リファラル採用とは、企業に在籍する社員が知人や友人、前職の同僚などを紹介し、それをきっかけに選考が始まる採用手法である。求人サイトや人材紹介会社を経由した採用に加えて、この仕組みを取り入れる企業が増えており、転職活動をする側にとっても知っておく価値のある応募ルートのひとつになっている。この記事ではリファラル採用の仕組みと種類、縁故採用など紛らわしい言葉との違い、入職経路の公的統計と関係する法令の要点、転職者側から見た活用のコツとよくある疑問をまとめる。読み終える頃には、社内から紹介を持ちかけられたときにどう動けばよいか、逆に自分が知人を紹介する立場になったときに何に気をつければよいかが分かるようになるはずだ。
リファラル採用の基本的な定義
リファラル採用(リファラルリクルーティングと呼ばれることもある)は、企業がすでに雇用している社員に人材の紹介を依頼し、その紹介をきっかけに選考へつなげる採用手法を指す。英語のreferral(紹介、推薦)が語源で、社員紹介制度と呼ばれることもある。中途採用だけでなく新卒採用の場面で使われる例もあり、活用の幅は一つの業界や職種に限定されない。
紹介した社員に対して企業側が謝礼やインセンティブを用意しているケースも多く、紹介する社員・紹介される候補者・受け入れる企業の三者にそれぞれメリットが生じる仕組みとして設計されている点が特徴だ。求人広告や人材紹介会社への手数料を抑えながら、自社の文化や仕事の進め方に馴染みやすい人材と出会える可能性があることから、採用コストの面に加えて、入社後に定着しやすいのではという期待からも注目されている。ただし定着について公的な統計で裏づけられた数字は確認できなかった(後述)。
リファラル採用の特徴を分解する
選考が始まるまでの流れ
一般的には、社内から紹介制度の利用を呼びかけられた社員が、知人や前職の同僚などに声をかけるところから始まる。関心を示した相手に会社の概要や募集ポジションを伝え、応募の意思があれば人事担当者につなぐ、あるいは専用のエントリーフォームから応募してもらう、という流れが多い。紹介されたからといって選考プロセス自体が省略されるわけではなく、書類選考や面接は通常の応募者と同様に行われるのが基本である。
インセンティブの位置づけ
紹介した社員に対して、入社決定時などのタイミングで金銭的な謝礼やポイントなどのインセンティブを付与する企業がある。金額や条件は企業ごとに異なり、公表されていない場合も多い。インセンティブはあくまで紹介行動への謝礼であり、選考結果を左右するものではないという位置づけが一般的だ。社員に報酬を与えることと職業安定法の関係は、後半の法令の節で条文に沿って整理する。
企業側から見たメリット
企業にとっては、求人広告費や人材紹介会社への成功報酬を抑えながら採用活動を進められる点が大きい。また、転職市場に情報を出していない、いわゆる転職潜在層にアプローチできる可能性がある点も特徴のひとつとされる。社員からの紹介を経て入社した人材は、あらかじめ社風や仕事内容への理解があるぶん定着しやすい、と語られることもある。もっとも、公的な統計では紹介経由の定着率を示す数字は確認できなかった(厚生労働省とJILPTの資料を当サイトが確認した範囲)。企業の実感として語られることが多い話であり、確かな傾向とまではいえない。
転職者側から見たメリット
紹介を通じて応募すると、社風や実際の働き方について事前に生の情報を得やすく、入社後のミスマッチを減らせる可能性がある。紹介者が社内にいることで、通常の応募ルートよりも人物像が伝わりやすいという側面もあり、選考の初期段階で担当者と接点を持ちやすい点も特徴のひとつといえる。
デメリットとして指摘される点
一方で、社員の人脈を起点とするため、紹介を通じて集まる人材の属性が似通いやすく、組織の多様性が失われやすいという指摘がある。また紹介する社員に採用に関する十分な知識がない場合、期待と実態にずれが生じるリスクも指摘される。応募者側から見ても、紹介者との人間関係が選考結果によって気まずくなる可能性はゼロではない。
個人情報の取り扱いという観点
紹介の場面では、紹介者が候補者の氏名や連絡先、経歴といった個人情報を企業側に伝えることになる。企業によっては、紹介前に候補者本人の同意を得るよう社員に案内している場合もある。紹介者個人に法令上どこまでの義務がかかるかを説明した公的な資料は確認できなかったが、紹介する前に本人の了解を取っておくことは、実務上の配慮として意味がある。紹介される側としても、自分の情報がどのように扱われるのか、気になる点があれば紹介者や人事担当者に確認しておくと安心だ。
