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登録販売者とは?試験の中身と合格後に必要な実務経験まで解説

ドラッグストアやコンビニで医薬品を売る仕事に直結する資格として、登録販売者は毎年5万人以上が受験しています。受験資格に実務経験も学歴も必要なく、都道府県ごとに試験が実施されるため、社会人が働きながら挑戦しやすい国家資格のひとつです。一方で、合格した翌日から一人で売り場に立てるわけではなく、実務経験の要件が別に定められている点は見落とされがちです。この記事では、試験の中身から合格後の手続き、店舗管理者になるための条件までを、公的な資料で確認できる範囲で整理しました。

登録販売者とはどんな資格か

登録販売者は、一般用医薬品のうち第2類医薬品と第3類医薬品を販売できる専門資格です。市販薬の大半はこの区分に含まれるため、薬剤師がいない店舗でも、登録販売者がいれば風邪薬や鎮痛薬、胃腸薬といった多くの医薬品を扱えます。ドラッグストアだけでなく、コンビニエンスストア、ホームセンター、家電量販店、スーパーマーケットなど、医薬品を扱う小売業全般に活躍の場があります。

区分 薬剤師 登録販売者
要指導医薬品 販売できる 販売できない
第1類医薬品 販売できる 販売できない
第2類医薬品 販売できる 販売できる
第3類医薬品 販売できる 販売できる
調剤(処方箋に基づく薬の調製) できる できない
資格の種類 国家資格(6年制の薬学部卒業が前提) 都道府県知事が実施する試験に合格して登録

薬剤師との一番の違いは、調剤ができないことと、第1類医薬品を扱えないことです。逆に言えば、市販薬の販売という範囲に限れば、登録販売者が担える業務は広く、店舗にとって欠かせない存在になります。

受験資格は必要か

2015年度の試験から、学歴も実務経験も問われなくなりました。年齢制限もないため、高校生でも社会人でも受験できます。この点は、受験の段階で実務経験や指定の学校卒業が求められる医療系の資格と大きく違うところです。

受験資格と、合格後に店舗管理者になるための要件は別の話です。試験は誰でも受けられますが、後述するとおり、店舗の管理を任される立場になるには実務経験が必要になります。この2つを混同したまま「合格すればすぐ責任者になれる」と考えると、就職後に想定とずれます。

試験の中身と合格基準

試験は都道府県ごとに実施されますが、出題は厚生労働省が公表している「試験問題の作成に関する手引き」に基づいており、全国共通で5章・120問の構成です。

章 内容 出題数
第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識 20問
第2章 人体の働きと医薬品 20問
第3章 主な医薬品とその作用 40問
第4章 薬事関係法規・制度 20問
第5章 医薬品の適正使用・安全対策 20問

合格するには、総出題数の7割以上の正答に加えて、各章でも一定割合(3割5分以上、都道府県によっては4割以上)の正答が必要です。総得点が足りていても、1つの章が基準に届かなければ不合格になります。得意な章で稼いで苦手な章を捨てる、という戦い方ができない試験です。

出題形式はすべてマークシートの選択式で、記述や実技はありません。試験時間は午前・午後に分けて実施されるのが一般的です。

合格率と難易度

厚生労働省が公表している実施状況によると、令和7年度の登録販売者試験は全国で58,996人が受験し、24,004人が合格、合格率は40.7%でした。前年度にあたる令和6年度(46.7%)から6.0ポイント低下しており、直近数年のなかでも低めの水準です。合格率はおおむね4割前後で推移する試験で、難関資格というほどではありませんが、無対策で通る試験でもありません。

特徴的なのは、都道府県によって合格率に大きな差があることです。令和7年度は最も高い北海道で54.8%、最も低い沖縄県で23.2%となり、30ポイント以上の開きがありました。試験問題はブロック単位で作成されるため、地域によって出題の傾向や難易度に差が出ることが背景にあります。

なお、令和7年度に合格率が全国的に下がった理由について、厚生労働省が公式に説明を出しているわけではありません。2025年4月に「試験問題の作成に関する手引き」の一部改定があったため、改定内容に対応しきれていない教材で学習した受験者が影響を受けた可能性を指摘する資格情報サイトもありますが、これは民間の考察であり、確定した原因ではない点には注意してください。最新の合格率や出題の傾向は、受験予定の都道府県または厚生労働省の公式発表で確認することをおすすめします。

直近3年度の推移

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和5年度(2023年度) 52,214人 22,814人 43.7%
令和6年度(2024年度) 54,526人 25,459人 46.7%
令和7年度(2025年度) 58,996人 24,004人 40.7%

