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貸金業務取扱主任者とは?設置義務と3年ごとの登録更新

貸金業務取扱主任者は、貸金業を営む会社に設置が義務づけられている国家資格です。消費者金融や信販会社、クレジットカード会社、銀行のカードローン部門など、貸付けを扱う事業所で必要とされます。設置義務があるため求人が生まれやすい一方、登録後は3年ごとの更新が必要という、維持の手間がある資格でもあります。この記事では、日本貸金業協会が公開している情報をもとに、資格の位置づけと登録・更新の仕組みを整理します。

貸金業務取扱主任者とはどんな資格か

貸金業法にもとづく国家資格で、貸金業者は営業所または事務所ごとに、法令で定める人数の主任者を置かなければならないとされています。主任者の役割は、その営業所の従業者が法令を遵守して業務を行えるよう、助言・指導することです。

貸付けの業務は、金利や取立ての方法など、法律による規制が細かく定められた分野です。規制を理解している人が各営業所にいる状態を制度として担保するための仕組みが、この資格の設置義務にあたります。

この構造は、宅建業者に専任の宅地建物取引士の設置義務があるのと同じ考え方です。会社側が有資格者を確保しなければ営業所を開けないため、資格を持つ人の需要が法律によって生まれます。資格が効く仕組みの整理はその資格は仕事にどう効くのか?業務独占・必置・名称独占で12資格を比較にまとめました。

この資格ができた背景

貸金業務取扱主任者が国家資格になったのは、2006年の貸金業法改正によるものです。それ以前は業界団体が認定する資格でしたが、法改正によって国家資格として位置づけられ、営業所への設置が義務づけられました。

この改正は、多重債務問題への対応として行われた大きな制度変更の一部です。主な内容には次のようなものがありました。

  • 上限金利の引き下げ。いわゆるグレーゾーン金利が解消された
  • 総量規制の導入。個人向けの貸付けについて、借入残高が年収の3分の1を超える貸付けが原則として禁止された
  • 貸金業務取扱主任者の国家資格化と、営業所への設置義務

規制を理解している人を各営業所に必ず置くという仕組みは、この一連の改正の中で生まれたものです。試験で法令の理解が重点的に問われるのは、資格そのものが法令遵守を担保するために作られたからだと考えると、学習の位置づけも見えてきます。

どんな会社で必要とされるか

  • 消費者金融会社
  • 事業者向けの貸付けを行う会社
  • 信販会社、クレジットカード会社(キャッシング業務を扱う場合)
  • リース会社の一部
  • 不動産担保ローンを扱う会社

銀行本体の融資業務は貸金業法の対象外ですが、グループ会社が貸金業登録をしているケースもあります。金融業界の中でも、貸付けに関わる業態で必要になる資格だと考えてください。

試験の概要

項目 内容
実施団体 日本貸金業協会
実施回数 年1回(例年11月)。令和3〜7年度の5回はいずれも11月の日曜日に実施され、令和8年度は11月15日(日)の予定
出題分野 法及び関係法令、貸付け及び貸付けに付随する取引、資金需要者等の保護、財務及び会計
受験の要件 特別な資格要件は設けられていない

年1回の実施であるため、落ちれば次は1年後になります。出題の中心は貸金業法とその関係法令で、利息制限法や出資法、個人情報保護に関する規制まで幅広く問われます。法令の理解が得点の大半を占める試験なので、条文と数字を正確に押さえる学習が中心になります。

試験の結果と令和8年度の実施内容(2026年10月確認)

日本貸金業協会が公表している直近5回の試験結果です。申込者数は協会の「受験申込者数」、合格率は協会の公表値をそのまま載せています。

回(年度) 試験日 申込者 受験者 合格者 合格率 合格基準
第16回(令和3年度) 令和3年11月21日 11,926人 10,491人 3,373人 32.2% 50問中31問正解
第17回(令和4年度) 令和4年11月20日 11,536人 9,950人 2,644人 26.6% 50問中28問正解
第18回(令和5年度) 令和5年11月19日 10,963人 9,448人 2,928人 31.0% 50問中31問正解
第19回(令和6年度) 令和6年11月17日 10,662人 9,250人 2,998人 32.4% 50問中30問正解
第20回(令和7年度) 令和7年11月16日 11,371人 9,878人 3,208人 32.5% 50問中31問正解

5回の合格率は26.6%〜32.5%の範囲で、受験者のおよそ3割が合格しています。合格基準は50問中28問〜31問と回ごとに動いており、正答率にすると56%〜62%です(当サイト計算)。31問を安定して取れる力を目標に置くと、基準が上がった回でも対応しやすくなります。

第20回の科目別平均正答率は、法及び関係法令(27問)が54.1%、貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務(15問)が46.5%、資金需要者等の保護(5問)が62.1%、財務及び会計(3問)が54.1%で、全科目では52.6%でした。出題数の多い2分野で平均が5割前後にとどまっており、特に貸付け実務の分野は平均が5割を切っています。