どのような人材が紹介の対象になりやすいか
紹介する社員は、自分が信頼できると感じる相手や、実際に一緒に働いた経験がある相手を候補に挙げることが多い。そのため、紹介を受けやすいかどうかは学歴や資格の有無だけでなく、それまでの仕事ぶりや人柄が知られているかどうかにも左右される。日頃から周囲との関係を大切にしておくこと自体が、結果的に応募機会につながる場合もある。
リファラル採用は、選考基準そのものを緩めるものではない。紹介というルートを使っても、書類の完成度や面接での受け答えが評価されることに変わりはなく、通常の転職活動と同様の準備が必要になる。
採用手法の分類と比較
転職者が利用できる応募ルートには、リファラル採用のほかにも求人サイト、人材紹介(転職エージェント)、ダイレクトリクルーティング(スカウト型)などがある。それぞれの特徴を整理すると次のようになる。
| 採用手法 | 応募のきっかけ | 求職者側の主な利点 | 求職者側の主な注意点 |
|---|---|---|---|
| リファラル採用 | 社員による紹介 | 社風や実態の情報が事前に得やすい、担当者との接点を持ちやすい | 紹介者との関係に配慮が必要、対象企業が知人の在籍先に限られる |
| 求人サイト経由の応募 | 求人広告への直接応募 | 選択肢が幅広く、自分のペースで探せる | 応募先を自分で見極める必要があり、情報量は自分で集める必要がある |
| 人材紹介(転職エージェント) | エージェントによる紹介・推薦 | 非公開求人への応募や書類添削、日程調整の代行が受けられる | エージェントとの相性や紹介される求人の幅に差が出ることがある |
| ダイレクトリクルーティング | 企業や採用担当者からのスカウト | 自分の経歴に関心を持った企業からアプローチが来る | スカウトが来ても書類・面接対策は別途必要 |
いずれの手法にも一長一短があり、どれか一つが常に優れているというわけではない。応募先の業界や職種、自分がどれだけ時間をかけて転職活動を進められるかによって、向いているルートは変わってくる。複数のルートを比較しながら、状況に応じて使い分ける視点を持っておくとよい。
入職経路の統計で見る縁故(厚生労働省 雇用動向調査)
知人や社員のつながりを通じた入職がどの程度あるのかは、厚生労働省の雇用動向調査で手がかりを得られる。この調査は、5人以上の常用労働者を雇用する事業所に入職した常用労働者を対象とする入職者調査で、入職経路を調べている。入職前1年間に就業経験のある人は「転職入職者」として集計される。令和7年(2025年)の年計は2026年8月31日に公開されており、執筆時点で本調査の最新の年計である。
転職入職者の入職経路別人数(令和5年〜令和7年)
次の表は第16表の産業計・全規模・性計の数字である。「縁故」は入職経路の選択肢の名前で、括弧内の割合は転職入職者計に占める比率を当サイトが計算したもの(小数第1位)。
| 入職経路(単位:千人) | 令和5年 | 令和6年 | 令和7年 |
|---|---|---|---|
| 転職入職者計 | 5,409.9 | 4,920.0 | 5,061.8 |
| 広告 | 1,813.6(33.5%) | 1,618.1(32.9%) | 1,613.4(31.9%) |
| 縁故 | 1,344.1(24.8%) | 1,074.8(21.8%) | 1,213.4(24.0%) |
| 職業安定所 | 700.0(12.9%) | 715.7(14.5%) | 651.6(12.9%) |
| ハローワークインターネットサービス | 159.3 | 180.7 | 166.4 |
| 民営職業紹介所 | 477.2(8.8%) | 412.0(8.4%) | 472.9(9.3%) |
| 学校 | 57.9 | 63.5 | 59.5 |
| その他 | 664.4 | 690.1 | 687.1 |
| 出向 | 141.5 | 109.5 | 149.0 |
| 出向先からの復帰 | 51.9 | 55.5 | 48.6 |
当サイトの読み取りでは、縁故は転職入職者の2割台を占め、令和5年から令和7年の3年とも広告に次いで2番目に多い経路である。求人広告ほどではないにせよ、人のつながりを通じた転職は珍しいルートではないことがうかがえる。
入職者全体に占める縁故の割合の推移
