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宅建士の登録実務講習とは?受講が必要な人と講座選びのポイント

宅建士(宅地建物取引士)として資格登録をするには、試験合格に加えて2年以上の実務経験が必要になる。実務経験が足りない場合に、その代わりとして修了することが求められるのが登録実務講習だ。この記事では、講習の制度概要から内容の内訳、実施機関ごとの違い、修了後の登録手続きと費用、よくある疑問までをまとめて整理する。

不動産適正取引推進機構の発表では、令和7年度の宅建試験は受験者245,462人、合格者45,821人で、合格率は18.7%だった。合格者のうち実務経験のない人は、登録の前にこの講習を通ることになる。

登録実務講習とは何か

宅地建物取引業法第18条第1項は、試験に合格した人のうち、国土交通省令で定める期間以上の実務経験がある人、または国土交通大臣がそれと同等以上の能力があると認めた人が、試験を行った都道府県知事の登録を受けられると定めている。登録実務講習は、この「同等以上の能力」を認めてもらうための講習である。

講習を実施できるのは、宅地建物取引業法施行規則第13条の16第1号に基づき国土交通大臣の登録を受けた機関だ。宅建試験に合格しても、宅地建物取引の実務経験が2年に満たない人は、そのままでは資格登録ができない。この講習を修了すると経験不足を補ったものとして扱われ、登録の道が開ける。

国土交通省の登録実務講習実施機関一覧(令和7年12月4日現在)には20機関が掲載されており、登録番号は33番まで振られている。大手資格予備校から地域の一般社団法人まで幅が広く、一覧は随時更新される。

そもそも実務経験が求められているのは、宅建士が重要事項説明や契約書の交付といった、消費者の財産に直接関わる業務を担うためだ。試験に合格しただけでは実際の取引の流れを経験していないことが多く、その不足分を短期間で補う仕組みとして講習が用意されている。

受講が必要な人・不要な人

受講が必要になるのは、宅建試験に合格したものの、宅地建物取引に関する実務経験が2年に達していない人である。逆に、不動産会社などで要件を満たす実務経験が2年以上あれば、この講習を受けずに登録申請ができる。

実務経験の数え方について、埼玉県は申請日前10年以内に2年以上の経験が必要と案内している。千葉県は「申請の前10年以内のうち直近の2年以上の実務経験を記載し、現在免許を受けている業者の証明を受ける」としている。昔の勤務先の経験を使う場合は、その業者が今も免許を持っているかが関わってくる。

注意したいのは「実務経験」の中身だ。千葉県の案内には「単に宅建業者に勤務していただけでは実務経験とは認められません」とある。契約の説明や物件調査など、取引に関する具体的な業務を行っていることが前提になる。埼玉県の案内では、受付・秘書・総務・人事・経理・財務などの一般管理部門の業務や、補助的な事務のみの経験は算入できない。

東京都の案内によると、実務経験で登録する人は実務経験証明書と従業者名簿の写し(様式第八号の二)を使う。従業者名簿は実務経験先の宅建業者が保管しているものなので、退職した会社の経験を使うなら、早めに相談しておくと手続きが滞りにくい。

講習の中身を要素ごとに見る

通信講座での学習

最初のステップは通信教材を使った自宅学習だ。期間はTACが約1か月、総合資格学院も約1か月の通信講座と案内している。学習時間は日建学院が38時間分としているが、ほかの機関が同じ時間数を明記しているかは確認できなかった。重要事項説明書(35条書面)や契約書(37条書面)の作成など、試験で学んだ知識を実務の場面に当てはめる内容が中心になる。自分のペースで進められる分、スクーリングの日から逆算して学習計画を立てておきたい。

スクーリング(演習)

通信講座を終えると、会場での演習に参加する。国土交通省告示(登録実務講習の演習方法等を定める件)は演習を12時間以上と定めており、TACは全5回で12時間(休憩除く)としている。

日数は機関によって違う。TAC・日建学院・総合資格学院はいずれも2日間だ。LECには1日で受けられるクラスもあるが、実施校が限られている。「1日で終わる」と思い込まず、申し込む日程の形式を確かめておきたい。