令和5年度と令和6年度の数字は、薬事日報が各都道府県などの公表値を集計して報じた内容(令和6年度は受験者54,526人・合格者25,459人、前年度比で受験者+2,312人・合格者+2,645人)から、令和5年度を逆算して表にしました。令和7年度は上で述べた厚生労働省の公表値です。3年度を並べると、受験者数は増え続けている一方で、合格者数は令和6年度の25,459人から令和7年度は24,004人へ約1,450人減りました。受験者が約4,500人増えたのに合格者が減ったことで、合格率が6.0ポイント下がった形です。年度間の比較は都道府県ごとの集計方法の違いで多少の誤差が出る可能性があるため、傾向をつかむ目安として読んでください。

合格率の高い地域を狙って受験することは制度上可能ですが、移動と宿泊の費用、日程調整の負担が発生します。合格率の差は年度によって入れ替わるため、前年の数字だけを見て遠方を選ぶのは合理的とは言えません。まずは居住地または近隣のブロックで確実に仕上げるほうが現実的です。

学習時間の目安と勉強の進め方

学習時間の目安は250〜400時間程度とされることが多く、1日1〜2時間の学習なら半年前後が一つの目安になります。難しさの中心は理解より暗記量で、特に配点が最も大きい第3章は、成分名とその作用、副作用を大量に覚える必要があります。

学習の順番としては、次のような進め方がよく紹介されています。

  1. 第1章と第4章のように、比較的短時間で得点源にしやすい章から着手して、学習のリズムを作る
  2. 第2章で人体の仕組みを押さえ、第3章の成分がどこに効くのかを理解できる土台を作る
  3. 最大の山である第3章に時間を厚く配分し、系統ごとに繰り返す
  4. 第5章は第3章と関連が深いため、第3章と行き来しながら仕上げる
  5. 過去問を受験予定のブロックのものを中心に解き、各章が基準点に届いているかを確認する

各章に基準点がある試験なので、模擬的に解いたときは総得点だけでなく、必ず章ごとの正答率を出してください。総得点7割を超えていても、どこか1章が3割台なら、そのままでは不合格になります。

合格後にやること(販売従事登録)

試験に合格しただけでは、登録販売者として医薬品を販売することはできません。実際に医薬品の販売に従事するには、勤務先の店舗がある都道府県に対して「販売従事登録」の申請を行い、登録を受ける必要があります。申請には合格通知書のほか、戸籍抄本などの書類が求められます。

試験の合格そのものに有効期限はありませんが、販売従事登録は勤務先の所在地の都道府県で行う手続きです。合格した都道府県と勤務先の都道府県が違っていても問題ありません。

店舗管理者になるための実務経験の要件

登録販売者として働き始めた後、店舗の管理を任される「店舗管理者」になるには、実務経験の要件を満たす必要があります。ここが登録販売者制度で最も分かりにくく、就職前に確認しておきたい部分です。

ルート 必要な実務・従事期間 追加の研修
従来からの要件 過去5年以内に通算2年以上かつ1,920時間以上 不要(受講は望ましいとされる)
令和5年の見直しで追加されたルート 過去5年間のうち通算1年以上 継続的研修に加えて、法令遵守と店舗管理に関する追加的研修(6時間以上)の修了が必要

もともとは「過去5年以内に通算2年以上かつ1,920時間以上」の従事経験が必要でしたが、厚生労働省の通知により、通算1年以上の従事期間があり、継続的な研修と追加的な研修を修了した登録販売者も店舗管理者になれるよう見直されました。1,920時間という数字は、月160時間の勤務を12ヶ月続けた場合に相当します。

この要件を満たすまでの期間は、多くの店舗で「研修中」の登録販売者として扱われ、一人で医薬品の販売を担当することはできません。求人票に書かれた資格手当や時給が、研修中の期間にも同じ条件で適用されるとは限らないため、応募前に確認してください。要件の細かい運用は都道府県ごとの判断もあるため、勤務先の都道府県の薬務課に問い合わせるのが確実です。

働く場所と資格の使い道

登録販売者の勤務先はドラッグストアが中心ですが、医薬品を扱う店舗であれば業種を問いません。コンビニエンスストアやホームセンター、家電量販店、スーパーマーケット、調剤薬局の物販部門などにも需要があります。深夜帯や早朝帯に医薬品を販売する店舗では、有資格者の確保そのものが課題になっているため、勤務時間帯によっては条件面で交渉の余地が生まれることもあります。

店舗での販売以外にも、医薬品を扱う企業の本部や、教育・研修を担う立場に進む道もあります。資格を取ること自体より、取った後にどの店舗形態で経験を積むかで、その後の選択肢が変わる資格だと考えておくとよいでしょう。