転職入職者に限らず入職者全体で見た縁故の割合は、長い目で見ると下がってきている。1990年から2022年は厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析」のコラム図のバックデータ(雇用動向調査に基づく)、令和5年から令和7年は第16表の入職者計と縁故の人数から当サイトが計算した値である。
| 年 | 入職者に占める縁故の割合 | 出どころ |
|---|---|---|
| 1990年 | 30.9% | 労働経済の分析 コラム2-3-②図 |
| 2000年 | 26.7% | 労働経済の分析 コラム2-3-②図 |
| 2022年 | 21.3% | 労働経済の分析 コラム2-3-②図 |
| 令和5年 | 22.6%(1,920.2千人/8,501.2千人) | 雇用動向調査 第16表から当サイトの計算 |
| 令和6年 | 20.2%(1,509.0千人/7,473.7千人) | 雇用動向調査 第16表から当サイトの計算 |
| 令和7年 | 21.4%(1,609.2千人/7,526.8千人) | 雇用動向調査 第16表から当サイトの計算 |
同じバックデータでは、2022年の割合を事業所規模別に見ると1,000人以上が17.8%、100〜999人が20.3%、5〜99人が25.1%で、当サイトの読み取りでは規模の小さい事業所ほど縁故の比率が高い。JILPTの資料シリーズNo.159も、縁故の割合が平成12年の26.7%から平成24年の20.5%へおよそ6ポイント減ったと記しており、縁故を個人的なネットワーク(ウィーク・タイ)による採用と位置づけている。
雇用動向調査の「縁故」が社員紹介(リファラル)や知人の紹介をどこまで含むのかを定めた説明は、調査の概要と用語の定義のページでは確認できなかった。そのため、この統計からリファラル採用による入職者だけを切り分けることはできない。表の数字はリファラル採用の割合ではなく、入職経路の一つとしての参考にとどめてほしい。JILPTによる社員紹介制度の実施割合の調査も、公的な資料では確認できなかった。
縁故採用など類似の言葉との違い
リファラル採用は、いわゆる「コネ入社」を指す縁故採用と混同されることがあるが、両者は性質が異なる。縁故採用は、企業となんらかの縁故(コネ)があることそのものが採用条件のように扱われる、非公式で個人的なつながりを基盤とした採用を指す。これに対してリファラル採用は、紹介はあくまで応募のきっかけであり、選考自体は通常の基準で行われる制度化された採用手法という位置づけである点が大きな違いだ。紹介者に人事上の決定権があるわけではなく、紹介された候補者が不採用になることも当然ありうる。
厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、採用選考の基本的な考え方として「応募者の基本的人権の尊重」と「応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと」の2点を挙げ、「本人のもつ適性・能力に基づいた採用基準とすること」を求めている。紹介があっても選考基準は緩まないというリファラル採用の考え方は、この方向と一致すると当サイトは読み取っている。ただしこのページが縁故やコネ、リファラル採用に直接触れた記述は確認できなかった。
また、ダイレクトリクルーティングと混同されることもあるが、こちらは企業の採用担当者やスカウトサービスが求職者に直接アプローチする手法であり、社員個人の人脈を起点とするリファラル採用とは応募のきっかけが異なる。
リファラル採用に関わる法令の基本(職業安定法・個人情報保護法)
ここでは、リファラル採用に関係しそうな条文を当サイトが確認した範囲で紹介する。法令の説明であり、個別の事案についての法的助言ではない。
「募集」の定義と報酬のルール
職業安定法第4条第5項は、「労働者の募集」を、労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘することと定義している。厚生労働省の「募集・求人業務取扱要領」(令和7年6月)は、募集従事者を「応募を勧誘する行為を行う者」とし、直接募集では募集主又はその被用者が募集従事者となり得ること、被用者とは事業主と雇用関係にある者であることを説明している。
| 条文 | 主な内容 |
|---|---|
| 職業安定法第36条 | 被用者以外の者に報酬を与えて募集に従事させるときは厚生労働大臣の許可(報酬の額は認可)、報酬を与えないときは届出が必要 |