総学習時間は、日建学院の例で通信38時間と演習12時間以上を合わせると約50時間になる(当サイトの計算)。機関がこの合計を明記しているわけではない点に注意してほしい。

修了試験

講習の最後には修了試験がある。修了認定の基準は先の告示の第五にあり、択一式等の試験と記述式の試験のいずれも80%以上の成績が必要とされる。総合資格学院も「それぞれの修了試験で80パーセント以上」と案内している。

試験の形式は機関ごとに異なる。各機関の案内では次のとおりだ。

実施機関 スクーリング 修了試験の形式
TAC 2日間(全5回12時間) ○×30問と記述式で1時間
日建学院 2日間 4肢択一20問と記述20問で90分
総合資格学院 2日間 公式サイトで確認
LEC東京リーガルマインド 1日クラスあり(実施校限定) 公式サイトで確認

合格率については、LECが修了試験の合格率99.9%以上(2025年度実績)を公表している。LECでは不合格になっても1回に限り再受講できる。ほかの機関の合格率は今回確認できなかった。

主な実施機関の比較

登録実務講習は複数の機関が実施しており、費用や日程、会場に差がある。代表的な4機関を比べると次のとおりだ。金額と日程は各機関の公式案内による(確認日2026年10月14日)。

実施機関 受講料 開催時期 特徴
LEC東京リーガルマインド 23,000円(税込) 1月〜11月 全国27拠点・700以上のスクーリングクラス
日建学院 通常24,000円、インターネット割引22,000円 スクーリング日が1月・2月・3月・8月のコース 全国47都道府県の会場で開催、申込に合格証書のコピーが必須
TAC 各日程22,000円 第一日程〜第十日程の10日程 同一年度1回の無料再受講あり(第十日程を除く)
総合資格学院 公式サイトで確認 公式サイトで確認 約1か月の通信講座と2日間の演習

TACは2026年度の申込をすでに終了している。総合資格学院は、受講料に税込・テキスト代・修了証交付手数料を含むとの記載はあるものの、金額と開催期は今回確認したページでは確認できなかった。受講料の幅は、確認できた範囲で22,000円から24,000円である。いずれも変更されることがあるため、申込前に各機関の公式サイトで最新情報を確かめたい。

登録講習(5問免除)との違い

名称が似ている制度に「登録講習」があるが、これは宅建試験を受ける前に受講し、修了すると本試験の5問が免除される制度である。香川県の案内では、登録講習修了者の本試験は45問になる。令和7年度の合格点は50問中33問以上、登録講習修了者は45問中28問以上だった。

登録実務講習は試験合格後に受講し、実務経験2年の代わりとして扱われる。目的も受講のタイミングも異なる。

項目 登録実務講習 登録講習
受講時期 宅建試験合格後 宅建試験受験前
目的・効果 実務経験2年の代替 本試験5問の免除(45問で受験)
対象者 実務経験が2年未満の合格者 宅建業に従事する人など一定要件を満たす人

登録までの流れ

講習を修了しても、それだけでは宅建士にはならない。修了証を添えて都道府県に資格登録を申請し、登録が済んだら宅建士証の交付を申請する、という順番になる。

資格登録の申請と登録手数料

登録の申請先は、試験を受けた都道府県の知事である。登録手数料は東京都の手数料条例と東京都・大阪府の案内で37,000円とされ、東京都・大阪府とも現金で納める。大阪府は登録実務講習の修了者に、登録実務講習修了証の原本1部の提出を求めている。

登録までの期間について、総合資格学院は申請から登録まで「30日〜60日程度」かかると案内している。都道府県ごとに異なるため、仕事の予定がある人は余裕を持って申請したい。

修了証の有効期間

修了証をいつまで使えるかは都道府県で扱いが違う。東京都は修了年月日から10年間有効とし、埼玉県は有効期限を設けていない。講習を受けてから登録までに間が空く人は、申請先の都道府県の案内で確認しておくとよい。

宅建士証の交付申請

登録が済んだら、宅建士証の交付を申請する。東京都の手数料条例では交付申請手数料は4,500円で、登録手数料とは別に納める。他の道府県の金額は今回確認していないので、申請先の案内を確認してほしい。

