAAのCMAは養成講座198,000円、事業承継士は講座330,000円と認定試験9,900円(いずれも税込)で、講座を伴う資格は十数万円から30万円台になる。中小企業庁の資格試験は有償とされているが金額は未公表だ。正確な費用は各運営団体の公式サイトで最新の情報を確認する必要がある。

Q6. 資格と実務経験ではどちらが重視されますか。

業界では成約実績やディールの規模が評価の中心になりやすく、資格単体で採用が決まることは少ない。資格は知識の土台を示す材料、実績は実務遂行力を示す材料として、両方を組み合わせて評価される傾向がある。

Q7. 中小企業診断士とM&Aアドバイザー資格はどちらを取るべきですか。

中小企業診断士は経営全般を扱う国家資格で、M&A以外の経営コンサルティング業務にも広く通用する。M&A分野に特化したいだけであれば民間資格の方が学習範囲が絞られており取り組みやすいが、経営支援全体でキャリアを築きたい場合は中小企業診断士の方が汎用性が高い。

Q8. M&A支援機関登録制度とは何ですか。

中小企業庁が運営する制度で、中小M&Aガイドラインの遵守などを条件に、M&A支援を行う事業者(仲介会社・FA等)を登録・公表するものである。個人が取得する資格ではなく、事業者単位の登録制度である点に注意したい。毎年度の登録継続申請が必要で、報告に虚偽があれば登録が取り消される。登録支援機関のデータベースは、2026年10月17日の閲覧時点で3,362件の表示だった。

Q9. 資格取得だけで転職に有利になりますか。

資格取得のみで有利になるとは限らない。財務諸表の読解力や、業界セミナー・勉強会を通じた実務家とのつながりなど、資格以外の準備を並行して進めることが選考では重視されやすい。

Q10. どの資格が最も知名度が高いですか。

知名度は運営団体の規模や活動年数によって異なり、業界内での評価も一様ではない。手がかりの一つとして、業界団体のM&A支援機関協会(MAAA)は人材育成の面できんざいの認定制度を推奨している。とはいえ特定の資格を安易に序列化せず、自分が学びたい領域(基礎知識か実務プロセスか)に合わせて選ぶことが望ましい。

Q11. 金融機関出身者がM&A業界に転身する際、資格は役立ちますか。

地域金融機関出身者が事業承継・M&A関連の検定や講座を経てアドバイザーへ転身する例が見られる。金融機関での融資審査や企業分析の経験と資格で得た体系的知識を組み合わせることで、専門性を示しやすくなる。

Q12. M&A仲介会社とフィナンシャルアドバイザー(FA)は資格面で違いがありますか。

仲介会社は売り手・買い手の間に立って双方に助言する形態、FAは売り手または買い手いずれか一方の代理人として助言する形態が一般的とされる。どちらの形態でも法律上必須の資格に違いはなく、担う役割や利益相反への向き合い方が異なる点が主な違いである。

Q13. 資格の有効期限や更新はありますか。

民間資格には国家資格の登録制度のような厳格な更新義務を伴わないものが多いが、会員であることが資格の前提になる場合もある。JMAAのCMAは正会員になることで付与され、事業承継士も協会への入会が条件だ。中小企業庁の資格試験では、合格者の登録に倫理規程の遵守や定期的な講習の受講が要件として想定されている。取得を検討する際は、更新の要否や会費の有無を運営団体の公式情報で確認しておくとよい。

Q14. 国の資格試験が始まったら民間資格は意味がなくなりますか。

そうとは言い切れない。国の試験はまだ初回前で、受験料や試験日も公表されていない。講座型の民間資格には事例を題材にした研修もあり、試験とは別の学びがある。想定される4科目は民間資格の学習範囲と重なるので、そこで得た知識は国の試験の準備にも生かせる。

Q15. 中小企業庁の資格試験に合格すれば、法律や税務の相談も受けられますか。

受けられない。資料は合格が独占業務の実施を可能にするものではないとしており、法律事務や税務代理が必要な場面では弁護士や税理士と連携することになる。

Q16. 中小企業庁の資格試験はいつ、いくらで受けられますか。

2026年10月17日時点で、確定した試験日と受験料は公表されていない。公募要領には一斉開催なら1月〜2月の3日間という想定があるものの、詳細は協議中とされ、受験料も有償とあるだけで金額は出ていない。申込ページも確認できていないため、公表を待って確かめたい。

まとめ

M&Aアドバイザーには現時点で法律上必須の資格は存在せず、民間資格や認定講座が知識を体系化する役割を担っている。資格の系統は基礎知識型と実務プロセス型に大別され、公認会計士・税理士・弁護士といった隣接国家資格とは性質が異なる。令和8年度には中小企業庁が運営主体の資格試験と合格者の登録制度が始まる予定だが、受験料や日程は未確定で、合格しても独占業務ができるようになるわけではない。転職や独立を目指す場合は、資格取得と並行して財務諸表の読解力や業界ネットワークづくりなど、実務に直結するスキルを磨くことが求められる。

この記事の資格情報は、日本M&Aアドバイザー協会の「JMAA認定M&Aアドバイザー(CMA)資格取得までの流れ」(https://www.jma-a.org/adviser/flow)、金融財政事情研究会の「金融業務2級 事業承継・M&Aコース」(https://www.kinzai.or.jp/kentei/2e3.html)、中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」「M&A支援機関登録制度」の案内を2026年9月26日に確認して整理しました。きんざいの3級・2級検定とM&Aシニアエキスパート養成スクール・認定試験の費用・試験形式・合格基準は、2026年10月4日に各公式ページで改めて確認しました。2026年10月17日には次を確認しました。中小企業庁財務課「中小M&A市場の改革に向けた方向性について」(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/ma_shijou/004/002.pdf)、中小M&A資格試験の実施事業の公募要領(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/itaku/kobo/2026/dl/260327001.pdf)と採択結果(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/itaku/saitaku/2026/260501001.html)、M&A支援機関登録制度(https://ma-shienkikan.go.jp/)の登録件数・登録継続申請・申請締切、日本M&Aアドバイザー協会(https://www.jma-a.org/)の講座費用・入会金・会費、事業承継協会の事業承継士の案内(https://www.jigyousyoukei.co.jp/shoukeishi/)、きんざいのM&Aシニアエキスパート Web講義・CBT試験の案内(https://www.kinzai.or.jp/seminar/detail/masenior_web)とセミナー一覧の第103回・第104回の日程、M&A支援機関協会(https://maa-a.or.jp/)の自主規制ルール(https://maa-a.or.jp/rule/)と人材育成の案内(https://maa-a.or.jp/support/)。各資格の合格率は公式で確認できませんでした。受験前に必ず各団体の公式サイトで最新情報をご確認ください。

未経験からM&A業界への転職を考える場合は、M&A BEGINNERSのように同業界への転職支援に特化したエージェントに相談する方法もあります。

※本項には広告リンクを含みます

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