| 職業安定法第39条 | 募集に従事する者は、募集に応じた労働者から報酬を受けてはならない |
| 職業安定法第40条 | 募集を行う者は、その被用者で募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第36条第2項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない |
社員に支払う紹介報奨金が、第40条の「賃金、給料その他これらに準ずるもの」に当たるかどうかを明示した公的な説明は確認できなかった。取扱要領や令和4年改正のQ&Aにも「社員紹介」「紹介報酬」という語は見当たらなかった。制度の設計は企業が社労士や弁護士に確認する事柄であり、紹介される求職者が判断を迫られるものではない。
労働条件の明示と求人情報の正確さ
紹介という形であっても、企業が募集を行う以上、職業安定法の一般的なルールがかかる。第5条の3は、募集に当たって従事すべき業務の内容や賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定める。第5条の4は、広告等で求人情報を提供するときに虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならず、情報を正確かつ最新の内容に保たなければならないとしている。知人から聞いた話だけで判断せず、正式な労働条件の提示を受けて確かめることが大切になる。
個人情報の扱い
職業安定法第5条の5は、募集を行う者などが求職者等の個人情報を収集・保管・使用するに当たり、業務の目的の達成に必要な範囲内で目的を明らかにして収集し、その目的の範囲内で保管・使用しなければならないと定めている(本人の同意がある場合などは除く)。
個人情報保護法では、個人情報データベース等を事業の用に供している者が個人情報取扱事業者にあたる。第27条第1項は、法令に基づく場合などを除き、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供してはならないと定め、第20条第2項は、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴などの要配慮個人情報を、あらかじめ本人の同意を得ないで取得してはならないとする。取扱要領は、募集受託者が募集主に応募者の個人データを示す行為は第27条第1項の「第三者提供」に当たり、あらかじめ本人の同意が必要だと説明しているが、これは募集受託者から募集主への提供についての記述である。
友人の情報を企業に伝える紹介者個人に、これらの条文がどう当てはまるかを説明した公的な資料は確認できなかった。義務の有無はここでは断定しないが、紹介する前に本人の了解を取っておくことは、相手への配慮として欠かせない。
転職者側から見た活用のコツ
周囲に転職を考えていることをそれとなく伝えておくと、思わぬところからリファラル採用の紹介機会につながることがある。知人がすでに気になる企業に勤めている場合は、まず話を聞いてみるところから始めるとよい。
紹介を受ける場合でも、職務経歴の整理や想定質問への準備など、通常の転職活動と同じ対策は欠かせない。紹介だからと気を抜かず、むしろ紹介者の顔を立てる意味でも準備は丁寧に行いたい。
選考に落ちた場合に紹介者との関係が気まずくならないよう、紹介はあくまで選考のきっかけのひとつであることを、応募前にお互いで共有しておくと安心できる。
求人サイトや転職エージェントを併用しながら、リファラル採用を選択肢のひとつとして視野に入れておくと、応募ルートの幅が広がる。特定のルートだけに絞らず、複数の経路を並行して進めることで、結果的に自分に合う求人と出会える可能性が高まる。
よくある質問
Q. リファラル採用で紹介されると、必ず採用されますか。
紹介はあくまで応募のきっかけであり、採用を保証するものではない。書類選考や面接は通常の応募者と同じ基準で行われるのが一般的だ。
Q. 紹介してくれた社員に迷惑がかかることはありますか。
不採用になったこと自体で紹介者が不利益を被る制度設計は一般的ではないとされる。ただし人間関係への配慮として、選考結果によって気まずくならないよう事前に認識をすり合わせておくと安心だ。
Q. インセンティブは求職者側にも支払われますか。
一般的にインセンティブは紹介した社員に対して支払われるものであり、紹介された求職者本人が受け取る性質のものではない。