宅建士証の交付を受けるには、申請前6か月以内に行われる法定講習を受けなければならない(宅地建物取引業法第22条の2第2項)。ただし試験に合格した日から1年以内に交付を受ける場合は不要になる。合格したらできるだけ早めに、講習の修了から登録申請、宅建士証の交付申請まで進めておきたい。法定講習の受講料や時間は申請先の都道府県の案内で確認してほしい。

当サイトの計算では、東京都で登録する場合、講習の受講料(22,000〜24,000円)に登録手数料37,000円と宅建士証の交付申請手数料4,500円を合わせて、63,500円から65,500円になる。法定講習が必要になった場合の受講料はこれに含まない。

講座選びの実践的なコツ

実施機関選びで見るべきポイントは大きく3つある。

  • スクーリングの会場・日程が自分の生活圏や仕事のスケジュールに合っているか(1日か2日かも含めて)
  • 通信講座の教材がどの程度わかりやすく作られているか(サンプル教材の有無を確認する)
  • 受講料と再受講の扱いは機関ごとに差があるため、複数を比較してから申し込む

2日間のスクーリングが多いため、働いている人は休みの調整を先に考えておくと安心だ。修了試験はLECの公表値を見る限り多くの人が修了しているが、80%以上という基準があるので、通信講座の段階から書類作成の問題に慣れておきたい。

申込のタイミングも大切だ。日程ごとに定員があり、TACのように年度の申込をすでに締め切っている機関もある。日建学院のように申込で合格証書のコピーが必要な機関もあるため、合格証書が届いたら早めに日程を確保するとよい。修了後には登録手数料や交付手数料もかかるので、講習費用だけで予算を組まないようにしたい。

よくある質問

Q. 登録実務講習は誰でも受けられますか

宅建試験の合格者が対象で、主に実務経験2年未満の人が受ける。日建学院のように申込時に合格証書のコピーを求める機関もあるため、申込条件は各機関の案内で確認してほしい。

Q. スクーリングは何日かかりますか

TAC・日建学院・総合資格学院は2日間である。LECには1日クラスがあるが、実施校が限られている。演習は告示で12時間以上と定められている。

Q. スクーリングはオンラインで受けられますか

今回確認した各機関の案内は会場での演習を中心にしている。オンライン対応の有無は機関や年度によって変わりうるため、希望する場合は各機関の公式サイトで確認してほしい。

Q. 修了試験に落ちたらどうなりますか

扱いは機関によって異なる。LECは修了試験の合格率99.9%以上(2025年度実績)を公表したうえで、不合格でも1回に限り再受講できるとしている。TACは同一年度に1回の無料再受講がある(第十日程を除く)。ほかの機関は各公式サイトで確認してほしい。

Q. 費用はどこの機関でも同じですか

機関によって差がある。各機関の公式案内(確認日2026年10月14日)では、LECが23,000円(税込)、TACが各日程22,000円、日建学院が通常24,000円でインターネット割引なら22,000円だった。総合資格学院の金額は確認できなかったため、公式サイトで確認してほしい。

Q. 講習のほかに登録でかかる費用はいくらですか

資格登録の手数料は37,000円で、東京都の条例と東京都・大阪府の案内で確認できる。東京都・大阪府とも現金で納める。講習の受講料とは別にかかる。

Q. 宅建士証の交付手数料はいくらですか

東京都の手数料条例では交付申請手数料は4,500円で、登録手数料とは別に納める。他の道府県の金額は今回確認していないので、申請先の案内で確認してほしい。合格から1年を超えて交付を受ける場合は、法定講習の受講も必要になる。

Q. 実務経験2年をぎりぎり超えている場合はどうすればいいですか

申請日前10年以内に2年以上の要件を満たす経験があれば、登録実務講習を受けずに実務経験証明書と従業者名簿の写しで登録申請ができる。一般管理部門や補助的な事務のみの経験は算入できないため、業務内容が要件に合うか、勤務先に確認しておく必要がある。

Q. 実務経験を積むのと講習を受けるのはどちらが早いですか

不動産業界での勤務経験がない、あるいはこれから就業予定という人にとっては、2年待つよりも講習を受けたほうが登録までの期間を大きく縮められる。TACや総合資格学院の講習は、約1か月の通信学習と2日間の演習という構成である。すでに不動産関連の仕事に就いていて、あと数か月で2年に達する場合は、経験を積み切る選択肢も検討に値する。