同じ回の合格者の平均年齢は37.7歳です。年齢別の構成比は20歳代以下34.1%、30歳代27.7%、40歳代21.1%、50歳代13.7%、60歳代以上3.4%で、年齢別の合格率は順に35.3%、33.5%、28.3%、29.4%、46.0%でした。令和7年度は17試験地の21会場で行われ、合格発表は令和8年1月9日です。

令和8年度の実施内容は、協会の試験実施要領で次のように示されています。

項目 令和8年度の内容
受験申込受付期間 令和8年7月1日(水)〜9月10日(木)。2026年10月10日時点で受付は終了
試験日・時間 令和8年11月15日(日)。集合12:15、試験時間13:00〜15:00(2時間)
出題形式 50問、4肢択一のマークシート方式
出題の基準となる法令 令和8年4月1日において施行されている法令等
受験手数料 1回8,500円(消費税額なし)。納付後は理由を問わず返還されず、次回試験への充当もできない
受験資格 学歴・年齢・性別・国籍等の制限はなく、誰でも受験できる
当日の本人確認 写真付き公的証明書の原本(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、在留カード・特別永住者証明書、身体障害者手帳)
合格発表日 令和9年1月12日(火)。協会ホームページへの受験番号の掲載等で行い、個人への結果通知は発送されない

令和8年度の合格基準点と合格率は、試験前のため公表されていません。申込を締め切った後に受験を決めた場合は、次の年度の実施要領が出るのを待つことになります。試験中の途中退出はできないため、2時間を通して解き切る演習もしておくと当日に慌てません。

合格後の費用と期限も、数字で押さえておくと計画が立てやすくなります。主任者登録の登録手数料は3,150円(非課税)で、ほかに申請書類の取得費用や振込費用が別にかかります。登録の有効期間は登録日から3年で、更新の申請は有効期限の6か月前から2か月前(団体申請は3か月前)までに受け付けられます。令和8年度の登録講習の受講料は16,230円(消費税込み)で、eラーニングと会場講習(全国10地区で計13回の予定)が並行して開かれます。eラーニングは選んだ月の1日から末日までに修了しないと欠席の扱いになります。なお、登録を受けるかどうかは個人の任意で、登録しなくても試験合格の資格は失効しません。

合格後の登録と3年ごとの更新

この資格で最も注意したいのが、合格後の手続きです。試験に合格しただけでは主任者として業務に就けず、登録を受ける必要があります。さらに、登録は3年ごとに更新しなければなりません。

手続き 内容
登録 試験に合格したうえで登録を受ける
登録講習 登録の更新には登録講習の修了が必要。講習は申請日前6か月以内に修了しておく(合格日から1年以内に登録を受ける場合は講習が免除されるが、この期限は登録の完了日で判断される。申請の受理から登録完了まで通常2か月かかるため、実務上は合格日から10か月、団体申請は9か月を超えて申請する場合に講習が必要)
更新の周期 3年ごと
3年ごとの更新は、資格の中では短い部類です。宅建士の宅地建物取引士証が5年、中小企業診断士が5年であることと比べても頻度が高くなります。更新を忘れれば主任者として業務を行えなくなるため、登録した時点で次の期限を記録しておいてください。講習を申請日前6か月以内に修了しておく必要がある点も、直前に慌てないよう逆算が必要です。

取得後の維持という観点で他の資格と比較した結果は取ったあと手間がかかる資格はどれ?更新・維持の負担で12資格を比較にまとめています。設置義務のある資格ほど知識の更新を制度が求める、という傾向がここでも当てはまります。

学習の進め方

  1. 貸金業法から入る。この試験の中心であり、出題の比重も大きい
  2. 利息制限法・出資法の上限金利など、数字がそのまま問われる部分を集中して覚える
  3. 民法の中でも、保証や債権譲渡など貸付けに関係する範囲を押さえる
  4. 財務・会計は範囲が限られるため、頻出項目に絞って対応する
  5. 過去問を繰り返す。法令中心の試験は出題の傾向が安定しており、演習の効果が出やすい

法改正が反映されるため、教材は最新年度のものを使ってください。貸金業を取り巻く規制は過去に大きく変わった経緯があり、古い教材では現行と異なる内容を覚えてしまう危険があります。

実務で問われる規制の中身

試験勉強で覚える内容は、そのまま実務の判断基準になります。中でも現場で頻繁に関わるのが次の点です。

規制 実務での意味
総量規制 個人向けの貸付けは、借入残高が年収の3分の1を超えるものが原則として禁止される。年収を確認する書類の取得が必要になる場面がある
上限金利 利息制限法と出資法の上限を超える金利設定はできない。契約書の作成時に確認する
取立て行為の規制 時間帯や方法について禁止事項が定められている。督促の実務に直結する
書面の交付 契約時と受取時に、法定の記載事項を満たした書面を交付する義務がある

主任者の役割は、こうした規制を営業所の従業者が守れるよう助言・指導することです。知識を自分が使うためだけでなく、周囲に説明できる状態にしておくことが、この資格に求められている水準になります。

他の金融系資格との違い

証券外務員は金融商品の販売・勧誘に関する資格で、所属会社を通じた登録が前提でした。貸金業務取扱主任者は貸付けの業務に関する資格で、営業所への設置義務がある点が異なります。どちらも「会社に所属していることが前提」という点は共通しますが、規制する法律も担う役割も別のものです。