関連する資格との違い

資格 扱う領域 受験資格 学習時間の目安
登録販売者 一般用医薬品(第2類・第3類)の販売 不問 250〜400時間程度
調剤薬局事務系の資格 処方箋の受付、レセプト業務 不問(民間資格) 50〜100時間程度
医療事務系の資格 医療機関の受付・会計・レセプト 不問(民間資格) 100〜200時間程度

調剤薬局事務や医療事務は民間資格で、学習時間も短めですが、医薬品そのものを販売する権限はありません。医薬品を扱う立場になりたいなら登録販売者、事務職として医療・調剤の現場に入りたいなら事務系資格、という住み分けになります。調剤薬局事務資格の概要、民間資格を比較してどれを選ぶかや医療事務資格の取得方法と仕事内容もあわせて検討してみてください。

独学と講座、どちらで進めるか

試験がすべて選択式で、出題の土台になる「試験問題の作成に関する手引き」が公開されているため、市販教材の内容も統一感があり、独学でも進めやすい試験です。実際、独学しやすい人気資格はどれ?資格倉庫オリジナル指数で12資格を比較でも、試験形式のシンプルさは満点の評価になっています。

一方で、暗記量の多さから、途中で手が止まりやすい資格でもあります。半年近く一人で覚え続ける自信がない場合や、章ごとの進度管理を任せたい場合は、通信講座を使うほうが完走しやすくなります。講座を選ぶ際の観点は資格取得のための通信講座の選び方にまとめています。

よくある質問

実務経験がなくても受験できますか。

できます。2015年度の試験から、学歴・実務経験ともに受験の要件ではなくなりました。ただし、合格後に店舗管理者になるには実務経験の要件があります。

試験は年に何回ありますか。

各都道府県で年1回実施されます。ただし試験日は都道府県ごとに異なるため、日程が重ならなければ、居住地以外の都道府県でも受験できます。年に複数回挑戦したい場合は、この仕組みを使う人もいます。受験機会の考え方は働きながら最短で取れる資格はどれ?受験機会と結果発表の早さで12資格を比較でも扱っています。

合格に有効期限はありますか。

試験の合格そのものに有効期限はありません。ただし、医薬品の販売に従事するには、勤務先の都道府県で販売従事登録を受ける必要があります。

どの章が一番難しいですか。

出題数が40問と最も多い第3章が、学習量の面でも最大の山とされています。成分名と作用を覚える範囲が広く、ここに学習時間の多くを充てる人が一般的です。

合格率が低い都道府県で受けると不利ですか。

試験問題はブロック単位で作成されるため、年度や地域によって難易度に差が出ることはあります。ただし合格率の順位は年度ごとに入れ替わるため、前年の数字だけで受験地を決めるのは現実的とは言えません。

資格を取れば必ず時給が上がりますか。

資格手当の有無や金額は店舗・企業ごとに異なります。また、実務経験の要件を満たすまでの期間は研修中の扱いとなることが多く、条件が変わる場合があります。求人に応募する段階で、研修中と要件充足後のそれぞれの条件を確認してください。

働きながらでも合格できますか。

学習時間の目安は250〜400時間程度で、1日1〜2時間を半年続ければ届く範囲です。試験が年1回のため、受験する都道府県の試験日から逆算して学習を始める時期を決めるとよいでしょう。

まとめ

登録販売者は、受験資格が問われず、試験もすべて選択式という取り組みやすさがある一方、暗記量が多く、各章に基準点があるため苦手を作れない試験です。令和7年度の全国の合格率は40.7%で、4割程度が合格しています。

そして最も重要なのは、合格と、店舗を管理できる立場になることは別だという点です。店舗管理者になるには過去5年以内に通算2年以上かつ1,920時間以上の従事経験、または通算1年以上の従事経験に加えて所定の研修の修了が必要になります。就職や転職の計画を立てるときは、合格までの学習期間だけでなく、その後の実務期間まで含めて見通しを立ててください。

この記事の制度に関する内容は、厚生労働省が公表している登録販売者制度の取扱いに関する通知および試験の実施状況をもとに2026年9月に確認したものです。令和5・6年度の受験者数・合格者数は薬事日報「【24年度登録販売者試験】合格率46.7%に上昇~受験者数は2300人増」(2025年2月5日)を、令和7年度の数字は厚生労働省の公表値を、2026年10月2日に照合しています。研修の要件や運用は都道府県によって細部が異なる場合があるため、実際の手続きの際は勤務先の都道府県の担当窓口で確認してください。

この記事の集計方針や出典の扱いについては、運営者情報ページにまとめています。

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