Q. 登録実務講習と登録講習を両方受ける必要はありますか

役割が異なるため、状況によっては両方に関わることもある。登録講習は試験前に受けて5問免除を受けるための制度で、登録実務講習は試験合格後に実務経験を補うための制度であり、受ける・受けないは個人の状況次第である。

Q. 講習を修了すればすぐに宅建士として働けますか

講習修了は資格登録の要件を満たす手続きの一つにすぎない。修了後に都道府県へ資格登録を申請し(総合資格学院の案内では登録まで30日〜60日程度)、宅建士証の交付を受けて初めて宅建士として業務にあたることができる。

Q. 登録実務講習の内容だけで実務がこなせるようになりますか

講習は実務の基礎を体系的に学び直す位置づけであり、これだけで現場のあらゆる業務に対応できるようになるわけではない。実際の取引では、講習で学んだ知識を土台にしながら、勤務先での指導や経験を重ねて実務能力を高めていくことになる。

まとめ

登録実務講習は、宅建試験に合格しても実務経験2年に届かない人が資格登録を進めるための重要なステップである。通信講座・演習・修了試験という3段階の構成を理解したうえで、受講料や会場、1日か2日かといった日程の形を比べ、無理なく修了できる実施機関を選びたい。修了後は登録手数料37,000円(東京都・大阪府)と宅建士証の交付手数料もかかり、合格から1年を超えると法定講習も必要になる。費用と期限を見通して、計画的に手続きを進めることが大切だ。

出典

以下の資料を2026年10月14日に確認して整理した。各機関の受講料・日程・通信学習の時間は各機関の公式案内による(確認日2026年10月14日)。LECの通信学習の時間数、総合資格学院の受講料と開催期、法定講習の受講料と時間、東京都以外の宅建士証交付手数料は、機関や自治体の公式案内では確認できなかった。国土交通省の登録実務講習のページには手数料や提出書類の記載はない。受講前に必ず各公式サイトで最新情報を確認してほしい。

  • 国土交通省「登録実務講習実施機関一覧(令和7年12月4日現在)」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000068.html (確認日2026年10月14日)
  • 国土交通省告示「登録実務講習の演習方法等を定める件」 https://www.mlit.go.jp/common/000006544.pdf (確認日2026年10月14日)
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/327AC1000000176 (確認日2026年10月14日)
  • 不動産適正取引推進機構「令和7年度宅地建物取引士資格試験結果」 https://goukaku.retio.or.jp/exam/pdf_2025_1_UWbaZCx6hm/2025result.pdf (確認日2026年10月14日)
  • 香川県「令和7年度宅地建物取引士資格試験の結果」 https://www.pref.kagawa.lg.jp/jutaku/takken/takkennsikenr7.html (確認日2026年10月14日)
  • 東京都「宅地建物取引士資格登録の案内」 https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/application/sinseiyousiki/touroku/1_3 (確認日2026年10月14日)
  • 東京都「手数料条例」 https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00001414.html (確認日2026年10月14日)
  • 埼玉県「宅地建物取引士の登録」 https://www.pref.saitama.lg.jp/a1106/takkenmenkyo/takkenshi_touroku.html (確認日2026年10月14日)
  • 千葉県「実務経験の証明」 https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfudou/tetsuzuki/takuchi/jitumu-denshi.html (確認日2026年10月14日)
  • 大阪府「宅地建物取引士資格登録の案内」 https://www.pref.osaka.lg.jp/faq/o130200/faq_001072.html (確認日2026年10月14日)
  • LEC東京リーガルマインド「登録実務講習」 http://www.lec-jp.com/takken/kouza/jitsumu/ (確認日2026年10月14日)
  • TAC「登録実務講習」 http://www.tac-school.co.jp/kouza_takken/takken_jitumukou.html (確認日2026年10月14日)
  • 日建学院「宅建実務講習」 https://www.nik-g.com/lessonlist/housing_jitsumu/ (確認日2026年10月14日)
  • 総合資格学院「宅建実務講習」 http://hotei.shikaku.co.jp/takken_jitsumu/about/ (確認日2026年10月14日)

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