Q. リファラル採用と縁故採用は同じ意味ですか。
異なる。縁故採用は個人的なつながりそのものが採用条件のように扱われるのに対し、リファラル採用は紹介を選考のきっかけとしつつ、選考自体は通常の基準で進める制度化された手法とされる。
Q. 転職エージェントを使いながらリファラル採用も利用してよいですか。
問題ない。応募ルートを一本化する必要はなく、求人サイトやエージェント、リファラル採用を並行して活用する求職者は多い。
Q. 紹介を断りたい場合、どう伝えればよいですか。
紹介そのものへの感謝を伝えたうえで、現時点では転職を考えていない、あるいは他のルートで検討したい旨を率直に伝えるのが望ましい。無理に話を進める必要はない。
Q. 新卒採用でもリファラル採用は行われますか。
行われている。中途採用のイメージが強いが、社員が母校の後輩などを紹介する形で新卒採用に活用する企業もある。
Q. リファラル採用専用の職務経歴書は必要ですか。
特別な形式は必要ない。通常の転職活動と同様に、応募先の求める人物像に合わせて職務経歴書や履歴書を準備しておくとよい。
Q. 紹介してもらった企業と自分が合わないと感じたら、どうすればよいですか。
紹介を受けたからといって必ず入社しなければならないわけではない。他の応募ルートと同様に、自分の希望条件と照らし合わせたうえで、辞退を含めて判断してよい。
Q. リファラル採用はどんな業界でも行われていますか。
業界や企業規模を問わず取り入れられている手法だが、導入状況は企業ごとに異なる。すべての企業が制度化しているわけではない点には留意したい。
Q. 紹介を受けたことは選考の履歴書・職務経歴書に書く必要がありますか。
紹介経由での応募であることを書類に明記する必要はない。応募経路について尋ねられた場合は、面接時に社員からの紹介である旨を伝えれば十分なことが多い。
Q. 紹介者の役職や立場によって選考が有利になりますか。
紹介者の役職が選考の合否に直接影響するとは限らない。紹介はあくまで応募のきっかけであり、評価の中心は候補者自身の経歴やスキル、面接での受け答えである点は他の応募ルートと変わらない。
Q. リファラル採用は統計ではどれくらいの割合ですか。
リファラル採用だけの割合を示す公的な統計は確認できなかった。参考になるのは厚生労働省の雇用動向調査の入職経路「縁故」で、令和7年の転職入職者5,061.8千人のうち縁故は1,213.4千人、当サイトの計算で24.0%にあたる。ただし「縁故」が社員紹介をどこまで含むかの定義は公的な資料では確認できず、この数字からリファラル採用を切り分けることはできない。
Q. 紹介した社員に報奨金を出すのは法律上問題ありませんか。
職業安定法第40条は、募集を行う者がその被用者で募集に従事するものに対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合などを除いて報酬を与えてはならないと定めている。社員への紹介報奨金がこの例外に当たるかを明示した公的な説明は確認できなかった。これは企業が制度を設計する段階で専門家に確認する事柄であり、紹介される求職者個人が気にする必要のある点ではない。
まとめ
リファラル採用は、社員の紹介を選考のきっかけとする採用手法であり、紹介する社員・紹介される候補者・企業のそれぞれにメリットが生じるよう設計されている。縁故採用のような非公式なコネ入社とは異なり、選考自体は通常の基準で行われる点が特徴だ。公的統計では入職経路の「縁故」が転職入職者の2割台を占めるものの、これはリファラル採用だけの数字ではなく、紹介経由の定着率を示す公的な数字も確認できなかった。転職者側から見れば、社風や実態の情報を事前に得やすく、担当者との接点を持ちやすいという利点がある一方、紹介者との関係への配慮や、通常の選考と変わらない準備の必要性は忘れてはならない。求人サイトやエージェントと併用しながら、周囲に転職の意思を伝えておくこと自体が、新たな選考機会につながる場合がある。応募ルートのひとつとして、視野に入れておきたい手法である。
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出典と確認日
- e-Gov法令API「職業安定法」取得時点の現行条文 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC0000000141 (確認日 2026年10月12日)