金融系の資格全体の位置づけは宅建以外にもある金融系資格まとめで整理しています。顧客の資産形成の相談まで扱いたい場合はFP、企業の財務を読む力を示すなら簿記2級が組み合わせの候補になります。

よくある質問

受験に資格要件はありますか。

特別な資格要件は設けられていません。申し込みの前に、日本貸金業協会の試験実施要領で最新の内容を確認してください。

試験は年に何回ありますか。

年1回、例年11月に実施されます。令和3〜7年度はいずれも11月の日曜日に行われ、令和8年度は11月15日(日)の予定です。年1回のため、受験を決めたら申込期間を先に確認してください。

合格すればすぐ主任者になれますか。

なれません。合格したうえで登録を受ける必要があります。登録を受けて初めて、営業所の主任者として選任されます。

登録の更新はどのくらいの頻度ですか。

3年ごとです。更新には登録講習の修了が必要で、講習は申請日前6か月以内に修了しておく必要があります(合格日から1年以内に登録を受ける場合は講習が免除されますが、この期限は登録の完了日で判断されます。申請から登録完了まで通常2か月かかるため、実務上は合格日から10か月、団体申請は9か月を超えて申請する場合に講習が必要です)。

更新を忘れるとどうなりますか。

登録が失効すれば主任者として業務を行えなくなります。3年は資格の更新周期としては短い部類なので、登録した時点で次の期限を記録しておくことをおすすめします。

銀行で働く場合も必要ですか。

銀行本体の融資業務は貸金業法の対象外です。ただしグループ会社が貸金業登録をしている場合など、業態によっては必要になります。応募先の事業内容を確認してください。

なぜ国家資格になったのですか。

2006年の貸金業法改正によるものです。多重債務問題への対応として、上限金利の引き下げや総量規制の導入とあわせて、規制を理解している人を各営業所に置く仕組みが作られました。それ以前は業界団体が認定する資格でした。

証券外務員とどちらを取るべきですか。

目指す業態によります。金融商品の販売・勧誘に関わるなら証券外務員、貸付けの業務に関わるなら貸金業務取扱主任者です。規制する法律も担う役割も別のものなので、就職先の事業内容から逆算して選んでください。

まとめ

貸金業務取扱主任者は、貸金業法にもとづき営業所ごとの設置が義務づけられた国家資格です。会社側に有資格者を確保する必要があるため、貸付けを扱う業態では需要が構造的に生まれます。試験は年1回で、出題の中心は貸金業法とその関係法令です。

注意点は合格後にあります。登録が必要で、しかも3年ごとの更新が求められます。更新には登録講習の修了が前提で、講習は申請日前6か月以内に受けておく必要があります。取得して終わりではなく、実務を続ける限り期限の管理が伴う資格だと理解して臨んでください。

この記事の制度に関する内容は、日本貸金業協会が公開している資格試験および登録・講習の案内をもとに2026年9月に整理したものです。試験日程や登録の要件は変更される場合があるため、受験や登録の前に必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。

この記事の集計方針や出典の扱いについては、運営者情報ページにまとめています。

出典

  • 日本貸金業協会「試験の結果について」https://www.j-fsa.or.jp/chief/qualifying_exam/result.php(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「第16回(令和3年度)試験結果」https://www.j-fsa.or.jp/chief/qualifying_exam/exam_result/16th/announce1.php(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「第17回(令和4年度)試験結果」https://www.j-fsa.or.jp/chief/qualifying_exam/exam_result/17th/(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「第18回(令和5年度)試験結果」https://www.j-fsa.or.jp/chief/qualifying_exam/exam_result/18th/(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「第19回(令和6年度)試験結果」https://www.j-fsa.or.jp/chief/qualifying_exam/exam_result/19th/(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「第20回(令和7年度)試験結果」https://www.j-fsa.or.jp/chief/qualifying_exam/exam_result/20th/(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「令和8年度試験実施要領」https://www.j-fsa.or.jp/chief/qualifying_exam/imp_guidance.php(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「令和8年度試験実施要領(PDF)」https://www.j-fsa.or.jp/chief/webbook/qualifying_exam/data/131/src/p01.pdf 〜 p03.pdf(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「資格試験Q&A」https://www.j-fsa.or.jp/chief/faq/qualifying_exam.php(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「主任者登録の概要」https://www.j-fsa.or.jp/chief/chief_regist/outline.php(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「主任者登録の更新」https://www.j-fsa.or.jp/chief/chief_regist/renew.php(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「主任者登録Q&A」https://www.j-fsa.or.jp/chief/faq/chief_regist.php(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「登録講習の概要」https://www.j-fsa.or.jp/chief/training/outline/(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「登録講習Q&A」https://www.j-fsa.or.jp/chief/faq/training.php(2026年10月10日確認)
  • 日本貸金業協会「eラーニング講習個人申込」https://www.j-fsa.or.jp/chief/training/application/personal_elearning.php(2026年10月10日確認)

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