- e-Gov法令API「個人情報の保護に関する法律」取得時点の現行条文 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/415AC0000000057 (確認日 2026年10月12日)
- 厚生労働省(e-Stat)「雇用動向調査 令和7年 年計 第16表」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040489957&fileKind=4 (確認日 2026年10月12日)
- 厚生労働省(e-Stat)「雇用動向調査 令和6年 年計 第16表」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040305979&fileKind=4 (確認日 2026年10月12日)
- 厚生労働省(e-Stat)「雇用動向調査 令和5年 年計 第16表」 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040193427&fileKind=4 (確認日 2026年10月12日)
- 厚生労働省(e-Stat)「雇用動向調査 令和7年 年計 結果表の一覧」 https://www.e-stat.go.jp/retrieve/api_file?page=1&layout=datalist&toukei=00450073&tstat=000001012468&year=20250&tclass1=000001012469&tclass2=000001161806&cycle=7&month=0 (確認日 2026年10月12日)
- 厚生労働省「雇用動向調査 令和7年 調査の概要」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/gaiyo.pdf (確認日 2026年10月12日)
- 厚生労働省「雇用動向調査 令和7年 用語の定義」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/yougo.pdf (確認日 2026年10月12日)
- 厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析 コラム2-3-②図 縁故による入職者の割合 バックデータ」 https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/24/backdata/xls/column02-03-02.xlsx (掲載ページ https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/24/backdata/column02-03-02.html)(確認日 2026年10月12日)
- JILPT「資料シリーズNo.159 入職経路の変化と民営職業紹介業に関する調査」 https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2015/documents/0159.pdf (確認日 2026年10月12日)
- 厚生労働省「募集・求人業務取扱要領 令和7年6月」 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001497522.pdf (確認日 2026年10月12日)
- 厚生労働省 公正採用選考特設サイト「公正な採用選考の基本」 https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/basic.html (確認日 2026年10月12日)
この記事の改稿にあたり、当サイトは2026年10月12日に、職業安定法と個人情報保護法の現行条文、雇用動向調査の令和5年から令和7年までの年計第16表と調査の概要・用語の定義、令和6年版 労働経済の分析のコラム図バックデータ、JILPT資料シリーズNo.159、募集・求人業務取扱要領(令和7年6月)、公正な採用選考の基本のページを読み、数字と条文を照合した。表の割合は原表の人数を当サイトが割り算したものである。「縁故」の定義、社員への紹介報奨金と第40条の関係、紹介者個人への個人情報保護法の当てはめ、紹介経由の定着率については、これらの資料の範囲では確認できなかったため、本文でもその旨を記している。